現役看護師が経験した臨床工学技士と看護師の連携とは?

私は看護師として病院で勤務をしています。現在は勤めているところは臨床工学技士が居ませんが、以前は臨床工学技士が所属している病院で看護師として勤務していた経験があります。今回は当時の経験を振り返りながら臨床工学技士と現場連携の重要性というテーマでお話させていただきます。

現場の頼りになる指揮官 臨床工学技士の仕事

私が以前勤務していた病院では、臨床工学技士専門の部署があり数十名の臨床工学技士が在籍していました。臨床工学技士の役割は、基本的に透析室で透析患者に対し看護師と連携し透析治療のサポートをしていました。看護師よりも臨床工学技士が主体となり患者のシャントにアクセスしたり、透析中の状態を観察していました。看護師を臨床工学技士をサポートする感じでした。看護師の立場からも、臨床工学技士の方々が居てくれてとても心強く感じました。看護師はバイタルサインを逐一チェックして異常がないか確認する事が、主な仕事内容でした。もちろん患者に異常がある時は臨床工学技士と連携して患者のケアを行います。

透析室は、臨床工学技士が管理する部署だったので、透析に使用するダイアライザーなどの機器は、臨床工学技士が定期的にメンテナンスをしていました。看護師としてはとても安心して機器を使用したり働くことができました。看護師は医療機器のスペシャリストではないので、ダイアライザーなど透析の専門機器には疎い部分があります。ベテランの看護師でも完璧には機械の仕組みを把握してないことが多々あり、そのため臨床工学技士が専属で配置されている職場では安心して透析患者のケアや看護を行うことができます。また透析治療中にダイアライザーなどにエラーや不備が生じた場合でもすぐさま臨床工学技士が対応してくれました。

カテーテル検査の際に医師が中心となり治療を行います。その傍らで臨床工学技士が清潔操作でカテーテルの準備や治療のサポートをしていまし、現場によって看護師が治療のサポートを行う病院もあると思いますが、私が当時所属していた病院では臨床工学技士が医師と一緒に治療のサポートをメインで行っていました。看護師も治療の現場には居合わせて記録や外回り業務を中心に行っていました。ここでも、看護師としてはどうしても分からないことが生じます。医師が求めている物品を的確に判断して手渡したりするのですが、専門的すぎて看護師では分からないこともありました。そういう状況下で臨床工学技士が居てくれると医師が求めている物品や検査の内容を理解しているので看護師をフォローする形で助けられることがあります。心臓カテーテル検査において看護師はどんな治療を行うかということは把握してますが、心臓のどの部位にどのカテーテルを使用すると有効かということまでは理解できていないことあります。その場合、ベテランの臨床工学技士が分かりやすくカテーテルの種類について教えてくれたり、心臓のどの部分にどのようなカテーテルを使用するのか、どのような器具を利用して医師の利用のサポートを行っていくのかを丁寧に教えてくれたことがありました。看護師が普段から勉強をする必要もあるのでしょうが、専門的過ぎる部分についてはあまり勉強が追いつかないことがあります。言い訳になるかもしれませんが、そういう時に臨床工学技士の存在はとても大きなものでした。

看護師との連携で心がけるべき事とは?

以上の経験から、臨床工学技士と看護師は医療の現場で常に連携をとっておくことが大切だと学びました。お互い職種にはそれぞれの領域があり、得意と不得意な部分があります。本記事では臨床工学技士の優位性を多く記載してきましたが看護師にも得意とする分野や優位性はあります。看護師が得意とする領域を透析治療や心臓カテーテル検査の際に発揮することもあります。大きな特徴としては患者に検査時の不安や恐怖を取り除くような声かけであったり、医師の指示があった際に薬剤の準備や投与をすることです。私が以前いた職場では臨床工学技士は薬剤に対しては弱い部分がありました。薬剤の扱いや投与は臨地では看護師と医師しか行っていませんでした。このようにそれぞれの得意と不得意が存在することがより連携を強くする要因の一つだと考えることができます。私が考える臨床工学技士の最大の強みは医療機器の扱いや知識に精通しているという点だと思います。

看護師も医療の現場では様々な医療機器を扱いますがメンテナンスや細かい知識になるとどうしても弱くなりがちです。現在働いている病院には臨床工学技士が居ないためメンテナンスは看護師が行っています。以前の職場で働いていたことを考えると個人的には病院には臨床工学技士が配置されている方が心強く働けると感じています。看護師と臨床工学技士はそれぞれの領域の強みがあるので連携することによりお互いの弱点を克服しながら働けるというメリットが生まれると思います。またそのメリットは間違いなく患者さんのために必要なことになることが多いです。患者の治療がスムーズで安心して実施されるためにも看護師と臨床工学技士が協力して働いていくことが不可欠だと感じます。