臨床工学室
桑名市総合医療センターの臨床工学室には、21名(女性4名)が所属している。今回は、渡辺俊文(わたなべ・としふみ)主任、澤見真由(さわみ・まゆ)技士、鬼頭知幹(きとう・ともき)技士の3名に話を聞いた。
臨床工学室の業務は、大きく5つに分けています。主任やリーダーを務める5名だけを固定してあとは日替わりでローテーションをしています。入職したら病院全体のオリエンテーションに参加します。基本的な病院のこと、感染に対する手技のことを学んでもらいます。臨床工学技士は、透析業務に関わることが非常に多いので約1年かけて透析室で勤務をします。透析室では、臨床工学技士に必要な医療機器操作や点検、患者さんと接する臨床の両方を学ぶのに適していますので透析室で基本的なことを身につけてもらいます。
Q.次のステップは?
次のステップは、当直・待機に備えるための業務を覚えてもらいます。当直の業務は、病棟の医療機器管理がメインになります。透析室の業務だけでは、病棟にどのような機械があるかということがわかりませんので、入職1年後くらいから、中央管理に業務の場を移して病棟全体の医療機器管理をします。
桑名市総合医療センターでは、24時間体制で心臓カテーテル、脳神経外科血管内治療、手術室の対応をしています。専門的な知識を必要とする分野ですので、当直以外にも待機者を設けて緊急対応できる体制を取っています。
統合による業務拡大
2018年、桑名西医療センター(旧桑名市民病院)、桑名東医療センター(旧山本総合病院)、桑名南医療センター(旧平田循環器病院)の3施設が統合し、病床数400床の桑名市総合医療センターとなりました。臨床工学室であつかう機器の台数は約1,000台。
桑名西医療センターは、中央管理・光学診療・脳神経外科血管内治療・一部の手術支援業務。桑名東医療センターは人工透析・心臓カテーテル・中央管理。桑名南医療センターは心臓カテーテル・中央管理を、臨床工学技士が介入し業務を行っていました。
Q.統合してから新たにはじめた業務はありますか?
桑名東医療センターは地域の周産期医療を担っていましたが、当時は周産期医療への介入や保育器の管理は行っておらず、メンテナンスも完全委託しておりました。周産期医療への介入は現医療センターになってからになります。
三重県外からの入職
入職3年目の澤見技士は、熊本県出身で熊本県の大学を卒業後桑名市総合医療センターへ入職。
入職2年目の鬼頭技士は、静岡県出身で三重県の大学を卒業後桑名市総合医療センターへ入職。
Q.入職のきっかけは?
私は、東の地域で就職したいと思っていました。就職活動をしているときに、東の地域のなかでもより実家から近いところがいいと思いこちらを選びました。九州新幹線が通っているので、九州から中部地方へのアクセスも良く大変便利です。
私が大学4年生のときにコロナが流行り始めました。思うように就職活動ができないなかでの就職活動で苦労しました。将来、心臓カテーテル系の部署につきたいと思っていました。桑名市総合医療センターは心臓カテーテルの症例数が多いのでこちらであればカテーテルの業務に携わることができると思い入職しました。
病院の制度もしっかりしていますし、スタッフもみんな仲良く働いています。桑名市という地域は名古屋へのアクセスも抜群の立地ですのでとても良い住環境だと思います。
Q.熊本ご出身で縁もゆかりもない土地に来て困ったことはありますか?
困ったことは特にありませんが、患者さんが”エライ”というのが賢いという意味の偉いだと思っていました。こちらの地域では“しんどい”や”疲れた”などの意味で使われます。それを知りませんでした。しばらく意味が分からなくて、「なぜこのタイミングで偉いというのだろう?」と思っていました(笑)
1日のスケジュール
澤見技士のある日のスケジュール
定時8:30~17:15 ※内視鏡業務の場合
8:05 出勤→準備
8:30 朝礼(カンファレンス) 10分程度
8:45 胃カメラの準備
9:00 検査スタート(検査業務がはじまると次の検査が素早くはじめられるよう準備に入る)
12:00 休憩(昼食) 45分
12:45 下部のカメラ、スコープの準備や別の処置に携わる→カテーテル医療へ
16:30 片づけなど終業
17:15 終業
鬼頭技士のある日のスケジュール
定時8:30~17:15 ※透析業務
8:05 出勤
8:30 カンファレンス
8:35 透析室にある50台の機器を全てチェック
8:45 患者さん入室
8:50~13:00 処置開始 アラームが鳴ると対応へ、片付け
13:00 休憩(昼食) 45分
14:00 午後の透析業務
17:00 夜の担当者へ引き継ぎ
月の残業時間は数時間程度。
当直は平均で月に3回程度、待機は多いときで月に4回程度担当がまわってくる。
新しい病院を担っていくために
澤見技士も鬼頭技士も桑名市総合医療センターが開院してから入職しました。将来的に専門的な分野を持ってもらうために現在、基礎を固めてもらっているところです。
Q.やりがいは?
透析業務と機器管理業務と内視鏡業務を担当しています。内視鏡業務に携わるようになって半年です。はじめは内視鏡業務についてわからないことがたくさんありました。いまは、できる業務が少しずつ増えて患者さんの役に立つことができているという点にやりがいを感じています。
臨床工学技士は、医療機器の保守点検のスペシャリストだけではなく想像していた以上に人と接する仕事なのだなと感じています。現在、血液浄化の部門で患者さんと接する機会がとても多く、やりがいがすごく感じています。患者さんだけでなくほかの部署のスタッフとのコミュニケーションも重要ですので、伝わりやすいよう簡潔に話すよう心がけています。
同じキャリアの臨床工学技士であっても所属していた病院によって行っていた業務に違いがありました。その差を埋めるために統合する前に研修を行いました。澤見技士や鬼頭技士のように桑名市総合医療センターになってから入職した人たちが経験を積んで3病院の良いところを吸収し成熟していくと新しい形が見えてくるのではないかと思っております。
補助
Q.資格取得に関する補助はありますか?
資格試験取得の費用に対しての補助はありませんが、そこに至るまでにかかる研修の費用に関しては出張扱いとして補助を出すことが出来ます。同じく学校等も予算の範囲内であれば出張と認められます。
求める人材
最終的にどうありたいかという目標を持って仕事ができる上昇志向のある人がいいと思います。全て希望通りとはいきませんが、言葉や行動に表してくれればこちらとしても部署配置を含めたサポートをしていくことができます。それと、臨床工学技士は機械を触っているばかりではなく、医師や看護師とコミュニケーションをとっていかなくてはなりません。柔軟な対応ができる人であってほしいです。
地方独立行政法人 桑名市総合医療センター 臨床工学室
〒511-0061 三重県桑名市寿町3丁目11番地 Tel.0594-22-1211
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