臨床工学技士の皆さん。気をつけましょう!看護師は見ています。看護師から見た困った臨床工学技士のエピソード

私は、看護師の資格を取得してからの4年間、二次救急の病院に勤務していました。その病院で、臨床工学技士が1名しか在籍しておらず、機器のメンテナンスや、その臨床工学技士の性格などから、困ることが多々ありました。40代男性の臨床工学技士の主な業務は、呼吸治療業務(人工呼吸器の管理)、血液浄化業務(透析室勤務・CHDFの管理)、集中治療業務(ICU・HCU)、医療機器管理業務(ME室)。主に、透析室での業務です。透析室の業務の合間にME室の医療機器のメンテナンス、人工呼吸器挿入患者や集中治療室の患者に使用している機器の点検をしていました。

臨床工学技士に夜間に連絡をすると・・・

患者に人工呼吸器の装着をした場合、その場で人工呼吸器の作動チェックを臨床工学士に依頼する病院の規定がありますが、ある日、循環器内科の病棟で、午前1時に急変があり、人工呼吸器を装着しました。自宅にいる臨床工学士に連絡をし、人工呼吸器の作動チェックを依頼すると「お酒を飲んだので、車を運転できないから病院には行けない」とのこと。お酒の影響で、やや呂律も回っていない様子に、その場にいた医師も看護師も呆れていました。人工呼吸器は、警報アラームが鳴ることがなく、その他にも問題がなかったので、臨床工学技士が出勤するまで様子をみることにしました。明朝に臨床工学技士が出勤し、人工呼吸器の作動チェックをしている姿を発見。お酒の影響でむくんでいる顔を見て、さらに呆れてしまったのを覚えています。

輸液ポンプやシリンジポンプがなくて・・・

病棟内で使用しなくなった輸液ポンプや、シリンジポンプは、ME室に返却し、臨床工学技士がメンテナンスをしています。メンテナンスが終了すると、点検済みのところに設置してあり、使用が可能となりますが、臨床工学技士が勤務していない土日祝日に限り、病院内の輸液ポンプやシリンジポンプが不足することがありました。しかも、ME室にはメンテナンスの終わっていない輸液ポンプやシリンジポンプばかり置いてあり、臨床工学技士は、透析室の業務や人工呼吸器などの管理に追われて、ME室の機器管理ができていませんでした。そのため、各病棟に連絡をとったり、病棟内の患者の調整をしたりしながら、輸液ポンプやシリンジポンプの確保しなければなりませんでした。

若い看護師への対応

透析室では、臨床工学技士1名、看護師2名の配置があり、1名が主任看護師、1名が毎回交代で配置されました。臨床工学技士は、20代の看護師が透析室に配置されると、表情がにやけ、指導をしつつもからかっているのが日常茶飯事です。調子にのっては、親父ギャグなどを言っている一面もあります。主任看護師は40代で、臨床工学技士に「言葉のセクハラおじさん」なんて言っていることもありました。明らかに、20代の看護師が透析室に配置のある日はテンションが高いので、主任看護師も目を光らせて臨床工学技士の様子を見ていました。「今でも臨床工学技士は、若い看護師をからかっているのかしら?」と思い出すことがあります。

時間を争う急変の対応

臨床工学技士が1名のみなので、急変があると、臨床工学技士は連絡が入り、対応に追われます。そのため、透析室の業務に支障がきたします。常時3名で透析室を管理しているのに、2名での管理は返血やプライミング業務に影響が出たり、時には、返血の開始時間が遅くなり、患者の透析時間が長引くこともあります。臨床工学技士は、人工呼吸器装着の対応だけなら、あまり時間がかかりません。しかし、集中治療室でCHDFが開始されると、臨床工学技士が付きっきりとなるので、透析室の業務は大変でした。

整理整頓ができなくて・・・

臨床工学技士は、定期的に同じ系列の病院で異動があります。私が新人看護師時代から3年間お世話になった臨床工学技士は、異動することになり、その後、他の病院から新任の臨床工学士の配置がありました。新任の臨床工学技士が配置されてから、前任の臨床工学技士について、気が付いたことがありました。それは「整理整頓ができないこと」です。新任の臨床工学技士は、どこに何が置いてあるのか分からず、整理整頓をする作業から始めていました。ME室には、使用済みの人工呼吸器のホースや輸液ポンプのコンセントなどが、雑然と置いてあります。新任の臨床工学技士は、何か使用できて、何が使用できないのかなどの確認作業から行い、ME室は、いつの間にか整理整頓され、大切な医療機器の設置場所が分かるようになりました。

■最後に

臨床工学技士との困ったエピソードを「5選」紹介しました。今回のケースでは、臨床工学技士が1名の配置がゆえに困ってしまったエピソードがありました。しかし、患者への医療の提供は、医療スタッフが連携して行います。医療スタッフの一員として、臨床工学技士が業務に専念できるような環境作りをする必要性があると思います。