【臨床工学技士インタビュー】2015年に100周年を迎えた東京都済生会中央病院。1世紀にわたって現在の地で地域のみならず日本の医療に貢献してきた。技師長は、全国済生会臨床工学技士会の発起人。臨床工学技士が集まり知恵を出し合うことで横のつながりを強固に。済生会の医療の質の向上に貢献!

東京都済生会中央病院

1911年に明治天皇の済生勅語により創設された”社会福祉法人 済生会”。4年後の1915年に現在地に開設した東京都済生会中央病院は、全国におよそ81ある済生会の病院のなかで2番目に長い歴史を持つ。

100年以上経った現在は、「治し支える医療」実現のため済生の精神に基づいた思いやりのある保健・医療・福祉サービスの提供に努めている。

病床数535床、中央管理の機器は2,500台。

臨床工学科の石井秀一(いしい・しゅういち)技士長に話を聞いた。

石井 技士長

Q.臨床工学科には何名の臨床工学技士が所属していますか?

東京都済生会中央病院の臨床工学科には、25名(うち女性10名)の臨床工学技士が所属しています。中央管理している医療機器の数は、2,500台あります。臨床工学科は、主棟の6階にあり、窓から東京タワーが見えるほど景色がいい場所です。この6階には、救命救急センター(救急専用病棟、救命ICU)、5階には手術室、総合ICUと臨床工学技士が動きやすい場所に位置しています。

Q.入職するとどのように研修をしていきますか?

機器管理、循環、呼吸、代謝を2か月周期で約1年間ローテーションしていき、初期トレーニングを積んでもらいます。入職して1年目の年明けから夜勤業務に入れるよう研修をしていきます。東京都済生会中央病院では、”医療機器中央管理”、”臨床技術提供”、”ME機器教育”を三本柱としています。ただ、医療機器を扱うにあたっては、医療機器自体のことはもちろん、その医療機器を使って行う臨床のことも知らなければなりませんので、2年目以降も縦割りにはしていません。例えば、人工呼吸器を使うのであれば、呼吸のこと、人工呼吸器という器械のことを知らなければならないので、器械と臨床のことをわけては考えていません。当然、核となるスタッフはいますがそのほかのスタッフは1週間単位の当番制でみんながどの業務でもできるような体制をとっています。

2年目でもその人に能力があればどんどん仕事を任せていきます。患者さんが呼吸器の病気になった場合、呼吸器だけが悪くなるわけではなくて心臓や腎臓も悪くなると考えると我々があつかう人工臓器といわれるものは、必ずどれにも付随します。そのときに、『私は呼吸器専門だから心臓のことは専門の人お願いね。』というわけにはいきません。呼吸器のことも考えながら循環動態のことも腎臓のことも考える。患者さんの全身状態をみながらよりより器械の提供というのをできるようスタッフを育てています。

1日のスケジュール

定時8:30~17:00

8:30     ブリーフィング(15~20分程度)
8:45     各担当ベッドサイドへ(1回目)、人工呼吸器使用者の状況確認、情報交換など
10:30   データ入力
10:50   病棟から返却された医療機器の消毒、点検など

12:00~ 休憩(昼食)1時間

13:00~ ベッドサイドへ(2回目)
           CHDF(持続緩徐式血液濾過透析)、器械の定期点検・修理、緊急の心カテ業務、救急対応(当番制)
15:00~ ベッドサイドへ(3回目)
16:00~ 救命ICU・総合ICU 補充・消毒
16:30~ 夜勤担当者へのブリーフィング

残業時間は、月平均20時間程度。
夜勤16:30~翌朝9:00
夜勤、オンコールの担当者は、各1名ずつ。

全国済生会臨床工学技士会

3年前、私が発起人となって有志5名で全国済生会臨床工学技士会を立ち上げ、会長をしております。現在、全国55の済生会施設が加入しています。栄養科や検査科、事務部門などは横のつながりがありましたが臨床工学技士に関してはありませんでした。新しい機器情報共有や情報交換、困りごとがあったときに助けてもらえるような体制づくりができればと以前から思っていました。第1回の総会を開催する2週間前に新型コロナウイルスが蔓延しはじめ、日本中時が止まったかのようになりどうなることかと思いました。まだまだ思うようには活動できていませんが、今年は、全国の病院にアンケートを取って各病院紹介を冊子にまとめるということをしています。

Q.組織をつくったことで、つながりが活かされた場面はありましたか? 

静岡済生会総合病院と他の要件で連絡を取っていたところ、da Vinci(ダヴィンチ)を導入する際に、「ほかの病院では臨床工学科はどのような動きをしているのか」というお尋ねがありました。私からすでにda Vinci(ダヴィンチ)が稼働している済生会横浜市東部病院へ連絡をいれ、静岡済生会総合病院の技士の方とお話をしていただきました。情報交換により仕事の質をあげられる。どんな些細なことでも気軽に尋ねられるような関係性を築いていけたらと思います。

年に1度の保守点検

取材した日、臨床工学科では、輸液ポンプを分解して定期点検する作業が行われていた。これまでは医療機器をメーカーへ送っていたが、東京都済生会中央病院の臨床工学技士がメーカーで技術講習を受け、院内でメンテナンスができる体制を整えた。

「3年前から病院内で輸液ポンプを分解してメンテナンス作業を行うようになりました。このほかにも電気メスや人工呼吸器、保育器なども同じようなメンテナンスを行なっています。」

Q.自分たちでメンテナンスすることによってのメリットはありますか?

分解することによって消耗しやすい部品や機械の構造的に弱い部分を自分たちで確かめることができます。また、故障のパターンがわかってくるので機器トラブルがあった時の対応が素早くできるようになりました。例えば、輸液ポンプであれば薬液が内部に流れ込みやすいので、もしも付着した場合はしっかり拭き取るなど使用する部署へ注意を呼びかけています。

これから

Q.今後、取り組みたいことはありますか?

病院全体に頼りにしてもらえる臨床工学科にしていきたいですね。医療機器に関する困りごとはもちろん、医師も人事異動がありますから数年に一度体制が変わります。そのようなときに「以前はどうでしたか?」と相談してもらえるような存在でありたいと思っています。おおげさかもしれませんが、”東京都済生会中央病院にMEあり”となってほしいですね。

 

取材協力

社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院 臨床工学科
募集要項
108-0073 東京都港区三田1丁目4番17号  Tel.03-3451-8211(代表)