【臨床工学技士インタビュー】「臨床工学技士がいないと心臓手術が出来ない」の一言で臨床工学技士を目指し、人工心肺のできる地元佐世保市総合医療センターで臨床工学技士になり地元に恩返し

佐世保市総合医療センター

明治23年8月伝染病院設立を起源として、昭和47年市民病院と統合し佐世保市立総合病院と改称し、 平成28年4月佐世保市総合医療センターへ改称。

診療科31科、病床数594床を有する長崎県北部における中核病院として、一次医療から三次医療までの総合的な医療を提供する役割を担っており、救急医療、未熟児、がん、血液透析、骨髄移植等の高度医療を提供している。

「地域の基幹病院として、高度な医療を総合的に提供するとともに、明日を担う医療人を育成する」を理念とする佐世保市総合医療センター医療技術部臨床工学室で12年目を迎え、長崎県臨床工学技士会で理事を務める草野公史(くさの・なおひと)主任技師にお話を伺った。


草野主任技師

臨床工学技士を知ったきっかけ

中学生の頃に、当院で手術をするような入院をして看護実習生と仲良くなり、様々な病気を治療するために、日々奮闘されている医療従事者の姿の話を聞かせてもらい、自分も闘病されている方のお手伝いをできるような、医療従事者になりたいなと思っていました。

高校生の時に、生物の科目が好きな事と中学生の頃に抱いた夢である医療従事者になりたい事を、先生に相談したら臨床検査技師になれる学科がいいのではないかということで、どういう職業か知りたくて岡山理科大学のオープンキャンパスに見学に行きました。

隣のブースで「生体医工学科(現:生命医療工学科)も面白いよ!」と声を掛けられて、人工心肺の話を聞いた際に「臨床工学技士がいないと心臓手術が出来ない」業務という一言が刺さり、「めっちゃ格好いいな」と思ったのと同時に、この職業しかできない仕事こそ自分が中学生の頃に思い描いていたイメージの医療従事者と合致したので、臨床工学技士になろうと決めました。

岡山理科大学に行きたいと思ったのは、親元から一度離れてみたいという希望もあり、親も後押ししてくれたので、岡山の学校に行くことにしました。

何故、佐世保総合医療センターに入職したのですか?

学校を卒業して佐世保市総合医療センターに入職して12年目です。佐世保が地元であり、中学生の頃に手術でお世話になった事もあるので恩返しをしたいという気持ちと、佐世保総市合医療センターを選んだのは、心臓血管外科があって、臨床工学技士になろうと決めた理由である人工心肺業務があったからです。

現在は、人工心肺業務、心血管カテーテル業務(CIDEs業務・不整脈関連業務含む)、手術室業務(da Vinci)などを担当しています。

1日の業務日程

定時 8:30~17:15

8:30 手術室で麻酔器点検から業務開始
9:00 人工心肺業務・心血管カテーテル業務・手術室業務のいずれかに配置
12:00 1時間休憩(業務の進捗によってお昼の時間は変わります)
13:00 人工心肺業務・心血管カテーテル業務・手術室業務のいずれかに配置
17:15 終業

月間20時間残業

教育環境

学会出張等は、部署内の予算で積極的に参加してもらえる環境があります。また告示研修費もありがたい事に病院より支給してもらえますので、地方の病院ですがたくさん学べる環境は多いかと思います。

新人技士の方には、強制ではありませんが長崎県臨床工学会での学会発表を目標にしています。理由としては、知識を深めることや考える癖を作ってほしいという事と他施設の臨床工学技士と交流を持ち井の中の蛙ではなく、大海を知る蛙になってほしいと思います。

経験豊富な先輩方が、演題発表の準備からサポートするので安心して行えますので安心してください。私も少なくても年に1回の演題発表を目標にしておりますので、一緒に頑張りましょう!

私個人の目標としては、大学院進学を考えています。上司の方にも希望は出していて、上司の了解も取れてはいるので、進学したいと思っています。ただ最寄りの大学でも片道1時間半なので、オンラインで受講できる大学院を選ぶ予定です。

課外活動として3年前から長崎県臨床工学技士会の理事をしているのですが、集中治療業務や内視鏡業務に関わるプロジェクトチームを立ち上げました。コロナ禍もありWebでの初めてのセミナーであり参加してくれる人がいるのか不安でしたが、開催すると日本各地よりご参加いただき大盛況の中終わって安堵しました。この取り組みは、今後も続けていければと思っておりますので、開催形式は検討中でありますがご興味をお持ちの方はご参加いただければと思います。

入職したら

ME機器管理業務から始めていきます。医療機器を専門に取り扱うのが臨床工学技士であるため、まず院内で保有している医療機器に精通していただき、病棟でのME機器のトラブル対応ができる事を目標に頑張ってもらいます。

その後は、血液浄化センター、血管造影室などに研修という形で先輩技士と一緒にOJTで業務を憶えていくような体制です。

当院では、人工心肺業務、心血管カテーテル業務(不整脈関連業務)、血液浄化業務、手術室業務、医療機器管理業務、内視鏡業務の大きく分けて6業務ありますが、できるだけ多くの業務を経験してもらい、10年目くらいまではジェネラリストとして色々な業務に当たってもらって、それ以降は、何かスペシャリストの分野を複数持ってもらうような教育方針になっています。

当院では当直がないので、当直のための優先業務があるわけではないので、まず「病院に慣れる」を目標にしています。次に「機器に慣れる」「多職種連携に慣れる」といった感じです。

時間外体制は待機とオンコールがあります。「待機」は待機料が発生する宅直業務で、心血管カテーテル業務担当が日々1名拘束(心血管カテーテル業務担当は6名いるので月に5回ほど)されます。「オンコール」は、緊急手術等がある際に緊急の招集をする場合があります。

採用したい人・働きやすさPR

採用したい人物像は、素直で明るい人に来て欲しいと思います。「分かりません!!」って言える人です。

臨床工学室は15名と補助員1名なのですが、女性が1名しかいません。たまたま応募が少ないだけなのですが、女性の技士さんにも受験に来て欲しいです。採用試験の時期は毎年異なるので、当院のHP等で確認をお願いします。

前身が市立病院ですので福利厚生はしっかりしています。有休休暇は最大で40日、有給休暇とは別に夏季錬成休暇5日あります。育休は、2年前の男性技士が直近ですが、2か月の育児休暇を取得していました。お子様の体調が悪くなった時も子の看護休暇も年に5日ありますので育児しやすい環境かと思います。

また5年に1度リフレッシュ休暇が付与されて、平日5連休の取得ができます。勤続10年以上で、5年毎に1回勤続に対する金一封もあります。他にも休暇はありますので「しっかり働いてしっかり休む」を実現できる環境だと思います。そのため、女性技士の方も働きやすい環境が整っている働きやすい病院です。

当院は、長崎県北唯一の三次救急医療を展開している病院で、ダ・ヴィンチを始めとする先進医療にも取り組んでいる施設ですので、多くの経験ができると思います。

業務としては、メジャーな業務があるのでジェネラリストとして一通りの業務が経験したのちに、スペシャリストとして活躍できる教育体制があります。また学会発表や進学についても応援してもらえる環境があるので、色んな目標を持っている方にもお勧めだと思います。

また当院の自慢として、医師や看護師との距離が近いので意見を求められる場面もあります。そのためか医師を始め看護師さんにも「CEさんがおらんと困るよね」「CEさんがおらしたけん良かった」と言ってもらえるようなCEさんが必要とされている病院です!

この記事を読まれて、興味が沸かれた方はぜひ施設見学にお越しください!

 

取材協力

佐世保市総合医療センター 臨床工学室
〒857-8511 長崎県佐世保市平瀬町9-3 Tel.0956-24-1515
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