現役臨床工学技士が解説!臨床工学技士の資格と将来性についてを徹底解説します!将来性はある?将来性はない?

今回は、臨床工学技士の資格と将来性について説明していきます。私は、現役で総合病院に8年以上勤めている臨床工学技士です。臨床工学技士は国家資格者として医療に携わり、将来性の明るい職種です。AIや機械に取って代わられる事の無い重要な仕事をしています。まずは、臨床工学技士の資格についてご紹介します。

臨床工学技士は国家資格

臨床工学技士は、国家試験に合格し、厚生労働大臣から認可を受け免許を受理することで得られる国家資格です。国家試験に挑戦するためには専門学校、大学で指定されたカリキュラムを受講し、病院実習を定められた期間こなす必要があります。国家資格は民間資格とは違い、会社や組織を辞めた後も資格喪失せず、臨床工学技士を名乗り、病院やクリニックで働けます。一度取得すれば、死ぬまで資格を使い続けられるのが国家資格のメリットです。

臨床工学技士の仕事内容

臨床工学技士が働いている職場は以下の4つです。・総合病院・透析クリニック・医療機器メーカー・臨床工学技士養成校。医療機器メーカーでは病院やクリニックに対しての営業を行い、養成校では医療に関する授業を担当します。透析クリニックと総合病院での仕事内容を詳しく説明していきます。

総合病院

医療機器の保守管理・医療機器を介して患者の治療を行う。大きく分けると上記2つに分けられます。病院により行う業務が異なりますので、以下は一例です。例として挙げた業務を一定期間ごとにローテーションし、業務を担当するケースが多いです。
・透析・内視鏡・機器管理・急性血液浄化・ペースメーカー・カテーテル治療・手術室・NICU
総合病院の中でも、救急に力を入れている病院では、患者の状態が悪い時ほど、多くの医療機器を使用します。なぜなら、医療機器は患者の生命を維持するために開発されたものが多く、切迫した場面で活躍します。医療機器を管理する臨床工学技士は、責任の重い仕事を担っているのです。毎年出る新しい医療機器の使用方法、点検方法を覚えないといけないため、新しいものに興味がある人は総合病院が向いています。

透析クリニック

透析クリニックでは透析患者に対して月~土曜日透析を行います。透析クリニックで働くと、透析療法に対する知識と技術が高まります。医療従事者は「透析と言えば臨床工学技士」というイメージを持っており、透析に関する質問をされることが多いです。そのため最低限の知識を付けるために、期間を決めて透析クリニックで働く方もいます。透析クリニックは透析に特化しているので、透析について詳しくなりたい方におすすめです。具体的な業務内容は下記です。
・穿刺を含む透析開始作業・透析中のアラーム対応・透析回収作業・水処理装置の保守点検・コンソールの保守点検・翌日透析準備。総合病院と違い、仕事内容は決まっているので、新しく仕事が増えることはありません。ルーティンワークがしたい方は、透析クリニックで働くといいでしょう。

臨床工学技士の将来性

臨床工学技士の将来性は明るく、根拠は以下の3点です。

  • 医療業界に最先端機器が導入され続ける
  • 臨床工学技士法改正による業務拡大
  • 透析患者が増え続けている。

上記を順番に説明していきます。

医療業界に最先端機器が導入され続ける

医療業界には、毎年新しい治療用・診断用機器が導入されています。近年は、AIや手術用ロボットといった最先端医療機器が増え、工学的な知識を持ち合わせないと対応できない医療機器も増えてきています。医療機器は、開始前後の動作チェックや定期的なメンテナンスを行い、安全に動かすために適切な管理が必須です。医療機器を安全に安定稼働させるための、毎日の点検作業を臨床工学技士が行います。そのため、臨床工学技士の需要は常にあり、需要が無くなることはありません。

臨床工学技士法改正による業務拡大

2021年に行われた臨床工学技士法の改正により、臨床工学技士が行える業務が拡大しました。臨床工学技士法改正に伴い、臨床工学技士が看護師、医師に変わり行える仕事が増えます。具体的には、以下の4つの作業を行えるようになりました。
・手術室又は集中治療室でシリンジ・輸液ポンプに接続するための静脈への穿刺・抜針・止血・カテーテル治療における電気的刺激を加えるための装置の操作・腹腔鏡下手術での腹腔鏡ビデオカメラの保持、操作・透析のために表在動脈、表在静脈への穿刺および抜針・止血
上記、4点の作業は臨床工学技士が行っても違法ではありません。その結果、病院内で起用される場が増え、臨床工学技士の求人も今後増えていくと予想できます。

透析患者が増え続けている

透析医学会の統計によると、2000年に約20万人だった透析患者は2020年12月時点で33万人を超えました。腎不全になると、腎移植もしくは透析を行わなければ生きていくことはできません。腎移植するためには提供元となるドナーが必要ですが、簡単には見つからないため、腎不全の方は透析導入が第一選択となります。そのため、年を追うごとに透析患者は増え続けており、透析クリニックの需要も高まっています。ハローワークの求人を覗いても臨床工学技士の求人が圧倒的に多いです。

臨床工学技士は今後需要が高まる職業

総合病院では先に挙げた3つの理由から臨床工学技士の仕事は増えています。医療業界への最先端機器の導入が止まることはありませんし、臨床工学技士法改正が取り消されることもありません。腎不全となった患者に対する治療は現状透析以外にありません。今後も臨床工学技士は総合病院と透析クリニックにおいては必要な存在であり続けます。透析業務がこなせ、医療機器を管理できる臨床工学技士は、需要が高まる職業となるでしょう。