臨床工学技士の資格を取得すると、病院で働くイメージですが、病院以外でも資格を活かして働ける場所が複数あります。病院以外で働く場所は、「クリニック」「医療機器メーカー」「大学・専門学校の講師」「治験コーディネーター」「海外でNGO(非政府組織)の参加」と様々です。しかし、どの場所も病院で臨床工学技士の実務経験がないと転職がなかなか難しいのです。今回は、臨床工学技士の資格が活かせる病院以外での様々な仕事内容についてご紹介します。臨床工学技士の資格を持っていると病院以外でも転職に有利なのです。
透析専門のクリニック
臨床工学技士の資格保持者で病院以外への転職で真っ先に候補に挙げられるのは、クリニックです。クリニックは、透析専門のクリニックがあります。穿刺ができ透析機器を使いこなせる臨床工学技士は必要な人材です。特に透析クリニックは全国的に多いため転職はしやすいのです。病院のように、オンコールがないためプライベートの時間が増えます。透析クリニックだけでなく、心臓カテーテルを専門とした循環器クリニックもあります。病院で経験を積んだ後に、自分の専門性に応じたクリニックを選ぶのも一つの選択肢です。しかし、仕事がマンネリ化しやすいため、学会活動に参加して刺激を受けることも必要です。
医療機器メーカー
次に医療機器メーカーは、臨床工学技士の資格を活かせる病院以外での仕事です。医療機器メーカーでは、臨床経験のある臨床工学技士を営業のサポート役として採用しています。営業のサポート役をアプリケーションスペシャリストといいます。医療機器の営業活動の際に臨床工学技士の役割は、医療機器の使用説明やデモンストレーションです。使用説明だけでなく、メンテナンス方法やセールスポイントも説明します。医療機器の説明は専門的な知識が必要なため、臨床工学技士の経験が活かされます。さらに医療従事者に説明する時、医療従事者から色んな質問されます。中には手厳しい意見を述べる方もいます。病院勤務で医療従事者とのコミュニケーションに慣れている臨床工学技士であれば貴重な存在です。医療機器メーカーに就職するとオンコールや夜勤がなくなるだけでなく、病院より高収入になります。しかし、企業で営業として働くために、全国の出張が増えます。企業として医療機器を売ることが仕事のため、病院勤務とは違う能力が求められます。特に営業マンとしてのコミュニケーションは必須です。さらに医療機器メーカーは外資系企業が多いため、キャリアアップのためには英語力を求められます。ただし、病院とは異なる人脈が広がり、最先端の情報に常に触れられるところが、医療機器メーカーのやりがいです。
大学や専門学校の講師
また、臨床工学技士を育成する大学や専門学校の講師になる道もあります。医療機器は発達していますが、臨床工学技士はまだまだ人手不足です。臨床工学技士の育成ができる講師も必要な存在です。大学の講師だけなく、大学院に進学して工学博士となって研究者の道もあります。最近は、治験コーディネーターの道に進む臨床工学技士もいます。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは治験を行う医療機関で、治験を円滑に進めるために医療従事者をサポートします。臨床工学技士が治験コーディネーターで力を発揮できる理由は3点あります。1点目は透析の知識があることです。治験の中には透析をしながら治験を行う場合があります。その際に、臨床工学技士の透析の知識が求められます。2点目は、カルテの内容を読めることです。カルテの内容は専門用語で記載されており、判読は難しいです。しかし、病院勤務でカルテを読み慣れている臨床工学技士は、治験コーディネーターで役立つスキルです。3点目は、医療従事者とのやりとりです。医療機器メーカーと同様に医療従事者とやり取りをします。しかし、医療機器の使用説明やデモストレーションを行う医療メーカーとは、医療従事者の対応は少し異なります。治験をスムーズに進めるためには、患者さんを初め医師・看護師などの調整役になる必要になり、精神的に疲れることもあります。治験を行うために、書類の作成など事務作業が増えてしまうことも特徴です。しかし、治験コーディネーターは、病院勤務と異なるのは自身でスケジュールを決められ、自由度が高くなります。さらに上手く治験のスケジュールを調整できれば、患者だけなく、医師や医療従事者、信頼関係を構築し感謝されます。疾患や薬剤の種類と効果を覚えることは大変ですが、臨床工学技士の仕事だけでは身につかなかったスキルも取得できます。そして、治験が成功すれば、最先端の医療に関われるという実感を得られ、治験コーディネーターとして大きなやりがいを感じます。臨床工学技士として透析業務に携わることは少なくなりますが、新たな分野にチャレンジしたい方には向いている仕事です。
海外のNGO(非政府組織)
最後に、海外のNGO(非政府組織)の参加している臨床工学技士もいます。医療技術が未熟な発展途上国で、医療機器の操作・点検だけでなく、医療機器の指導を行います。臨床工学技士の病院勤務はオンコールや夜勤があるため、私生活に影響が出ることもあります。しかし、臨床工学技士は、病院以外にも資格を活かせる職場はあります。まずは病院で透析や心臓カテーテルなど様々な経験を積んで、自分のライフスタイルやキャリアに応じた道に進む方法もあります。