【臨床工学技士インタビュー】幅広い分野への挑戦と専門分野への特化を両立できる環境が魅力の名古屋掖済会病院

名古屋掖済(えきさい)会病院について

1978年、東海地方で初めての救命救急センターを開設。以来、24時間365日「断らない救急」を掲げ、救急医療の「最後の砦」として、年間約10,000台の救急搬送を受け入れている。

手術支援ロボット、PET-CT、高精度放射線治療装置、3室のカテーテル治療室など先進的な医療機器と設備を備え、幅広い分野において先進的な医療を提供している地域の基幹病院である。2022年には、コロナ禍で奮闘する当院救急科の医師たちの様子がドキュメンタリーとして放映され、大きな反響を呼んだ。

超高齢化が進む現代社会、いくつもの病気を同時進行で抱えている患者さんも多く通院・入院されている。住み慣れた土地で自分らしく生活を送りつつ、専門的でレベルの高い医療を受けられる環境が地域にとっては必要だ。そのために、院内の各診療科はもちろん、地域の医療機関・関係施設との連携を深め、地域全体から愛される病院を目指している。

今回、そんな名古屋掖済会病院において、13名の精鋭をとりまとめる臨床工学部の土井厚(どい・あつし)技師長と森下雄亮(もりした・ゆうすけ)副技師長にお話を伺った。

森下雄亮 副技師長

森下 副技師長

森下副技師長が臨床工学技士を志したきっかけ

進学に際して、医療か工学の道へ進みたいと漠然と考えていました。両親が工学に携わる仕事をしていたこともあって、幼いころから機械構造に興味はあったのですが、サラリーマンで転勤の多かった父の姿を見て「自分には向いていないだろうなあ」と思ってもいました。

そんな時に「医療工学技士」という職業があることを知り、医療と工学の夢を両方叶えることができる点に惹かれて、学校を探して進学を決めました。

どういう理由で入職する病院を選びましたか?

そもそも臨床工学技士という仕事が今ほど知られていない時代で、一般的に透析関連の病院に入職する人が多かったと記憶しています。

私は、透析以外の分野にも興味があって、いろんな経験や勉強をしたいと思っていたので、最初は愛知県内のある他の総合病院に入職しました。

数年後、東海随一の救命救急センターを持ち、様々な症例を経験できる名古屋掖済会病院に転職しました。実際、人工心肺やアブレーションなどは当院に転職後、習得することができました。

現在の業務

医療機器の管理に加え、アブレーション、ペースメーカーといった循環器の不整脈業務を主としています。もちろん、ほかの分野でも対応することができますので、例えば透析室で誰かがお休みということがあれば、応援に入ることもあります。

ペースメーカーに関しては、もう22年ほど携わっています。患者さんは人生の最期までこの機械を体に埋め込んで生活しなくてはなりません。患者さんの訴えを丁寧に聞きいったうえで機械を調整し、「以前より生活しやすくなった」「体調がよくなった」と言っていただける瞬間が一番のやりがいです。

プロフェッショナルとして患者さんの生活を支え、細やかなサポートで医師からも頼りにされ、感謝されるような仕事に誇りをもって取り組んでいます。

一日の業務の流れ(透析室業務の場合)

定時8:20~16:50

8:00 出勤、各メンバー担当部署へ直行、透析準備(プライミング開始)
8:20 患者さん入室
8:30 透析室ミーティング
8:40 外来・入院患者さん穿刺開始(~10:00)、バイタルチェック
11:30 お昼休憩(45分)
12:40 返血、2クール目準備(月・水・金)
14:30 2クール目穿刺開始(5時間透析は1クール目で)
16:50 残り番の2人以外は業務終了
18:30 返血
19:30 透析室閉場、業務終了

基本的に4週8休(祝日の勤務は追加で代休が取れる)。土日の日直は代休。
ただし透析室の土日祝日は、業務終了までの勤務となるため、時間外手当の扱い。

森下副技師長の直近の目標

不整脈治療関連専門臨床工学技士を目指しています。合格率20%未満の狭き門ですが、植込み型心臓不整脈デバイス認定士はすでに取得しており、症例数の経験値はまだまだですが、さらに上を目指して、がんばって勉強していきたいです。

森下副技師長にとって臨床工学技士とは

臨床工学技士は職人だと思っています。医師とも距離感が近く、総合病院に入職すれば多岐にわたる臨床分野を経験することができるので、長い人生、情熱をもって取り組むことができる仕事だと思います。

当院は救命救急センターに軸足を置く病院として、臨床経験を幅広く積むことができますので、引退後に大学や専門学校で後進を指導する立場になる人も多いです。

土井厚 技師長

土井 技師長

4月1日に新卒が入ってきたらどのような研修をしますか?

入職1年目は、心臓カテーテル検査・機器管理を覚えてもらいます。当直に入ってもらうにあたって必要になる業務だからです。

以降は、2年目に透析、3年目に手術室業務(人工心肺含む)、4年目にICU業務と、だいたい5年ほどかけて病院全体の業務を習得していきます。

人工心肺をやりたいという学生さんに向けて。人工心肺に向き不向きがあるとお聞きするのですが、どのように選定して配置しますか?

向き不向きは特にあると思っていません。教えれば皆さんできますので、希望者を配属しています。

ただし、命に直結する業務なので、早くて3年目以降に勉強することにはなります。強いて言えば、現在、子育て中で時短勤務の職員がいますが、人工心肺を扱うとなると時間帯がどうしてもあわなくて、他の業務を担当してもらっています。

40年働くことを考えれば、育休産休・時短勤務はそのうちのたった数年のことなので、またフルタイム勤務にもどれば、男女問わず、基本的に希望分野の業務をお願いしています。

業務効率UPの仕組み

医療機器は全て、電子カルテで管理していますが、各部署や職種間での共有がなかなか難しくて。森下副技師長のアイデアで、一括管理されている機器をモニターでライブ確認できるようにしました。一目で在庫が分かるので、貸出返却の行き違いが減って、業務効率がかなり改善されました。

教育に対する支援・福利厚生など

学会は演題発表をする職員には制限なくサポートがあります。

カテ専任の女性職員が積極的に参加していて、カテやアブレーションに興味のある学生さんの見学が増えているように感じています。循環器に興味がある方も多いようですので、人工心肺やペースメーカーのこともぜひ勉強してもらいたいです。

福利厚生に関しては、今年は男性職員がひとり育休を取得中です。ライフワークバランスの取れたバランスのよい職場ではないかと思います。皆さん積極的に認定士を取得していますし、新しいことに挑戦するにあたって、いろんな意見を出して、みんなが参加できる、そんな風土がありますね。

採用にあたって

現在は13名+非常勤2名(男女比9:4、20代7名、30代4名、40代2名)です。若手が多い職場です。

人工心肺をメインとしている人員は4名(+研修1名)+セカンド1名。最近では人工心肺の件数は減っていますが、その分、カテーテルで対応する案件が増えています。

入職希望者には、半日かけて病院見学をしてもらっています。基本的なコミュニケーション(あいさつなど)からその人の人となりを知ることができるので、大切な機会だと思っています。お互いに、雰囲気が合う・合わないがあるかと思いますので、ぜひ採用試験前に見学にお越しいただければと思います。

試験は、一般教養試験、面接、適性検査、小論文(どのようなCEを目指したいかなど一般的な質問)です。私が個人的によくお聞きするのは趣味です。仕事を離れて、ストレスを発散できる趣味があるといいですよね。

明るく楽しく元気よく、体力があって健康な方がいいですね。オンコールは夜中に前触れなくやってくるものなので、体力は必要です。

最近入職されたのはどんな方でしょうか

去年採用した職員は、ハキハキ話せて、業務習得も順調で、清潔感があって、いろんな職種の人ともしっかり話せる人で、期待以上に頑張ってくれています。

他の病院では、なかなかやりたい業務が回ってこないなんて話を聞くこともありますが、当院では13名のジェネラリストが活躍しており、希望の業務に携わるチャンスがある運営体制です。部門間の垣根が低く、院内では異なる職種の職員が廊下で質問したり話し合ったりしているなんて場面もよく見られます。お互いに困ったら聞いていいよというのびのびした風土が昔から根付いている病院なので、社会人としての視野も広げられると思います。

 

取材協力

名古屋掖済会病院(なごやえきさいかいびょういん)
〒454-0854 愛知県名古屋市中川区松年町4丁目66 Tel.052-652-7711
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