看護師から見た!臨床工学技士による医療機器、病棟勉強会であった体験談♪輸液ポンプ、心電図モニター、人工呼吸器

筆者は一般病棟に勤務する看護師です。私の勤める総合病院は700床ほどのベッド数があり、県内でも比較的大きな病院です。今回は、私の勤める総合病院で行われた、臨床工学技士による病棟勉強会の時のお話させていただきます。臨床工学技士は、院内でも特殊な存在で、医療機器に特化した専門職です。病棟看護師に関わる部分では、医療機器の点検やメンテナンス、管理などを行っています。他にも手術室や透析室で医療機器を扱っている臨床工学技士もいます。

院内では、様々な場所で常に医療機器が作動しており、患者さんの命に直結するものばかりです。そのため、適切に使用できる医療機器が常にそろっていること、医療機器を安全に使用できる知識と技術が必要になります。実際に病棟で医療機器を扱うのは看護師なので、臨床工学技士スタッフだけではなく、私たち看護師スタッフも医療機器に関する知識が求められます。病棟スタッフの医療機器の知識を深めるため、勉強会を開催しました。勉強会は3回構成で、①輸液ポンプ・シリンジポンプ、②心電図モニター、③人工呼吸器。各30分程度です。

臨床工学技士が行う勉強会

輸液ポンプ・シリンジポンプ

最初の、輸液ポンプ・シリンジポンプの勉強会では、基本的な機器の使い方、トラブルやアラーム対応の仕方、インシデント事例をもとに再発防止策を皆で考えました。ベテランのスタッフであってもなんとなく操作している部分があり、今回正確な操作を学ぶことができました。トラブル・アラーム対応に関しても、対応手順は知っていても、その根拠まで理解し操作ができていたスタッフは少なかったです。ベテラン看護師の中には、根拠としているエビデンスが違っていた、なんてこともありました。病棟として共通の学びを得ることで、自信をもって患者さんの看護にあたることができるようになりました。

心電図モニター

心電図モニターの勉強会では、心電図モニターの基本的な操作方法、十二誘導の貼り方、心電図波形の読み方を教えていただきました。心電図モニターの操作に関しては、正確に学習する機会がなく、看護師の先輩の、操作を見て何となく覚えていた部分があります。十二誘導の貼り方は看護師なら絶対に一度は学んでいるはずですが、実施する機会がないと忘れてしまうものです。十二誘導をとるのは緊急のことが多いため、知識の再確認をする良い機会となりました。心電図波形の読み方に関しては、緊急度が高く、病棟でもよく遭遇する不整脈を中心に教えていただきました。また、起こっている不整脈によって対応が異なってくるので、その対応法も合わせて学ばせていただきました。心電図モニターは基本的に重症患者さんや、抗癌剤等のリスクのある治療を受けられている患者さんに装着していることがほとんどですので、心電図波形の示していることがわかり、適切に対処できる知識が必要になります。

人工呼吸器

人工呼吸器の勉強会では、人工呼吸器開始時の立ちあげ方から基本的な操作方法、モニターの読み方、患者さんの全身状態と合わせて見るポイントなど、看護に直接かかわる部分も教えていただきました。在籍している病棟は常に人工呼吸器装着中の患者さんが数名いる病棟なので、必須の学習項目となっています。人工呼吸器に関しても個人で勉強したり、先輩看護師に教えてもらい、学んできたので、改めて正確な知識を習得できる素晴らしい機会となりました。

まとめ

臨床工学技士スタッフは機械操作に関することだけでなく、その機械を使用し治療を受けられる患者さんのことも、知識として持ってり、患者さんに直接看護する看護師にとっては、すぐに使える知識ばかりでした。医療機器が正確に使用できなければ、患者さんに適切な医療が提供できません。患者さんの安全を守ることもできなくなってしまいます。新人、ベテラン関係なく、医療機器を正確に扱う技術が求められるのです。

今回の勉強会では臨床工学技士スタッフに医療機器の知識や機械操作等について教えていただきました。ですが、臨床工学技士が実際に病棟で患者さんに機器を使用するわけではないので、看護師にも、同等の知識や技術が求められます。また知識が技術だけでなく、治療を受けられている患者さんの全身状態の観察、不安を受け止めることや、少しでも安心していただけるよう関わることが必要になります。臨床工学技士と看護師とでは、得意とする部分が違うので、それぞれの特性を活かし、協力・連携することで、より安全に専門性のある医療を提供していくことが求められるのではないかと思います。以上、学びの多い勉強会をしていただいた経験でした。