藤枝市立総合病院
昭和25年3月に共立志太診療所として開設し、昭和29年3月、藤枝市立志太総合病院に名称を変更。平成7年4月、現住所への新築移転とともに藤枝市立総合病院へと名称変更を行い現在に至ります。
藤枝市立総合病院は、救急とがんに強い病院として地域の方々の健康を守るべく、地域がん診療連携拠点病院として、低侵襲手術室でのロボット支援手術(ダビンチ)による前立腺がんや肺がん、婦人科がんを対象とした手術を行なっています。
令和6年には志太榛原地域で唯一の緩和ケア病棟が完成し、がん診療のさらなる充実が推進されるとのことです。
また平成29年4月に救命救急センターに指定され、令和4年からラピッドレスポンスカー(ドクターカー)を本格的に稼働させることで救急現場での早期医療介入を実現しています。
年間約15,000人の受診者数と、6,000台の救急車を受け付けるなど、地域の救急医療の中核としての役割を担われています。
今回は、臨床工学科の杉本直行(すぎもと・なおゆき)科長、臨床工学技士8年目の竹島善貴(たけしま・よしたか)技士、3年目の松浦竜也(まつうら・たつや)技士にお話を伺いました。
竹島技士に聞いてみた
竹島技士
臨床工学技士を選んだ理由
高校生の時に理系に進んだのですが、機械エンジニアと医療系に興味があることを進路指導の先生に相談したところ、臨床工学技士という仕事があることを教えてもらいました。
オープンキャンパスに行くまでは、病院業務といったら医師や看護師くらいの認識しなかったのですが、実際にどのような仕事をしているのか見させていただきました。
臨床工学技士が人工呼吸器や人工心肺などに関わっていることや、「病院における機械のスペシャリスト」として今後、発展していくんじゃないかというお話を聞きして、やってみようと思いました。
藤枝市立総合病院を選んだ経緯
もともと、大学を卒業して4、5年間は幅広く臨床工学技士の業務を行っている病院で経験を積み、その後、地元の病院で勤務しようと考えていました。
藤枝市立総合病院はぼくの地元の隣市にあり、この近辺で最大規模であること、救命医療や手術室業務、人工心肺業務などにも関心があり、この地域で救命医療を行っている唯一の病院であることが大きな決め手となりました。
ホームページに掲げている基本理念に共感したことも大きかったです。
それと、幼い頃から藤枝市立総合病院を利用していたので親しみがありました。
現在の業務
メインはICU医療機器管理業務です。
ECMOや CHDF、HD、PMXという治療の臨床業務をはじめ、人工呼吸器の使用中の点検、心電図などの生体情報モニターや除細動器の日常点検など。
手術室業務は、眼科手術の直接介助業務、ダビンチを使ったロボット支援手術におけるダビンチのセッティングや立ち合い、鏡視下手術で使用する機械のセッティングや開始時の立ち会いをメインに行なっています。
一日の流れ
病院全体の定時 8時30分〜17時15分(休憩60分)
臨床工学科の定時 7時30分〜16時15分(休憩60分)
残業 4時間/週
※その他、夜間の当直業務があります(毎日1人、7人体制)
7:30 手術室で麻酔器の点検や鏡視下手術やロボット手術のセッティング
8:00 人工心肺の回路の準備、物品の準備開始
8:30 朝礼(当直者からの申し送り、業務内容の確認など)
9:00 手術室に患者さん入室
9:30 タイムアウト
ポンプを回す前に早お昼にするか、時間がない時は終わってからお昼をとります。
11:00 人工心肺の手術開始
15:00 手術終了後、患者さんをICUに送り届け、作業をしながら患者さんが落ち着くまで立ち会う
16:00 お昼や休憩
16:15 終業
この仕事のやりがい
進路を決めたときは機械の保守管理という意味での「病院における機械のスペシャリスト」というイメージでしたが、今では臨床業務を含むもっと幅広い意味での「病院における機械のスペシャリスト」だと思っていまして、それがやりがいです。
実際、業務は幅広く、細かいトラブルなども日々対処しなくてはならず、分からないことは上司や先輩からすぐに教えていただけます。
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最初に見学した時、病院内のスタッフや雰囲気、臨床工学技士の先輩方の人柄が良さそうで、働きやすそうだと思いましたが、わからないことなどをすぐみんなで報告する形があるので、自分の経験以外も共有できるので働きやすいです。
自分に近しい年齢の若手も増えてきているので、切磋琢磨しながら経験を積み、患者さん第一に仕事がスムーズに行えるようにしていきたいと思っています。
松浦技士に聞いてみた
松浦技士
臨床工学技士を選んだ理由
高校生の時まで野球をやっていて、怪我をすることが多く、病院や整形外科のクリニックにはよくお世話になっていたことが、医療系の仕事に興味が持つきっかけでした。
臨床工学技士については、医療系の仕事を調べていく中でその存在を知ったのですが、ぼくも竹島さん同じく理系出身なので、自分の特性を活かせそうだと考え、この職種を志望するようになりました。
野球部時代に、理学療法士の方が部活動をしているグラウンドに来て下さるなど、とても優しく接していただいた経験があり、ぼく自身も患者さんが治る過程を追いかることに興味を持ちました。人工呼吸器や人工透析などを取り扱う臨床工学技士の仕事は、患者さんと近い距離で、その治療過程を追いかけられる仕事だというイメージがあり、それが臨床工学士を選ぶ決め手となりました。
藤枝市立総合病院を選んだ経緯
ぼくは藤枝市から少し離れたところに住んでいますが、志太榛原地域で唯一の救命救急センターに指定されている市立病院というところに魅力を感じて志望しました。
藤枝市立総合病院は三次救急、心臓血管外科もあります。
軽度の患者さんに使う機械のほか、重度の患者さんに使う機械もあり、臨床工学技士としての業務を最大限に活かせると思ったのと、自分も医療関係者の方々に勇気づけてもらったので、地元の学校や患者さんのためになれば一番いいなと思いました。
現在の業務
人工透析室の業務がメインで、手術室の業務では血管外科の下肢の静脈瘤などの立ち会いを行なったり、AEDや除細動器の点検などの機器管理を行なったりしています。
一日の流れ
病院全体の定時 8時30分〜17時15分(休憩60分)
臨床工学科の定時 7時30分〜16時15分(休憩60分)
残業 5時間/週
7:30 午前中の患者さんの準備(透析回路のクライミング、チェック)その後、朝礼
8:30 患者さん入室。バイタルを取り、穿刺
9:30 透析開始(月水金は2クール、火木土は1クール)
10:00 開始後のチェック
11:00 午後の患者さんの準備、終了後に昼
13:00〜13:30 返血
14:00 午後の患者さんを一斉に入れて2クール目の穿刺開始
16:15 終業
*2クール目の返血は18時頃になるので残り番が対応。19時にセンターを閉める
*土曜日 緊急対応がない限りは半日勤務(月に3回程度、半日振替休日などで調整)
この仕事のやりがい
透析室は患者さんとコミュニケーション取れるところなので、安心して任せていただけるためにも患者さんと信頼関係を作ることを大切にしています。
そういう意味でも患者さんに説明をしますし、また説明すること自体が自分の勉強にもなるので、両方の側面からコミュニケーションを取ることを心がけて実践しています。
こうしたところも透析のやりがいだと思います。
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チーム医療として他の医療職の方と連携するので、委員会がしっかりあるのもいいですし、病院内の勉強会もあって、勉強がとても楽しいので積極的に参加しています。
入職して全てが学びになるので、飽きずに勉強できる感じです。
発表も推奨されていて、今後、研究発表したいことが見つかれば、外部に発表をしてみたいと思っています。
杉本科長に聞いてみた
杉本科長
新卒が4月に入職してきたら
入職すると5日間の研修があります。
研修では、施設の基礎的な研修や医療安全、公務員としての心構えなど、全体的な内容を他職種と一緒に行い、その後職種ごとに分かれて行います。
職種ごとの内容としては、臨床工学技士としての基本的な操作や整理、医療機器の管理、医師や看護師とのチーム医療の連携、患者さんと接する際の基本的なことを研修します。
研修終了後は、透析室に配属され約2年間は透析業務を習得してもらいます。
1年間は透析室の業務を習得してもらい、2年目からは透析室の業務をメインにしながら、手術室のレーザー業務、病棟機器の回収、AEDやDCの管理など他の部署にも入る形で業務を習得する取り組みをしています。
ICUの業務に関しては3年目から覚えてもらい、その後当直に入りますが、IABPと PCPS等の対応を習得することが必須です。
心臓カテーテル、ペースメーカーは臨床工学科では現在、循環補助デバイスや体外式ペースメーカーの管理のみです。
臨床工学技士は計14名、男性12名、女性2名、50代は3名、40代は3名、30代は2名、20代は6名で、透析室に6名、それ以外の人数で手術室、ICU、ER、病棟、内視鏡、医療機器管理をローテーションで行い、令和5年度から経理課の物品係に1名配属しています。
教育環境
学会発表に関しては、病院の方針として推奨されていて、当科もその方針を踏襲しています。
令和6年度からは日本病院学会や自治体病院学会など様々な場所で積極的に発表できるよう、科としてバックアップしていきます。
認定資格に関しては、施設認定要件になる体外循環認定士、心臓外科に関する資格や、告示研修などが病院の全額負担となります。その他、業務に必要な資格の取得に関しては各自に研究・研修費があります。
今後は心臓カテーテルの業務にも積極的に取り組んでいきたいので、その一環として令和5年4月から心臓カテーテルのアブレーションがスタートし、そこに1名つけて教育をしています。
アブレーション業務が軌道にのれば、次はペースメーカーに着手し、その後に虚血もできるように進めたいと思っています。
ただ、虚血になると呼び出しに対応することになり、マンパワーが必要になるので、もう少し人数が増えてから虚血をやっていくという方針でいます。
また入職して3年目まではラダーの原型がありますので、それに従って透析やICUの当直業務を進めています。
福利厚生に関して
技師を含め病院職員が利用できる院内保育所があります。
女性のライフステージに変化があっても働きやすい職場環境を作っています。
臨床工学科のある教育機関は藤枝市近隣にはなく、専門学校が浜松市、工学科の大学は県外になります。
地元に戻って働きたい意識の強い方の要望に応えていきたいですね。
採用に関して
適性検査、小論文、面接(診療技術部担当部長、院長)です。
面接はグループではなく個別で行なっています。
臨床工学技士は潤滑油のように病院の中で動いているので、縁の下の力持ち的な存在だと思います。
チーム医療の中に入っていく必要がありますから、コミュニケーション力のある人が望ましいですね。
なおかつ、気持ちが前向きで、ハングリー精神があり、貪欲さのある人材を求めています。
現在、30代が少ないので30代の中途採用も視野に入れて、業務拡大を推進していきたいですね。
藤枝市立総合病院 臨床工学技科
〒426-8677 静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号 Tel.054-646-1111
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