【臨床工学技士インタビュー】2022年11月に新規移転完了。職務拡大、多職種のコミュニケーションも活発で働きやすく、学会発表等アウトプットも盛んな三愛会総合病院 臨床工学科

三愛会総合病院

1986年5月に三郷市に開院された三愛会病院。三愛会の「三愛」は、人・地域・勤めを愛することが由来となっている。開院当時は内科・外科・小児科・耳鼻咽喉科からなる4科20床の病院だったが、1989年12月IMS(イムス)グループへ加入。皮膚科や眼科、整形外科、泌尿器科、人工透析室などを相次いで開設し、2000年5月に病院名称を三愛会総合病院へ変更。2001年9月には病床数178床に増床、2005年には外来人工透析部門としてイムス三郷クリニックを開設、2014年9月には三愛会ロイヤル訪問看護ステーションを開設、同年10月には地域包括ケア病床も開設。2022年11月1日に新病院(総病床数274床、96床増床)へ移転し、急性期機能を強化後、地域の皆さまに寄り添った医療が提供できるよう診療体制確保に努める。
新病院で新規業務の立ち上げを担当する4年目の毒島瑛司(どくしま・えいじ)技士と、労働環境整備と人材育成に力を入れている吉澤拓也(よしざわ・たくや)技士長(臨床工学科・課長)にお話を伺った。

毒島 技士(左)・吉澤 技士長(右)

 

臨床工学技士毒島技士

毒島 技士

Q.臨床工学技士になるきっかけ

母が薬剤師を勧めてくれていたので、医療系には興味を持っていました。ガンダムのプラモデルを作ったり、ロボットアニメが好きで、機械が好きで、工学系の大学に進みたかったのですが、進路相談で、医療系の工学があると言うことで、高校の近くに臨床工学科のある大学のオープンキャンパスに行きました。
みんな同じだと思うんですけど、オープンキャンパスで、人工心肺、電気メスなんかのメンテや修理をする仕事だと言う実技を見て、「カッコいい!!」と思って、そのまま近くの大学に入りました。

Q.何故、三愛会総合病院を選ばれましたか?

色々な病院に見学に行きましたが職場の雰囲気が圧倒的に良いです。多職種での会話もそうですし、技士長も気付くと隣に座っていて、声を掛けてくれたりして優しいんです。あとは、新病院になると言うことで、新しい機械が入ってくるのかなと言う期待がありました。コロナ前は、オペチームと言う垣根だけではなく、普通に多職種で仕事終わりに飲みに行くなど、仲が良いんです。

Q.どのような業務をされていますか?

透析業務、機器管理業務、心カテ業務、手術室業務です。今回、新病院になって、消化器と循環器内科が増えました。ゼロからイチを生み出すような業務をしたいと思って、スコピストもやりたいと思って、ドクターにかけあっています。
実際にやるのが決まれば、IMSグループの病院から応援に来てもらったり、他の病院へ習得の研修に行ったりできるので、やりがいがある業務になると思います。

Q.実際に、現場に入られてみて、何かギャップはありましたか?

学校では表面的なことを習うのに比べて、臨床は、業務量が多くて奥が深いと言うとことです。臨床に入ると、何をとっても奥が深いので、設備の事やガスの事など、臨床に付随する勉強も増えてきます。

Q.毒島技士の一日の流れを教えてください。

心カテ業務(検査、治療)、MEPなどの業務が多い。
スペシャリストより、カテ領域のジェネラリストを目指したい。
定時は、8時~17時、お昼休憩1時間

7:00 起床
8:00 出社、オペ準備、使用前点検
9:00 オペ開始(医療機器操作)
12:00 お昼休憩
13:00 オペ室、心カテ業務
15:00 機器管理業務
17:00 退社

月間残業時間20時間程度

Q.三愛会総合病院に入職して良かった点を教えてください。

大学の同期とは頻繁に連絡しあっていますが、透析クリニックに就職した人は、モチベーション維持が大変だと言う人が多いです。三愛会総合病院にいると、透析やりたい人は透析だけやることも出来ますが、やることがどんどん増えていくし、増やせる状況なので、モチベーション維持には、最適な病院だと思います。

Q.リクルート担当をされているそうですが

見学に来る学生さんに病院案内をする担当をさせて頂いています。何の業務をやりたいと言うより、QOL(Quality of Life)を重視される学生さんが多く見学に来ます。仕事内容や働きやすい職場雰囲気を感じてもらえればと思いますし、個々学生の病院選びのポイントが違うと思いますので、学生さんの要望の吸い上げをして、技士長と共有を図り魅力のある病院像を模索しています。他の病院より、絶対に働く環境としては良いので、現場見学には是非来て欲しいと思います。

Q.お休みの日は何をされていますか?

今年は、受験資格が得られるので、透析技術認定士を取ろうと思います。教えることが好きなので、専門や大学で教鞭をとるのには、修士は必要なので、修士は将来的には、取ろうと思っています。
それ以外は、実務経験を必要としないような第1種ME技術実力検定試験や、心電図検定を取りたいと思って勉強しています。
ジムに行ったり、バイクに乗ったり、ガンプラ作ったり、アニメ見たり、趣味を多く持つことを意識しています。多趣味だと多職種の色んな方と年齢は違っても趣味が一緒だと仲良くなれるので。変わったところでは、ウイスキー検定の勉強もしています。

 

三愛会総合病院臨床工学科

吉澤 技士長

Q.入職するとどのような研修がありますでしょうか?

IMSグループでは入職前に研修があります。医療人・社会人としての心構え、接遇、同期のつながりを目的とします。入職後の研修では部門ごとの講話があります。三愛会総合病院では、最初は血液浄化を担当します。業務もさることながら、コミュニケーションを学んでもらいます。その後の担当は、血液浄化、医療機器管理、オペ室とローテーションを行います。教育体制はガントチャートを用いて3か月、半年、1年と修得を行い、安心して業務習得に取り組む環境を提供致します。

Q.勤務と福利厚生について

4週8休です。ちょうど、明日から、私は育休に入ります。厚生労働省より10月1日から「産後パパ育休」と呼ばれる制度が始まりました。産前産後8週のうち、最大4週間の育休が取得可能です。また、通常の育休は2回に分けて取得することが可能となりました。私は産後パパ育休を2週間取得し、その後1回目の通常育休を12月下旬から2月上旬まで取得予定です。2回目の通常育休は来年度に取得するライフプランを考えております。私の以前担当していた施設の話です。私がまだ管理職になる前、ともに苦楽を共にした同僚がおりました。彼は私が初めて教育を担当した男性職員でした。彼はライフワークバランスを保つべく転職しました。彼は私に『一人でも多くの職員に育休を取らせてあげてください』と私に言い残しました。時は過ぎ、私が管理職になった直後に育休を希望する別の男性職員がおりました。彼はとても優秀であり、管理職になったばかりの私には手放すことができない人材でした。出来れば育休を取らずに仕事を続けてほしい。当時はそのような考えもよぎりました。しかし私は同僚の言葉を思い出し、『好きなだけ育休を取って下さい』と伝えました。結果的に彼は希望通りの育休を取得することができ、復帰後も大活躍しております。次回は是非彼のインタビューもしてほしいと思います。

私は、男性の育休は推奨したいと考えております。まだまだ育休取得のハードルは高く、周りからの理解を得るのは難しいケースもあると思います。
そこで私は自らをモデルとし、育休をフルに活用したらどのようなヴィジョンが開けるかを体験することにしました。私自身が育児教育に興味があることはさることながら、マイノリティ側に立つことで初めて見えてくる景色があると思います。実体験することで理解が深まり、今後取得を希望される臨床工学技士の道しるべとなれるよう努めます。この新しい制度は臨床工学部門における働き方革命になると信じています。ライフステージに合わせて育休や時短勤務など働き方は無限大であると思います。

Q.資格や学会への支援はありますか?

告示研修は全員が受講する方針ですので、グループで費用は負担致します。また、学会で演題発表される方には学会参加費や交通費を支援致します。

Q.三愛会総合病院の臨床工学科のヴィジョンなどありますでしょうか。

楽しく働き、差し引きしないでチャレンジする!さすれば自ずと周囲から求められる職員になると私は確信しています。

Q.IMSグループとしてのグループメリットはどのようなものがありますでしょうか?

最大のメリットは業務支援をグループ内で完結できることです。
自施設における業務拡大を行う際、新たな業務を習得するための研修をグループ内で行うことが出来き、業務支援における職員の応援も可能です。
当院は移転後に循環器業務が増えました。そこで循環器領域の充実したグループ施設へ研修および応援を依頼しました。現在も適宜応援を要請し、グループのスケールメリットを実感しました。またグループ内の技士長で構成した委員会活動があります。先の入職前研修などを取りまとめる教育委員会、医療機器管理委員会、リスクマネージメント委員会などがあり、医療機器における一括管理や最新情報、インシデントレポートを共有しています。

Q.新病院になって何か技士長のノウハウを生かしたようなことは?

新生三愛会総合病院における血液浄化療法センターでは電子カルテ、透析支援システム、スケール搭載ベッド、会計システムをネットワークで連携させることができました。透析患者様の体重、除水計算、血液データ等、全く手書きをしないで対応することが可能です。手書きや転記におけるインシデントを格段に減らし、業務効率を上げる方策です。アナログからデジタルへアップデートすることで業務負担は削減できたと確信しております。今回の方策は臨床工学技士のみにフォーカスしたものではありません。医師や看護師、医療事務、地域医療相談室の業務効率を上げて一人でも多くの患者様へ安心の医療を提供するために実装致しました。

Q.技士長の目標などはありますか?

当時は専門卒が主流でした。しかし今後は学士も必要であると考え、6年前に通信制で学士を取得しました。今は専門分野で修士をとろうと就学しています。私は血液浄化領域で透析液清浄化に関わる研究を10年前から行っております。引き続き研究を深め、演題発表や執筆活動を行いたいと考えます。
今後は育休を始めとした新たなライフスタイルの確立、グループにおけるスケールメリットの強化を目指します。一人でも多くの臨床工学技士が働きやすい環境を作り上げることが目標です。最後に、現在のIMS臨床工学部門が成り立っているのは歴代の技士長方が道なき道を切り開いて下さったからだと考えます。私は恩師たちのバトンを受け取り、更なる高みに部門を昇華できるよう、IMSグループ臨床工学部門の統轄職を目指します。それが育てて下さった恩師たちへの感謝の気持ちと最大の恩返しになると私は思い、これからも活動を続けます。

取材協力

IMSグループ 医療法人三愛会 三愛会総合病院 臨床工学科
〒341-0003 埼玉県三郷市彦成2-342 Tel.048-958-3111
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