洛和会音羽病院
1950(昭和25)年に矢野医院を開設して以来、現在「医療」「介護」「健康・保育」「教育・研究」の分野で約170カ所の総施設数をもつ洛和会ヘルスケアシステム。洛和会音羽病院は、1980年の開設以来、地域における急性期から慢性期の中核病院として、地域の医療機関と密接な連携をとりながら、急性期を中心に高度な医療を一貫して提供しています。
CE部所属 藤石裕之(ふじいし・ひろゆき)技士長と伊野部仁完(いのべ・きみひろ)技士にお話を伺いました。
藤石 技士長(左)・伊野部 技士(右)
CE部所属 伊野部仁完 技士
伊野部 技士
臨床工学技士になるきっかけ
医療従事者はドラマなどで見て格好いいと思っていました。部活の先輩が養成校に進学したのを機に臨床工学技士を知りました。
ぼんやりと数学の教諭になりたいなと思っていましたが、いざ進学の時期になり、幼い頃に祖父が入院していた病院で、医療従事者の方が機械を操作する姿を見たのを思い出し、仕事に就くなら格好良く人助けがしたいと思いました。自分で色々と調べていくうちに、人工心肺やECMOなどの医療機器で循環器を管理している仕事を知り、興味を持つようになって臨床工学技士を目指しました。
洛和会音羽病院を選んだきっかけ
選んだ理由は大きく3つあります。
1つ目は、自分の興味や学ぶ意欲に合わせて働くことが出来る環境で、年に2回所属長面談があり、希望するライフスタイルに合った働き方が出来るところです。就職活動の時はコロナ禍でZoom面談だったため、実際の病院見学が出来ませんでした。雰囲気は伝わりにくかったのですが、系列に4病院ありますので入社後も選択肢が多いということに安心しました。また、急性期病院で臨床工学技士が携われる全ての業務があります。
2つ目は、入職後の5日間に渡る研修とプリセプター制度があるところです。5日間の新人合同研修では、1年目の多職種の職員が一斉に集まり、顔見知りの同期を大勢作ることが出来ます。プリセプター制度は年齢の近い先輩が担当くださり、業務面などの不安をカバーしてくれます。プリセプターは、京都以外から来られている方も多くて、仕事だけではなく、プライベートな相談にも乗ってもらえる環境でした。
3つ目は、高知県出身で、また大学が岡山ということもあり、新しい土地に興味があり京都に住んでみたかったのも理由の一つです。
年1回のペースで同期会のような多職種での年次研修があるのですが、モチベーション維持の方法など個々のやり方を共有したりします。今はコロナ禍なので、研修も少人数に分かれていますすが、継続して行っています。
伊野部技士の1日
医療機器管理業務(手術室以外の医療機器の保守点検、高気圧酸素治療)と血液浄化業務を担当
定時 8:30~17:15(残業は月間10時間程度)
8:10 病院到着
8:30 機器管理で申し送り
8:40 電子カルテで人工呼吸器装着患者の情報収集
9:00 病棟ラウンド(医療ガス、医療機器の使用中点検)
11:00 院内修理対応
11:30 昼休憩
12:30 高気圧酸素療法業務、洛和会音羽リハビリテーション病院の呼吸器使用中点検
16:00 各種機器点検業務
17:00 申し送り
17:15 終業
高気圧酸素療法は、皮膚移植などをした患者さんに100%酸素を提供して、菌の繁殖などを防ぐ治療を行います。
医療機器は、人工呼吸呼吸器、シリンジポンプ、輸液ポンプを中央管理しており、日々20~30個の返却があり、直ぐに再貸出が出来るように、毎日保守点検をしています。
やりがいについて
医療機器管理では、医師や看護師から依頼を受けたトラブル対応を、迅速に患者さんの治療が継続できるよう対応出来た時にやりがいを感じます。また、医師から人工呼吸器の動き方や患者さんにあったモード、設定の相談を受けた時に、自分の意見が採用されて治療につながった時など、患者さんと触れ合う機会が少ない業務でも、充実感があります。
透析では、急性期病床数が9床のため患者さん一人一人のバイタルを常に把握して仕事が出来ます。疾患ごとの治療方針やバイタル管理、血液データの改善等、自ら考えることが出来る環境で、手技だけではなく知識も自身の成長を実感できます。また、状態の悪い患者さんが入室されてから段々と状態が良くなっていったり、回復した患者さんから感謝された時など、やりがいにつながっており、もっと知識を増やして治療に貢献したいと思います。
今はまだ、急変時など迅速に対応できるよう先輩方に指示を仰ぐこともありますが、これからもっと経験を積んで、先輩方のように対応できるようになりたいです。
将来の目標
幅広く業務に従事したいと思っていますが、今は人工呼吸器や血液浄化の理解を深め、それぞれの認定士、専門技士の資格を修得したいです。将来的には、カテや内視鏡などの業務の幅を広げてマルチに動ける臨床工学技士として働きたいと考えています。
医療機器管理業務、血液浄化業務、いずれの業務も圧倒的な知識量や経験のある先輩がいます。まずは目の前の先輩を目標として、頑張っていきたいと思います。
CE部所属 藤石裕之 技士長
藤石 技士長
洛和会音羽病院の臨床工学科の部門、仕事内容
当院のCE部は、48名(女性15名、男性33名、平均年齢30歳)の臨床工学技士が在籍しており、医療機器管理、循環器、血液浄化、内視鏡、直接介助業務を含む手術室業務と5つのセクションがあります。
基本的には専属制ですが、業務の習得状況、本人の希望により兼務も可能です。
業務比率として高いのが手術室業務です。手術件数は年間で約7,300件ありますが、その6割は直接介助業務を行っています。
洛和会音羽病院の病院や科の特徴
当院のCE部は、病床数に対して臨床工学技士の数が全国的にもトップクラスです。その理由としては、早い段階で手術室での直接介助業務や内視鏡業務に介入し、医師や看護師業務のタスク・シフト/シェアを積極的に取り組んできたことが挙げられます。また透析室内の業務は臨床工学技士がメインで行っています。すぐ近くにある関連施設の洛和会音羽記念病院では75名の臨床工学技士が透析業務に従事しています。
病院内で出来る仕事を積極的にすることで、院内での臨床工学技士の認知度を高め、求められる存在となりました。組織からも臨床工学技士への期待が高いため、大所帯の部署となっています。
入職後の研修
1年目の職員に対しては、臨床工学技士に限らず全部署でプリセプター制度※ を導入しています。欠員のあるセクションに入職しますので、医療機器管理、循環器、血液浄化、内視鏡、手術室業務のいずれかに配属されます。研修は半年でオンコールに入れるようなプログラムで、基本的にはOJTでルーチン業務の習得などの教育を行っています。
2年目以降は、兼務をスタートするスタッフと引き続き専門性を高めるスタッフに分かれます。このあたりは、面談での本人の希望や、セクションでの教育プランによって変わります。10年のなかでずっと透析をやっているスタッフもいますし、様々なセクションで、様々な業務を身につけるスタッフもいます。
関連病院への異動は、各自が身につけたいスキルによって検討しています。例えば、洛和会音羽記念病院では透析に特化しており、循環器・人工心肺等の業務を覚えたいのであれば、洛和会音羽病院に異動することも可能です。
※先輩が後輩をマンツーマン指導・教育する制度
資格・学会発表・研究
資格取得に関しては、業務に応じて各自で行っています。資格を取得すれば毎月資格手当が給付されるので、単位取得のための学会参加費用等に充てることができます。
学会発表に関しては、2年目より経験年数に応じて参加するように促しています。まずはグループ内の学会で発表し、地域の学会、そして専門分野の学会へとステップアップしていく感じです。学会発表すれば、奨励金がボーナス時に付与されます。また、院内に学術を支援する部署があり、発表内容やスライドに関しても専門家からアドバイスを受けることが可能です。
福利厚生等
当会は福利厚生が、かなり充実していると思います。
一番はリフレッシュ休暇で、年に1度10連休を取得することが可能です。
また、子育て支援にも力を入れているので、子どもが小さな時に子育てしながら常勤(時短勤務)で働き続けることが可能な体制です。父親の育休も、積極的にとるように奨励しており、働きやすい環境づくりを心がけています。
あとは、職員交流にも力を入れています。当会公認のクラブが30近くあり、部費も支給されています。昨年度まではコロナ禍の影響で活動が困難な状況でしたが、今年度からは徐々に活動を再開しており、運動系、アウトドア、インドアなど様々なクラブがあります。
その他にも、法人内でビアガーデンやボウリング大会、日帰り旅行なども企画され、全職員が様々な活動を通して職員間の交流を深めています。
求人・採用
「病院の中で機械を取り扱うスペシャリスト」と捉えて、臨床工学技士を目指される方も多いかと思うのですが、医療機器管理業務においても多職種とのコミュニケーションは非常に重要で、透析業務においても患者さんとのコミュニケーションが欠かせません。
私自身は、臨床工学技士の国家資格を取得された時点で、ある程度の学習力はあると思っていますので、学歴うんぬんよりも、多職種連携や患者さんとのコミュニケーションが図れる事の方が重要だと思います。
相手を理解しようとすれば、自然と相手の気持ちや考え方を知ろうと努力すると思います。仕事の基本が信頼関係の構築である以上、信念を持ち、丁寧に仕事を積み上げていくことが何よりも大切だと考えています。
当会では、様々な現場経験を活かして購買部門や経営管理部門などの事務職にも3名輩出していますので、将来的に経営職の道を目指すという選択肢もあります。臨床工学技士の資格でやれる業務は一通りありますので、非常にやりがいのある環境だと思います。