臨床工学技士とは、医療チームでは欠かせない存在です。臨床工学技士がいなければ成り立たない場面もたくさんあります。今回は臨床工学技士の仕事についてまとめましたので参考にしてください。臨床工学技士とは、医療機器の専門医療職です。病院内で医師、看護師や各種の医療技術者とチームを組んで生命維持装置の操作を担当しています。筆者である私は看護師をしていますが、日々業務に追われています。必要最低限の機械は使いこなせますが、いつもと様子が違う、壊れたと疑うようなときはすぐに臨床工学技士に見てもらい、安心して使用できるように保守・点検をし、安全性確保と有効性の維持をしています。
責任重大!臨床工学技士の業務とは?
看護師の業務には呼吸治療業務があります。人工呼吸器がきちんと作動するか、点検します。また、新型コロナウィルス感染症などで有名になったエクモなど人口肺を管理するのも臨床工学技士の仕事です。呼吸治療は生命維持に欠かせません。絶対に安心して使うには臨床工学技士の存在が必要です。また、臨床工学技士は透析業務も行います。シャントの穿刺や人工透析装置の操作を行います。
現在、高齢化社会となり、腎不全などで、透析が必要な患者さんがとても増えています。勤めている病院でも透析室はいつも満杯。臨床工学技士が、透析業務に関わってくれることで、生命維持ができています。透析以外には手術室でも活躍しています。手術室で、手術に必要な機械を動かしたり、点検作業をします。手術もそうですが、ミスが許されません。日ごろの点検があるからこそ、安心して医師や手術室の看護師が手術を行え、患者さんも安心して手術を受けることができます。勤めている病院にはありませんが、集中治療室などがある病院では集中治療室で生命維持装置や機械などの点検も行っています。機械が安全に作動することは、当たり前のようですが、ずっと使っていると機械も壊れたり、うまく作動しない事があります。臨床工学技士が点検、管理をしていることが安心につながります。
心臓血管カテーテルでも、臨床工学技士は活躍します。
心臓血管カテーテルは、心臓病の診断をする大切な業務です、医師がスムーズに診断業務が行えるように、機械の点検管理を行います。高気圧酸素というものも管理しており、これは脳梗塞の急性期に治療すると、劇的によくなるものです。通常の大気圧より高い気圧環境の中で酸素を吸入することで病態の改善を図ろうとする治療です。約10倍にまで酸素を体内に取り込むことができます。体内で取り込まれた大量の酸素は手足の末端まで行き渡り、低酸素状態の改善をはかります。血管新生や組織修復などに働きかけることで創傷治癒促進します。この機械、酸素カプセルのようなものですが、こちらも管理しています。
またペースメーカー挿入やICD挿入なども臨床工学技士は活躍します。ペースメーカーとは、徐脈性不整脈の治療に使用され、徐脈とは脈が遅くなることで、意識を失ったりめまいを引き起こします。患者さんに最適な設定となるように臨床工学技士が活躍しています。このように医療機器、生命維持装置の管理点検をし、なくてはならない存在です。臨床工学技士は1987年に制定された臨床工学技士法に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。臨床工学技士になるには、養成校(大学、短期大学、専門学校)において厚生労働大臣の指定する科目を修得し、国家試験を受験し合格すると免許を取得することができます。医療職の中では比較的新しい職種ですが、臨床工学技士がいるからこそ治療を安全に行うことが出来ます。
臨床工学技士の将来性とは?
将来性に関しては、医療機器の点検保持管理などだけではなく、高度化する医療を切り開いていくことが必要だと感じます。高齢化、医療の高度化に伴い、患者の病態も複雑化、治療も複雑化してくることが予測されます。時代に即して常に勉強していくことは必要であり、医療機器が新しく開発されれば、機器を勉強していくことも必要です。臨床工学技士は医療機器の管理だけでなく、そこから派生して、褥瘡予防のエアーマットの管理点検も行い、どんなメリットがあるのか、どのくらい経費がかかるのか否かなど、データを用いて、医療チームに投げます。新しい医療機器に対応するだけでなく、コロナ禍で経営も厳しくなっている病院が多い中、機械を導入するメリットデメリット、経費など、幅広い観点で判断をしています。とても信頼している医療チームの一員です。