どんな仕事でも辛い、苦しいことはあります。臨床工学技士になって辛かった、苦しかったエピソードを教えます

どんな仕事においても辛い事ってありますよね。私が以前勤務していた透析クリニックは、とてもホワイトな施設だったのですが、人間関係で辛いことは、多々ありました。今回は「臨床工学技士として辛かったこと」ということで、私の実体験だけでなく同期やネットで多く見られる声をまとめてご紹介したいと思います。ただ、これらの内容は施設によって大きく異なりますのであらかじめご了承ください。

業務について

業務について、多く目にした意見は『独占業務がない』です。国家資格にはいくつか種類があり、臨床工学技士は「名称独占資格」という国家資格に分類されています。名称独占とは「有資格者以外はその名称を名乗ることが認められていない資格」のことで、特に業務に関して独占的に行えるような資格ではないそうです。つまりコロナ禍で注目を浴びたECMOなどの人工心肺装置の操作も、法的には臨床工学技士である必要はないということです。それでいて、業務範囲が曖昧なため、施設によっては『雑用ばかり押し付けられて辛い』といった声も多いようです。また、医療が日々進歩していく中で、医療機器も日々新しく変化していきます。それに伴い臨床工学技士も常に勉強をする必要があります。独自の勉強はもちろんですが、施設によっては外部での講習会や研修会に休日返上・自費での参加を強制される…なんてこともあるそうです。

勤務形態について

施設によっては、オンコール体制や、当直のある施設も少なくありません。同期やネット上の声を聴く限り、オンコール体制の施設の場合、『いつ電話が鳴るか分からない状況で気軽に外出もできず、家にいても常に緊張した状態でいるため、気が休まらなくて辛い』という声が多くあるようです。また技士の業務の多くは24時間365日祝日・正月関係なく仕事があるため、体力的にも精神的にも辛いことは多いです。さらに、業務量が多いにもかかわらず、勤務している技士の人数が少ないため、技士一人一人にかかる負担も大きい上に、教育体制が整っていない施設も多いです。私の周りにも、そういった施設に入職して1年もせずに、辞めていく同期が数名いました。さらに長く在籍したとしても現場の知識や経験が乏しいままで、その技士がまた新人を育てるという悪循環が続くき未熟な技士が増えてしまうため、そこからいざ転職したとしても転職先で苦労する人も多いそうです。

給料について

上記のような、過酷な業務にもかかわらず、給料が安く昇給も期待できないという声が多く見られます。特にオンコール体制や、当直のある施設に勤めている方は、給料が割に合わないと感じている方も多いそうです。いくら働いてもその労働に見合った対価が得られなければ、肉体的にも精神的にも辛い一方ですよね。また一般的に病院よりクリニックの方が、給料が高いとされていますが、その分業務の幅は減ってしまいますので、「やりがい」を取るか「お金」を取るか…就職先・転職先を考える上で重要になってきますね。

人間関係について

人間関係のトラブルにもいろいろありますよね。今回は純粋に価値観の合わないスタッフ・患者様という場合を除いて、『技士間でのトラブル』『他職種のスタッフ間でのトラブル』『患者様とのトラブル』の3つに分けてご紹介したいと思います。

技士間でのトラブル

臨床工学技士は名前に“工学”と入っているように、元々男性職員の多い職種ですので、稀かとは思いますが、未だに男尊女卑をするスタッフもいるようです。主に女性技士が辛い思いをするケースですが、同じ資格を持っていながら女だからどうのなど言われる筋合いはないですよね。またそういった言動を許容している施設自体にも問題があるかと思います。私も同じ女性技士として本当に許せないです…。ただそうでない男性技士も多いことを知っているので、今後是正されていくことを願うばかりです。

他職種のスタッフ間でのトラブル

これは「業務について」でも書きましたが、技士には独占業務がないため他職種のスタッフから雑用係のように扱われ、見下すような態度を取られることが結構多いそうです。ただでさえ過酷な労働環境の中で同じ医療従事者からそのような仕打ちを受けていたら精神的に辛くなるのも当然ですよね。また、これは1年目によくある話だと思いますが “新人を毛嫌いするスタッフ”は技士だけでなく、どの職種にもいるのではないでしょうか?私の勤めていた職場にもこの手のスタッフが多く、メモ帳を見ながら仕事をしているだけで、嫌味や陰口を言われることも多々ありました。しかし、それもきっかり1年間だけで、2年目からはまた新しく入った新人を標的にしていたので、そういう生き物なんだと割り切るようにしていました。それでも耳に入るものはやっぱり気になりますし不愉快だったので、今思えば相当ストレスを感じていたんだろうなと思います(笑)

患者様とのトラブル

これは、いろいろな場合が考えられますよね。ここでは、私の経験に基づき、透析業務についてよくあるトラブルを1つご紹介させていただきます。それはずばり『穿刺ミスに関するトラブル』です。透析業務を担当するのであれば、覚悟を決めておかなければならない所だと私は思います。もちろん穿刺ミスをしないのが1番の理想ですが、1度もミスをしないなんてことは正直不可能です。患者様にとっては穿刺自体がストレスであるにもかかわらず、それを再度施行されるとなればそれは相当なストレスがかかるに決まっていますよね?当然、患者様から怒られることだってあります。「別の人呼んで」「あなたは無理」なんて1年目で言われたら…精神的に辛くなる気持ち、よく分かります。ですがその失敗をしっかりと経験として今後に生かすことで確実に穿刺はうまくなりますので、是非、折れずに頑張ってみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?こんな話ばかり聞いてしまうと「臨床工学技士なんてなりたくない!」と思ってしまう方もおられることでしょう。ただ冒頭でも述べたように、あくまで施設によって大きく異なる話ですので、是非皆さんは就職・転職の際の施設選びは慎重に!また、私自身も人間関係のトラブルに耐え続け、心を壊し退職した経験がありますので、今の環境が辛いという方は是非、早めの転職を考えてみてはいかがでしょうか?皆さんが良い施設・スタッフに恵まれることを祈っております。