臨床工学技士は国家資格を取得した医療職種のひとつです。臨床工学技士の受験資格とは?

臨床工学技士とは、国家資格を取得した医療職種のひとつです。医療業界のエンジニアとして、医療と工学の知識を持ち、病院やクリニックを中心として活躍しています。近年の医療機器の進歩に伴い、需要が拡大している資格です。臨床工学技士になるためには、厚生労働省がおこなっている国家試験に合格し免許を取得する必要があります。今回は、国家試験を受けるための受験資格について説明します。

一般的な受験資格を得る方法

臨床工学技士は医療現場で働く国家資格であり、専門的な知識を身につけるため、高校卒業後に臨床工学科のある大学や専門学校に進学することが大前提となります。通信制の学校はないため、3~4年間大学や専門学校に通うこととなります。そこで、座学や学内実習、病院での臨床実習を経て受験資格を得ます。受験資格を得る、すなわち臨床工学技士としての最低限の知識を得るということになります。

臨床工学技士になるための受験資格を得る方法はさまざま

高校卒業後の方や医療業界以外の社会人が、大学や専門学校の臨床工学科に進学し受験資格を得るのが一般的です。しかし他の医療職種と違い、条件さえ満たせば他の方法でも受験資格を得ることができます。

受験資格とは

臨床工学技士法第11条の規定により国家試験がおこなわれますが、受験資格についてもその中で述べられています。受験資格はさまざまなため、少し複雑になっています。

受験資格のおおまかな条件としては、大学に入学する資格のある者が、大学や臨床工学技士養成所(3~4年制の専門学校)の臨床工学技士科で学ぶ。

大学や高等専門学校、看護師や他の医療職種の学校や養成所に進学後に決められた期間学び、必要な科目を修得し、臨床工学技士養成所に進学する。

外国で臨床工学技士と同等の学校や養成所を卒業している、または日本での臨床工学技士の免許に相当する免許を持っている場合。

大きく分けるとこのような条件があります。臨床工学科のある学校に進学するのが一般的ですが、中には看護師や臨床検査技師が臨床工学技士の養成校に進学し、ダブルライセンスを取得するといった例もあります。その場合、臨床工学技士養成校には1~2年通えば受験資格を得ることができます。臨床工学技士の国家試験の受験資格を得るためには下記の条件が必要になります。(厚生労働省ホームページ参照

①大学に入学する資格のある者(高等学校卒業後)文部科学大臣が指定した学校または、都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(3~4年制の専門学校)において、3年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの。

②学校教育法に基づく大学、高等専門学校、または、厚生労働省で定める学校や文教研修施設もしくは養成所(※ア)において2年(高等専門学校は5年)以上修業し、かつ厚生労働大臣が指定する科目(※イ)を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、1年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの。

③学校教育法に基づく大学、高等専門学校、または、厚生労働省で定める学校や文教研修施設もしくは養成所(※ウ)において1年(高等専門学校は4年)以上修業し、かつ厚生労働大臣が指定する科目(※エ)を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所において、2年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの。

④短期大学を除く学校教育法に基づく大学において厚生労働大臣が指定する科目(※オ)を修めて卒業した者。

⑤外国の生命維持管理装置の操作及び保守点検に関する学校もしくは養成所を卒業し、または外国で臨床工学技士の免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が1~4に掲げるものと同等以上の知識及び技能を有すると認定した者。

※ア 厚生労働省で定める学校や文教研修施設もしくは養成所・文部科学大臣が指定する看護師学校、養成所・文部科学大臣が指定する診療放射線技師学校、養成所・文部科学大臣が指定する作業療法士学校、養成所・文部科学大臣が指定する理学療法士学校、養成所・視能訓練士法第14条第1号により文部科学大臣が指定する視能訓練士学校、養成所・義肢装具士法第14条第1号および2号により文部科学大臣が指定する技士装具士学校、養成所・防衛医科大学校・職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校および職業能力開発総合大学校

※イ 厚生労働大臣が指定する科目・人文科学のうち2科目・社会科学のうち2科目・自然科学のうち2科目・外国語・保健体育・公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学、生化学、免疫学、看護学概論、保健技術学、応用数学、医用工学概論、システム工学、情報処理工学、電気工学、電子工学、物性工学、機械工学、材料工学、計測工学、放射線工学概論、臨床医学概論及び内科診断学のうち8科目

※ウ 厚生労働省で定める学校や文教研修施設もしくは養成所・アに掲げる学校、養成所・視能訓練士法第14条第2号により文部科学大臣が指定する視能訓練士学校又は厚生労働大臣が指定する視能訓練士養成所・義肢装具士法第14条第3号により文部科学大臣が指定する義肢装具士学校又は厚生労働大臣が指定する義肢装具士養成所高等学校専攻科・防衛大学校・水産大学校・海上保安大学校・気象大学校

※エ 厚生労働大臣が指定する科目・人文科学のうち2科目・社会科学のうち2科目・自然科学のうち2科目・外国語・保健体育・公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学、生化学、免疫学、看護学概論、保健技術学、応用数学、医用工学概論、システム工学、情報処理工学、電気工学、電子工学、物性工学、機械工学、材料工学、計測工学、放射線工学概論、臨床医学概論及び内科診断学のうち4科目

※オ 公衆衛生学、医学概論、解剖学、生理学、病理学、生化学、薬理学、免疫学、看護学概論、応用数学、医用工学、電気工学、電子工学、物性工学、機械工学、材料工学、計測工学、医用機器学概論、生体機能代行装置学、医用治療機器学、生体計測装置学、医用機器安全管理学、臨床医学総論、関係法規、臨床実習

まとめ

臨床工学技士の受験資格は、学校でしっかり学び必要な単位を修得できれば得ることができます。学校によっては模試などで合格ラインに届かなければ留年などの措置が取られる場合があるので、日々の勉強の積み重ねが大切になってきます。受験資格を得るためだけではなく、国家試験合格、臨床現場での活躍に向けて、先を見据えて日々を過ごしましょう。