臨床工学技士だった私が在職中に感じた事。勉強は学生の頃だけじゃない。臨床工学技士は新しい分野、医療機器の勉強が必ず必要

今回は、臨床工学技士の私が今、勉強していることについて紹介します。筆者は養成校卒業後、7年間地方の総合病院で勤務し、約1年ほど前に退職しました。現在は、専業主婦の傍ら、Webライターとして活動しています。現役の臨床工学技士ではないのは、結婚や引っ越しなどのプライベートで生活が変化したり、夫が転職したりとさまざまな理由が一度に重なったためです。今までの臨床工学技士としての経験が、現在おこなっている勉強にも活かせていることがあるため、自身の経験を元にまとめました。

在職中に感じた社会人こそ勉強を継続する大切さ

大人は仕事をして給料までもらって勉強しなくていいな、なんて幼い頃は言っていた私でしたが、現状は全く異なっていました。幼い頃にそう感じていた方も多かったのではないでしょうか。私は、元々勉強が好きではなかったので、社会人こそ勉強しなければ仕事にならない事実を突きつけられた時、絶望したのを覚えています。同時に、ものすごい速さで変化する医療現場に感動もしました。たくさんの方の活躍によって医療が日々進歩し、その最前線で働けるという環境は私にとって、とても有意義なものでした。だからこそ、日々の勉強をしっかり継続していかなければならない大切さを知ることができたのだと思います。もちろん、知識がなくてもルーティンさえ覚えればできてしまう仕事もあります。一時期は、そのことを知ってしまい怠惰で業務をしていた時期もありました。でも、それでは自身の成長にはつながりません。人によって、何を重要視するかは自由ですが、同じ事をやるのであれば、少しでも知識を持っていれば新しい発見ができるはずです。それと、患者はわからないことがあれば私たちを頼りにしてくれます。正しい情報をわかりやすく、安心できるように説明することが私たちの仕事の一部でもあるので、知識がないまま業務をおこなうのは不安を与えてしまう原因になります。そんなこともあり、私は勉強することの大切さを在職中に知ることができました。

臨床工学技士の勉強

臨床工学技士として復帰することも考えているため、忘れない程度に勉強を継続しています。復帰した際に、その病院やクリニック独自の業務も覚えて、さらに勉強を再開することは、大変なことだと思うからです。基本的な知識さえ頭に入っていれば、負担も減らせます。幸いにも夫も同じ臨床工学技士のため、最新の情報は常に入ってくるという環境に恵まれています。(念のため追記しますが、患者情報などの仕事上の機密情報については聞いていません。)一切情報を得ようとしていなければ、2021年の臨床工学技士法改正によって業務が拡大した情報も知らないままでした。夫は勉強熱心なため、わからないことがあれば、わかるまで教えてもらえます。インプットばかりしていると定着しないので、理解できたことまではアウトプットし、わからないことは教えてもらうという方法で、勉強しています。たくさんの書籍が自宅にありますが、私が主に使用するのは、解剖生理学の本です。在職中は、直接業務に関連する勉強だけで精一杯であったため、基本的な勉強をやり直す余裕がありませんでした。そのため、現在は、初めて解剖生理学に触れる学生向けの参考書から読み始めています。学生並みに勉強しようと力を入れすぎると疲れてしまうので、細く長く続けられるように考えながら好きな時に勉強しています。それとおすすめなのは、看護師向けのウェブセミナーです。最近では、心電図についての講義を受けたのですが、基本的なことを学べて大変勉強になりました。コロナ禍でさまざまな学会や勉強会がウェブ上での開催になっています。興味があるものは受講するようにしています。

文章を書く勉強

私は、駆け出しのWebライターのため、勉強はかかせません。現在は、実践しつつ主に書籍を使用して勉強しています。文章を書くということは、読む相手にいかにわかりやすく伝えるかが大事になります。在職中は、後輩指導や、患者に説明することが苦手でした。特に患者に対しては知らない用語も多く、言葉選びに苦労しました。医療従事者同士であれば、専門用語を使えば簡単に説明できることでも、患者には伝わらないのです。いかにわかりやすい言葉に置き換えて、患者が理解できるように説明することが難しいかを知ることができました。反対に、患者は自身の病気について医療従事者よりも詳しく調べてたくさんのことを知っている場合もあります。自身の病気のことなら不安になって情報収集をたくさんする気持ちは痛いほどわかります。だから、ネット上などで得た知識が本当なのか、実際に医療従事者に確認したい一心でたくさんの質問を投げかけてきます。その時は正確な情報をいかにして伝えるか、緊張したのを覚えています。
文章を書くことを始めたひとつの理由に、この経験があります。文章は、読んでいる相手の顔が見えないため、伝わっているのかをその場で確認することができません。直接説明するより、よく考えながらまとめることができるというメリットはありますが、最終的には自分で判断しなければならないので難しいことだなと感じています。

英語の勉強

英語は、勉強って楽しいと大人になって初めて思えたものです。元々は興味があったものの苦手でした。もう一度、学び直してみようと思ったのは、在職中に透析室で出合った70代の患者でした。その方は元学校教員で、現在もかかさず英語の勉強を続けていると話していました。毎日英語のニュースラジオを聞いたり、スカイプでさまざまな国の人と会話を楽しんだりしていました。このことについて話している姿はとても生き生きとしていました。何歳からでも勉強はできるんだ、とその時感じたのを覚えています。医療現場では、医療従事者が患者に医療を提供するだけではありません。生き方など患者から学ぶことも多かったです。医療機器は海外製のものが大半です。

私は英語がさっぱり理解できなかったので、新しい機器の使用を覚える際に英語も覚えなければなりませんでした。知っていれば使い方さえ覚えればいいものの、英語がわからないため倍の時間がかかりました。他にもカルテなどに医師は英語で書いていることもあります。単語さえ覚えていれば、すぐに対応できるものでも、調べなければならなかったので行動までに時間がかかることもしばしばありました。必要だと感じていたものの、なかなか勉強する気になれず、7年間そのまま過ごしていました。そんな時に70代の患者から話を聞いたのです。「医療は日々進歩しているんだから、英語ができれば海外の最新の論文だって読むことができるんだよ、そしたら常に新しい情報が手に入れられる、学びって大切だよ。若いんだから頑張って」と教えてくれました。私は、今ある知識で満足していたのかもしれません。その言葉がぐさりと刺さりました。現在は、退職し自由な時間ができたこともあり、もう一度中学英語から学び直しています。一度英語の論文を読んでみようと挑戦しましたが、専門用語が多くほとんど読めませんでした。まだまだ勉強が足りないようです。英語ができれば、論文が読めたり、海外の患者の相手をするときに役に立ったりするかもしれない、そんな思いも持ちつつ、自分のためにこれからも継続していきたいと思っています。

まとめ

今回は、臨床工学技士の私が今、勉強していることについて3つ紹介しました。現在は、専業主婦とwebライターをおこなっているため、フルタイムで勤務していた頃よりは時間に余裕があります。受験勉強のように一日何時間も勉強するとはいきませんが自分のペースでゆっくりとおこなっています。すべて臨床工学技士として復帰した際に繋がることだと思っているので、これからも勉強は続けていきたいです。私は、患者の言葉で勉強の大切さを再度確認できたと同時に、楽しさを知ることができました。人との関わりの多い医療現場では思いがけないところで、学べる機会があると思っています。それは人によって違うかもしれません。臨床工学技士の私はこの3つが活かせそうと感じたため現在は勉強をしています。いつか役にたてばいいなと思いながら今日も過ごしています。読んでくださった方の参考になれば幸いです。