筆者は、30代の男性看護師です。以前、大学病院と総合病院に勤めていました。その観点から大学病院と総合病院、2つの病院を比較していきます。
大学病院と総合病院のそれぞれの役割とは
まず、大学病院と総合病院の役割について簡単にお話します。大学病院とは診療だけでなく、医師の教育や最新医療の研究なども行っている病院です。最先端の医療を導入しているため、様々な疾患を持つ患者さんを幅広く受け入れることができます。次に総合病院の役割です。ここで説明する総合病院は公立ではなく民間の総合病院という設定でお話します。総合病院は、基本的に医療法人が経営しており、地域の中核医療を担っている役割があります。それぞれの地域には医師会と言う組織があり、開業医の医師たちの集まった組織といったイメージです。総合病院の中には医師会が運営している大きな病院もあります。開業医の医師が自分のクリニックでは設備が不十分で、手術ができないケースがあります。その際に医師会の総合病院へ患者さんを紹介し、手術や高度な医療を提供することもあります。実際に私が働いていた総合病院は、地域の医師会が運営している大きな病院でした。手術や高度な検査機器が揃っており、クリニックの開業医の医師が患者を連れてきて手術や検査を実施するといったケースがありました。簡潔に説明すると。医師達の教育機関を兼ねているのが大学病院で、地域医療の中核を担っているのが総合病院です。
大学病院で働いて感じたこと
私が勤務していた大学病院は、私の暮らす地域に1つしかありませんでした。そこの大学病院の看護師のイメージは、その地域で大卒の頭が良い看護師が働いていると言う感じでした。実際に頭が良い人が多かったです。私は大学の看護学科を卒業したわけではありませんが、就職して思ったことは、大学の看護学科を卒業して、そのまま大学病院に就職した看護師が多いと言うことです。きちんと就職試験もあるため、決してエスカレーター式に就職が約束されているわけではありませんが。同期が100人程度いましたが、ほとんどが大学の看護学科を卒業した人たちなので、友達や顔見知りばかりがいると言った状況だったようです。
私のような、他の看護学校を卒業して就職した人たちが他所者のような感覚がありました。大学病院で思ったことは、とにかく医師の数が多いと言うことです。一つの診療科に10人程度はいました。ベテランの教授のような医師から、新人の研修医まで様々な医師がいました。いつも医師達はカンファレンスを行っており勉強熱心な雰囲気が漂っていました。研修医や医学生も混在しているため、大学病院内にあるコンビニや食堂は、とにかく医師だらけだったことを覚えています。医大出身の人は、見慣れた風景だと思いますが、私には異様な風景に思えました。また、看護師の立場としては公務員まではいかないけれど、準公務員のような扱いだった記憶があります。なので規律が厳く、窮屈で、指導をされることもありました。医大で働く看護師と言うブランドがあるので、患者さん達に不信感を抱かれてはいけないという空気もありました。仕事自体もとても真面目で、馬鹿話などは業務中にしていませんでした。私は少しくらい、馬鹿話が出来る雰囲気の方が、気楽で好きなのですが、とてもそんな話ができる雰囲気ではありませんでした。
総合病院で働いて感じたこと
次に総合病院で勤務したことをお話します。私は総合病院の外来に勤務していました。大学病院とは違い、やや重苦しい空気はなかったように思えます。と言っても上司は厳しい人でしたので、緊張感がある職場でした。大学病院より医師は少なかったですが、診療科が多いため、様々な医師がいました。私は、消化器内科の医師が行う胃カメラの検査に立ち会う機会が多かったのですが、そこの医師たちが優しい人ばかりで仲良くさせていただいてました。プライベートでもよく飲みに行ったり、奢ってもらったことも多くありました。総合病院は民間病院なので、大学病院ほど規律が厳しくはありませんでした。スタッフ間で馬鹿話をすることも多々ありましたので、働いていて大学病院よりは気が楽でした。しかし、重症患者さんが多く運ばれてくる病院だったので、医療の現場は常に緊張感がありました。緊急時はフレンドリーな医師たちも顔つきが変わることもあり、緊迫感がものすごかったです。
まとめ
大学病院、総合病院、二つの病院の比較をしましたが、私が個人的に好きなのは総合病院です。大学病院は真面目過ぎる印象が強く、仕事中もカンファレンスの際も余裕がない程に張り詰めている感じでした。給料面や退職金などを考えると、大学病院の方が待遇がいいと思いますが、そこまで張り詰めて仕事をしたくないと言う方は民間の総合病院をお勧めします。とにかく真面目で堅苦しくて勉強が大好きな方でしたら大学病院でもやっていけると思います。私が働いた経験が皆さんのご参考になれば幸いです。