【臨床工学技士と理学療法士の比較】臨床工学技士と理学療法士の違いって知っている?似ている部分、異なる部分を解説

*臨床工学技士とは、Medical Engineer(ME)、Clinical Engineer(CE)とも呼ばれ、医療機器の専門医療職です。病院内で医師の指示の元、生命維持装置の操作や医療機器の保守、点検を行う仕事です。臨床工学技士の制度は1987年に制定され、比較的新しい職業です。(*日本臨床工学技士会HP一部抜粋)*理学療法士とは、physical Therapist(PT)とも呼ばれ、身体に障害のある人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、また障害の悪化の予防を目的に運動療法や物理療法を用いて、自立した生活が送れるように支援する仕事です。理学療法士の制度は1965年に、『理学療法士および作業療法士法』が施行され、歴史のある職業です。(*日本理学療法士協会HP一部抜粋

臨床工学技士と理学療法士がチーム医療の中で担当するのはどんなところ?

チーム医療とは1人の患者に対して、医師、看護師、その他複数の医療従事者がチームになって意見を交わしながら治療をすることです。まず、臨床工学技士は、医師の指示の元で、生命維持装置(人工透析、人工心肺装置、人工呼吸器、ペースメーカーなど)の操作を担当する役割があるため、チーム医療の中で医療機器のスペシャリストとしてなくてはならない存在です。

例えば、手術室の業務であれば、心臓の手術を受ける患者を担当した際は、事前に患者情報を看護師から聴取し、術前カンファレンスでは、麻酔科医や主治医らと術中の人工心肺装置を含む血液管理をどうするかなどを検討することになります。

次に理学療法士は、医師の指示の元、障害がある患者に対して、機能回復訓練(リハビリテーション)を行い、患者の社会復帰、自宅復帰をサポートするリハビリテーションのスペシャリストです。例えば、足を骨折し、手術した患者を担当した場合、訓練に入る前は看護師から患者情報を聴取します。訓練中、痛みの訴えが強かったら医師、もしくは薬剤師に痛み止めの薬について相談します。また訓練後、患者が病棟に戻ったときには、看護師と訓練の内容、様子を共有し、必要であれば、処置(冷やすなど)してもらい、訓練中に獲得したことを病棟でも実践してもらうように伝えます。

臨床工学技士と理学療法士の似ている部分は?

どちらも医師の指示の元、業務を遂行するという点では同じです。また、理学療法士は物理療法といった機器(温熱や電気、光線、マッサージ器など)を用いて訓練をすることもあるため、機器を主に扱う臨床工学技士と少し似る部分もあります。

臨床工学技士と理学療法士の異なる部分は?

勤務場所、勤務時間、年収に違いはある?

まず、臨床工学技士の主な勤務場所は、病院や透析クリニック、医療機器メーカーなどがあります。勤務時間は、場所にもよりますが、病院の場合は、当直勤務(いわゆる夜勤)や緊急時の呼び出し(オンコール)があるところが多いため、不規則ですが、休憩を入れて8時間勤務といったところでしょう。また土日出勤もあるところがほとんどです。年収は、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査によると、平均年収は約400万円です。次に理学療法士の主な勤務場所は、病院、整形外科クリニック、介護老人保健施設、通所型リハビリテーションなどがあります。勤務時間については、理学療法士は夜勤がないため、日勤で概ね休憩を入れて8時間前後となっています。今は365日リハビリテーション体制を導入しているところがほとんどなので、必然的に土日勤務もあります。

年収は、年代でも変わりますが、概ね400万円程度となっています。両職種とも平均年収、勤務先に大きな違いはありませんが、勤務時間に関しては、臨床工学技士は夜勤があることが大きく異なっている点と言えます。

それぞれの資格の取り方の違いは?

臨床工学技士も理学療法士も、高校卒業後、養成校と言われる、大学、短期大学、専門学校などに通い、国家試験を受験し、合格すると免許を取得することができます。なお、養成校によって通う年数は異なっており、大学は4年、短期大学は3年、専門学校は3〜4年となっています。このほか、臨床工学技士になる方法として臨床検査技師、診療放射線技師、看護師の養成校を卒業している場合は、専門学校に昼間1年もしくは夜間2年通うことで受験資格を得ることができます。ちなみに国家試験の合格率に関しては、臨床工学技士が概ね80%前後、理学療法士も同じく80%前後なので、資格取得の上では、難易度的にそこまで両者に違いはなさそうです。学費に関しては、学校によっても大きく変わりますが、臨床工学技士に関しては、私立4年制大学の場合、おおよそ600〜700万円台、専門学校の場合、200〜400万円の学費がかかります。理学療法士では、国公立大学は210〜250万円、私立大学は600〜700万円、専門学校は300〜570万円ほどの学費がかかると言われています。臨床工学技士は比較的新しい分野でもあるため、私立大学の養成校が多いですが、理学療法士は歴史が長いぶん、国立大学の養成校も多く存在します。よって、養成校として大学を選んだ場合、理学療法士のほうが少し学費を抑えられることはメリットと言えるでしょう。

まとめ

臨床工学技士と理学療法士の違いについて紹介してきましたが、両者とも医療には欠かせない存在であり、プロフェッショナルな仕事です。自分に合った職業はどちらなのか、それぞれの職業特性を考慮したうえで、ぜひ検討してみてください。