臨床工学技士の資格とは?臨床工学技士の将来性は?専門臨床工学技士と認定臨床工学技士とは?その違いは?

臨床工学技士として働くためには「臨床工学技士免許」つまり国家資格を取得する必要があります。では、他にはどのような資格を取得することが出来るのでしょうか?また臨床工学技士はまだ設立して日の浅い職種ですので、将来性に不安を感じている方も多いかと思います。今回は臨床工学技士として活躍していく上で取得可能な資格に加え、臨床工学技士の将来性についてお話します。

臨床工学技士が取得可能な資格

冒頭でも触れた様に、国家資格さえ持っていれば技士として十分働くことが出来ますが、その他にも各業務における専門性を高めるための「認定資格」というものがあります。認定資格を取得するための条件として、種類によって期間は様々ですが基本的に各業務における実務経験が必要とされているため、これから就活するという方は、早い段階で把握しておくと良いかと思います。しかし、技士にとって認定資格は就職の際に有利になる以外あまりメリットがなく、維持するために時間や費用が掛かり面倒という声もあるため、実際に資格を保有している方は少ないそうです。各認定資格と実施している団体や学会、受験手続ができるHPをご紹介します。その他受験資格や費用等は省略させていただきますが、興味のあるものは是非ご自身で調べてみてください!

公益社団法人日本臨床工学技士会

臨床工学技士を全国規模でまとめている大きな団体として「公益社団法人日本臨床工学技士会」(以下、「日臨工」とする)があります。日臨工で実施されている認定資格は複数あり、大きく「専門臨床工学技士」と「認定臨床工学技士」の2つに分けられています。また受験手続も日臨工のHPで行うことが出来ます。

専門臨床工学技士

専門臨床工学技士とは「各領域業務に携わり業務内容を適切に把握し、指導的立場で専門的治療の対応ができる能力(知識・技術・技能)を修得した臨床工学技士」と定義されています。現在取得可能な認定資格は『呼吸治療専門臨床工学技士』『血液浄化専門臨床工学技士』『手術関連専門臨床工学技士』『心・血管カテーテル専門臨床工学技士』『高気圧酸素治療専門臨床工学技士』『内視鏡業務専門臨床工学技士』『不整脈治療専門臨床工学技士』の7種となっています。

認定臨床工学技士

認定臨床工学技士とは「専門臨床工学技士の基礎資格として、医療機器の安全運用・保守管理の普及と啓発を目的に構築されたもの」と定義されています。現在取得可能な認定資格は『認定血液浄化臨床工学技士』『認定集中治療関連臨床工学技士』『認定医療機器管理臨床工学技士』の3種類となっています。

透析技術認定士・3学会合同呼吸療法認定士

『透析技術認定士』は日本腎臓学会・日本人工臓器学会・日本泌尿器科学会・日本移植学会・日本透析医学会の5学会が実施しており『3学会合同呼吸療法認定士』は日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会の3学会が実施している認定資格です。受験手続はどちらも公益財団法人医療機器センターのHPより行うことが出来ます。

体外循環技術認定士

『体外循環技術認定士』は日本人工臓器学会・日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本体外循環技術医学会の4学会が実施している認定資格です。受験手続は一般社団法人日本人工臓器学会のHPより行うことが出来ます。

臨床ME専門認定士・医療機器情報コミュニケータ(MDIC)

『臨床ME専門認定士』は日本生体医工学会・日本医療機器学会の2学会が実施しており、『医療機器情報コミュニケータ(MDIC)』は日本医療機器学会が実施している認定資格です。受験手続はどちらも一般社団法人日本医療機器学会のHPより行うことが出来ます。

臨床高気圧酸素治療装置操作技師

『臨床高気圧酸素治療装置操作技師』は日本臨床高気圧酸素・潜水医学会が受験手続から認定まで行っている認定資格です。

心血管インターベンション技師

『心血管インターベンション技師』は日本心血管インターベンション治療学会と日本インターベンショナルラジオロジー学会の2学会が実施している認定資格です。受験手続は一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会のHPより行うことが出来ます。

消化器内視鏡技師

『消化器内視鏡技師』は日本消化器内視鏡学会が受験手続から認定まで行っている認定資格です。

日本アフェレシス学会認定技士

『日本アフェレシス学会認定技士』は一般社団法人日本アフェレシス学会が受験手続から認定まで行っている認定資格です。

CDR認定制度・植込み型心臓デバイス認定士

『CDR認定制度』と『植込み型心臓デバイス認定士』は一般社団法人 日本不整脈心電学会が受験手続から認定まで行っている認定資格です。またCDR 認定制度とは「植込み型心臓ペースメーカや植込み型除細動器(ICD )等についての専門的な医療機器情報や医療技術情報を提供するもの」を指しています。

第2種ME技術実力検定試験・第1種ME技術実力検定試験

こちらは認定資格ではありませんが、国家資格取得前から受験可能な検定試験で就職の際に役に立つ可能性があるため記載させていただきました。こちらは一般社団法人日本生体医工学会のHPより受験手続を行うことが出来ます。

臨床工学技士の将来性

私個人の意見としては、臨床工学技士は将来性のある職業だと思いますが、まだ設立して日の浅い職業ですので、まだまだ現状を見直し改善する必要もあるかと思っております。まず、医療が発展し続ける限り医療機器も高度化し続けるため、臨床工学技士への需要が無くなることは無いでしょう。また、働く意思さえあれば、どこに行っても働く事は可能ですので、安定した職業だと思います。ただ、臨床工学技士は他の医療職と比べて独占業務がなく業務範囲が曖昧なため、施設によっては給料が低く労働環境も過酷な一面があります。最近では、コロナの影響で臨床工学技士への注目も高まり、技士の人数は増えているように思いますが、同時に、就職しても現状を実感することで現場を離れていく技士も少なくないかと思います。もし、その悪循環が続くようでしたら、技士に明るい未来は望めないかもしれませんね…。そうならないためにも『業務内容の見直し』と『労働環境を改善』していく必要があると思っています。特に独占業務が確立される事がやりがいにもつながりますので、個人的には1番理想的ですね。現状、独占業務ができる様子はまだありませんが、業務範囲を拡大する動きはあるようなので…近いうちに独占業務が確立され、より業務が充実することを期待していこうと思います。

まとめ

認定資格については、今回拾い切れなかったものもあるかもしれませんが、医療の発展に伴い今後更に増えていくことが予想されますので、向上心のある方でしたら常に目標の絶えない職種だと思います。臨床工学技士に関連している団体や学会についての詳細は日臨工ホームページの右上部にある“関連リンク”から確認することが出来ますので、興味のある方は是非調べてみてください!また将来性については様々な意見が飛び交っているかと思いますが、端から悲観していてもいい事はないと思いますので、私は遠い未来に期待して長い目で見ていこうと思います。