【臨床工学技士インタビュー】軟性内視鏡検査業務が東北最大 一日100件を超える症例数、女性技士割合50%超で働きやすく働きがいのある仙台オープン病院

仙台オープン病院

1976年1月、仙台市医師会と仙台市による公設民営型の医師会病院として開業。開業当初より、地域の診療所やクリニックの主治医(仙台市医師会の登録医)を支援するため、MRIやCTを解放するオープンシステムを導入しており、日本初の地域医療支援病院として承認される。

2007年より、救急輸送時間の短縮のため、救急搬送患者の受け入れのための照会プロセスを全て省略し、全例受け入れる体制をとっている。臨床支援部の内視鏡センターは、内視鏡検査件数が年間23,000件(日々100~120件)となる。

診療科は消化器、循環器、呼吸器に特化しており、消化器疾患患者数は全国第一位となる。救急医療では救急センターを昭和61年(1986年)に開設し、毎年3700台以上の救急車を受入れる全応需体制の仙台オープン病院の臨床工学室の千葉美樹(ちば・みき)技士長と、内視鏡センターの尾越登(おごし・のぼる)技士長にお話を伺った。

尾越技士長に聞いてみた

尾越技士長

臨床工学技士になるきっかけ

理系の学校に進学しており、物理と化学が得意でした。母が看護師だったので医療に興味もありました。理工学と医学が合わさった新しい職種が法律も制定され、学校もでき始めておりました。新しい職種なので、先駆者になれるのではないかと言うことで、興味を持ち臨床工学技士になりました。

工学だと言うことで機械メインの仕事かと思っていたら、実際に実習に入ってみると、患者様との接触の多い仕事だと思いました。学校では接遇の授業はありませんので、機械のみではなく臨床の授業もあった方が良いと思いました。

仙台オープン病院に入職した魅力

整形や脳外科は無く総合病院ではないのですが、臨床工学技士の仕事は網羅されている病院で、資格がフルに生かせる病院と言うことで魅力を感じました。

仙台オープン病院で10年勤務したところで、人工心肺ができると言うことで、仙台厚生病院心臓外科の立ち上げに伴い、20年ほど出向しておりました。

内視鏡業務は3年くらい前に東北最大の件数があり、臨床工学技士業務としてメインにあがってきたので、当院の業務として新たに確立しようと言うことで、担当させていただくことになりました。

一日の業務の流れ

定時 8:30~17:15
ほぼ一日中、内視鏡業務。時間がある時は医療機器管理など臨床工学室業務。

8:30 朝礼(臨床工学室)
8:35 内視鏡センターミーティング、始業点検
9:00 患者さん入室、内視鏡治療(硬性内視鏡)、内視鏡検査(軟性内視鏡)
12:30 お昼休憩(1時間)
13:15 内視鏡センター業務
17:15 終業

内視鏡センター業務について

内視鏡業務は5年前、軟性内視鏡業務から立ち上げました。看護師さんと一緒にやっている業務となります。我々は機械の方のフォローもできますので、デバイスの準備、使用中トラブルの対応等までを業務となっています。こちらは今後、臨床工学技士の数を増やしていく予定です。

当初は私一人でしたが、年々増えており現在は4名体制になっています。全員告示研修を終えたと言うのもありまして、昨年から硬性内視鏡のスコープオペレーター業務を始めました。

分かりやすく言うと、手術に使うのが硬性内視鏡、検査に使うのが軟性内視鏡です。

軟性内視鏡の業務の魅力は、看護師さん同様に患者さんに近いので、コミュニケーションをとりながらできる業務と言うのが魅力です。消化器内科の医師と検査で、これから内科的治療をするか外科的治療をするか判断をしていく重要な検査になります。具体的には、医者の第2の目になって、腫瘍、胃潰瘍、ポリープ等の表面組織をみて、検体組織をとるフォローをしていく仕事になります。

硬性内視鏡は、消化器外科領域の手術になります。カメラを持って先生方の視野の確保をする。切ったり、縫ったりするところを、先生方の見たいところにカメラを移動させ、手術の補助をする仕事になります。先生方の目となる訳ですね。

これからはお腹を開けて切ったり縫ったりする手術より、低侵襲手術が進んでいきます。内視鏡治療は、その典型的なところであって、血液検査、血便、定期健診などの結果を経て、内視鏡検査で早期発見ができますので、早期発見できることで、お腹を開かず内視鏡治療で治していきます。

消化器外科では、ロボット手術装置の導入も検討されていますので、新たなロボット手術装置の立ち上げ準備なども業務になってきます。

千葉技士長に聞いてみた

千葉技士長

入職後研修について

軟性内視鏡の件数が多いので、軟性内視鏡、機器管理、血液浄化からスタートしていきます。3か月くらいOJTで覚えてもらって、その後の3か月は、心カテ業務を半日入って行くようなかたちになります。午前に軟性内視鏡業務で、始業点検、洗浄。午後は医療機器管理。外来透析はやっていないので、院内透析や他の血液浄化があった際には、積極的にかかわって、業務を覚えていきます。

半年経過後は、4部門、機器管理・血液浄化・循環器・高気圧酸素治療をオールラウンドで対応できるように、2年かけて主任クラスが業務を教えて行きます。

認定士、資格などの補助について

体外循環認定士、3学会合同呼吸療法認定士、透析技術認定士、MDIC、インターベンション技師、消化器内視鏡技師などを取るようにしています。業務上とる必要のある資格もありますが、4年くらいすると、何の資格をとりたいと言ってくる時期にもなりますので、とりたい資格、やりたい業務を後押ししてあげる環境を作っています。

資格取得・学会などは、出張旅費が臨床工学室に割り振られていますので、交通費・宿泊費・受講費として、支給しています。取得したことのインセンティブと言うのはありませんが、更新費用も支給しています。告示研修も、臨床工学技士9名(男性4名、女性5名)全員が取得済みになります。

私が入職した20数年前は、人工心肺は女性の仕事じゃないと言うような風潮があったのですが、当院ではそんなことはなく、女性の先輩が人工心肺をまわされていたので、昔から男性、女性の区別はないかと思います。当院は、臨床工学技士の資格でできる仕事が一通りありますので、男女問わず応募はあるのですが、入職試験をした結果、女性がたまたま多いだけです。女性の方が多いのですが、育休は、まだ、男性しかとっておりませんが、ちゃんと育休など継続して働いていただける環境整備はしております。

学生の志望動機から見る仙台オープン病院の魅力

内視鏡業務をやりたいと言う学生さんが増えました。尾越技士長は学会発表や、技士会の理事や、学校での講師をやってくれたりするので、内視鏡業務をやりたい学生さんの見学が増えています。

当院は色々な業務ができると言うのが、一番の志望動機ですが、この頃は、人工心肺業務って余り人気がなくて、最近はアブレーション業務に興味を持つ学生さんが増えたなと言う印象です。学生さんにとっては近未来的な画像を見て面白いと思うようです。アブレーションに携わる人は、不整脈がちゃんとしたリズムに戻るのが快感みたいですよ。

人工心肺業務は、以前に比べて志望する学生さんが減ったように思いますが、これから始まる臨床実習で少しでも理解を深めて興味を持ってくれたら嬉しいです。

一緒に働きたい臨床工学技士の人物像

機器管理やりたいって言う人は、余り人と話すのが得意じゃないから…と言うのですが、全ての業務が、対臨床工学技士、対多職種、対患者さんとコミュニケーションをとらないと、安心安全な医療ってできないと思っていますので、ごく普通で良いんですけどコミュニケーションの力と言うのは必要です。コミュニケーションとはみんなと仲良く、ということの他に仕事を行う上で、聞いて理解する力・相手に伝わるように話す力が何より重要と考えています。

やる気のある人も必要ですけど、チーム医療なので、チームで動いていると言うのも分かってもらえないと難しいです。そう言った視点で、こっそりと、見学に来た学生さんをみるようにしています。

挨拶ができる人、多職種同士気持ちよく仕事ができるとか、機械では補えない部分を自然にできる方が理想でしょうか。

 

取材協力

公益財団法人 仙台市医療センター 仙台オープン病院 臨床工学室
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