【臨床工学技士インタビュー】若い力を目いっぱい伸ばすジェネラリスト教育と、クリニカルで新風を吹かせたい若い技士の集まる国保旭中央病院

総合病院国保旭中央病院

総合病院国保旭中央病院の歴史は、1953年に地域住民の健康を自らの手で守り、国の皆保険制度実現に協力することを目的に旭町他8ヵ町村(現旭市)により開設されたことに始まります。以来「すべては患者さんのために」の理念のもと、地域の皆さまの健康を守ることを使命としてまいりました。千葉県北東部から茨城県南東部の約90万人、半径30km(13市7町)を診療圏とする地域の基幹病院に発展し、需要の増加を受け、なお規模を拡大しています。

基本方針

信頼され選ばれる病院へ
患者さんの権利と尊厳を尊重し、満足と信頼が得られる病院をめざします
常に安全に配慮した医療環境の維持向上に努めます

地域とともに歩む
地域の皆さまの健康を守り、地域医療の向上に努めます
すべての救急医療をいつでも提供できるよう努めます
保健・医療・介護・福祉の連携の核となる病院になります

未来へ向かって
時代の要請に応じた最高水準の先進的な医療を提供する病院をめざします
地方独立行政法人として、自主性・公共性・透明性の高い病院運営を行います
職員の教育・研修の充実を図り、働きやすく、やりがいの持てる環境づくりを推進します

千葉県最大の989床を誇る地域で唯一の高度急性期機能を有する総合病院で生命維持管理装置の操作および保守管理のスペシャリストとして、チーム医療の一翼を担う診療技術局 放射線・臨床工学部門 臨床工学室の岩井昇室長(いわい・のぼる 42年目)、佐藤昭生主査(さとう・あきお 20年目)、新野由衣主任(しんの・ゆい 13年目)、髙岡祐作技士(たかおか・ゆうさく 6年目)にお話を伺いました。

左から髙岡技士・新野主任・佐藤主査・岩井室長

臨床工学技士を知ったきっかけ

 

佐藤主査佐藤主査

大学の理工学部卒業後、機械メーカーで機械設計の仕事をしていたのですが、直接的に人に役に立ちたいと思うようになりました。医療系の仕事をしたいと思って、そういう仕事はないものかと探していたのですが、偶然にも臨床工学技士を知り、3年間養成校に通って、臨床工学技士になりました。

 

新野主任新野主任

両親が医療系でしたので、医療系に進みたいと思っていました。大学の進路を考えていたときに臨床工学技士という職業があるのを知りました。機械を分解したりするのが好きで、両親から「向いているんじゃない?」と言われて、臨床工学技士を目指しました。

 

髙岡技士髙岡技士

母の姉が検査技師として旭中央病院で働いているのですが、私は小さい頃から理科が好きで、それが活かせて社会貢献の出来る職業というと医療系かな?と医療系の職業は興味を持っていました。伯母からコメディカルの話を聞いて、私は検査というよりは、機械を使って治療をする臨床工学技士の方が格好いいと思い臨床工学技士を目指しました。

 

入職理由について

 

佐藤主査佐藤主査

偶然募集があり、地元ということと、ME機器管理が出来るということで、入職しました。

 

新野主任新野主任

家が銚子にあって、30分で通える距離です。学生時代には透析業務をやりたいと思っていたのですが、旭中央病院で実習を受けて人工心肺業務に興味を持ったので、近いし症例数も多いことから、こちらに来たいなと思いました。

 

髙岡技士髙岡技士

大学は都内で実習先もこちらではなかったのですが、旭市は地元で、旭中央病院で生まれたので、地域に恩返ししたいなという気持ちがあり、地元の旭中央病院で働きたいと思って帰ってきました。

 

やりがいについて

 

佐藤主査佐藤主査

医療機器管理業務は、機器管理だけではなく血管造影室業務、ICU業務もあります。業務の依頼を完遂して、医師や看護師に信頼されると充足感があるなと思います。

 

新野主任新野主任

主に手術室で働いています。人工心肺業務、医療機器管理業務、内視鏡業務を担当しています。患者さんと直接コミュニケーションをとることはないのですが、元気になって退院していったというお話を聞くとやりがいにつながります。

他職種の方々から機器トラブルの対応をした時に「助かった~!!」って言われるとやりがい感じます。

 

 

髙岡技士髙岡技士

当施設は急性期病院なのですが、153床のかなり大きな透析センターがあって、外来透析患者約400人と入院患者も対象とした透析業務を担当しています。日常の経過を見て、入院サポートもさせていただいています。透析だけではなくPE、CARTや移植治療の幹細胞採取等も行っていますので、悪いものを取り除いて元気に帰ってもらえるのがやりがいです。

 

それぞれの技士の1日の業務

 

佐藤主査佐藤主査

<佐藤主査の1日の業務>

8:30 ME室カンファ(血管撮影室担当とそれ以外に分かれて行います)
9:00 ペースメーカー外来
12:00 休憩
13:00 病棟呼吸器ラウンド、医療機器点検、修理、委員会活動(MACT、RST、チームステップス:事務、看護師、医局と連携して医療安全対策の徹底を行う)
17:15 終業

 

新野主任新野主任

<新野主任の1日の業務>

8:30 朝礼、申し送り、手術室準備、始業前点検
9:00 心臓外科手術で人工心肺業務
午前中の手術がない場合は、医療機器点検業務
11:00 お昼休憩(交替で)
12:00 心臓外科手術で人工心肺業務
17:15 終業(手術が終わらないと残業)

 

髙岡技士髙岡技士

<髙岡技士の1日の業務>

8:30 朝礼、申し送り
8:40 プライミング実施、点検
9:15 穿刺開始、安全確認、透析中の点検
出張透析(ICU等)、特殊治療等対応
11:30 お昼休憩(交替で1時間休憩)
13:15 返血開始
15:15 2クール目プライミング実施、点検
17:00 透析センター2クール目穿刺開始※
17:15 終業

※準夜は15:15~24:00勤務で4名配置(看護師5名と合わせて9名)。最終受付は19:30(4時間透析)になっていますので、遠方から来られる患者さんも多くいます。

 

今後取得したい認定士など

総合病院国保旭中央病院では、認定士等の資格には病院からの補助があるので、学びたい分野を学べる環境にあります。

佐藤主査佐藤主査

取得資格:三学会合同呼吸療法認定士学会、ME1種、認定集中治療関連臨床工学技士
取得目標:集中治療専門臨床工学技士

集中治療学会で出している資格で、認定集中治療関連臨床工学技士を取得した臨床工学技士を対象としている資格です。集中治療における病態生理、診断、治療に関する高い知識を有した専門性の高い臨床工学技士を育成認定する資格となっています。狭き門ですが、院内でも取得することを期待されていますので取得したいと思います。

 

新野主任新野主任

取得資格:体外循環技術認定士
取得していきたい知識:手術関連専門臨床工学技士

目標が無いとモチベーション維持が難しいので、手術業務で使う幅広い医療機器知識を得るためにも勉強していきたいと思っています。

 

髙岡技士髙岡技士

取得資格:透析技能検定2級、透析技術認定士、認定血液浄化臨床工学技士、認定集中治療関連臨床工学技士、認定医療機器管理関連臨床工学技士、腎代替療法専門指導士(患者さんに対しての療法選択の指導・説明ができる資格)

現在は集中治療業務にもかかわっており、透析患者さんを今後診ていく上で、血液浄化以外の観点からのアプローチも必要だと感じました。今後は幅広い分野で知識を持ち、患者さんを診ていきたいです。また、日本透析医学会、千葉県透析研究会等へ発表をしています。その他の学会も含め積極的に発表ならびに参加していきたいと思っています。

 

岩井室長岩井室長

各部署では透析技術認定士、三学会合同呼吸療法認定士、体外循環技術認定士取得を必須としており、初回のみ取得費用を病院側で負担しています。また、臨床工学技士会等による各認定資格取得試験があり、希望者には必要に応じて病院が取得費用を負担するので、合格した場合には合格証と一緒に費用を申請します。各種資格更新のための学会参加も日帰りの範囲にて出張許可を申請し、了承いただいています。

院外活動として、現在近隣の大学において講師が不足しており、今年度外部講師の依頼がありました。当院では実習も受け入れていますので、各部署から4~5名の非常勤講師をさせていただく予定となっています。

入職後の研修とスキルアップローテーション

2023年は5名の新職員が入り、それぞれ透析室、ME機器管理室(カテーテル・ICU業務)、手術室に分けて配置します。38名(うち、女性8名)体制の臨床工学室になります。20代30代が60%を超える比較的若い人たちの多い組織になるので、スペシャリストではなくジェネラリストとして、一通りの業務を覚えていけるプログラムにしていきたいと思っています。

各部署とも、それぞれ1年から1年半くらいの期間で当直および待機業務が行える新人教育プログラムを行っています。今後はローテーション対象者を約5年は各部署にて足固めが出来ているCEからと考えています。新人さんには全ての業務が中途半端になってしまわないように、配属部署での業務を優先とします。

現状では、持続緩徐式腎代替療法(CRRT)は年間600~700件施行しており、透析は24時間当直、ME室と手術室は待機制にて対応しています。ICUにおいてECMO等はME室と手術室業務になりますが、CRRT等は透析が担当しています。今後ME室ならびに手術室待機者がオンコールにて到着するまでの間に透析当直者により初動対応が出来るように、業務拡充研修からローテーション体制を構築していく準備段階となっています。髙岡くんもそうなのですが、若い人がすごく意欲的なので、伸ばせる環境を作っていきたいと思っています。現状では、透析勤務者は透析業務終了後に各部署へ連絡を取り研修を行っています。

働き方改革も視野に入れ、医師のタスク・シフト/シェア研修受講も勧めております。

採用について

 

岩井室長岩井室長

基本的に、病院の方針として臨床工学士は新年度からの採用としています。医療はチームワークなので、今後もコミュニケーションが取れ、挨拶ができるなど、協調性がある人材を採用していきたいと考えます。当院では、近隣の高校生を対象とした職業体験プログラムを夏休み期間中に開催しています。その期間中に1日だけではありますが臨床工学室も装置の展示などを行っていて、地元で働いてもらえるように地域の高校生に働きかけています。

 

髙岡技士髙岡技士

当施設は臨床工学技士の業務が幅広く網羅でき、自己の意欲と目標に応じてスキルアップを図れる良い環境だと感じます。最近では、AIなどの技術を活用し、医療の質を向上させる取り組みが進んでおり、臨床工学技士の役割も変化しています。将来的に新しい分野に興味を持った方が私たちの刺激となって、互いを高め合うような組織にしていければ良いと思います。

 

 

取材協力

総合病院国保旭中央病院 臨床工学室
〒289-2511 千葉県旭市イ1326番地 Tel.0479-63-8111
採用情報

見学(医療系の学校に在籍中の皆様へ)