【臨床工学技士インタビュー】将来の仕事を開拓し、ジェネラリストとして臨床工学技士の活躍の場を広げる済生会今治病院

済生会今治病院

明治44年、医療を受けることができず困っている人々に救療の手を差しのべるようにという御趣旨の明治天皇の勅語と、その基金として下賜された御手元金150万円を元にして、時の内閣総理大臣・桂太郎を会長に創立された済生会。
済生会今治病院は、昭和14年1月、今治市常盤町に今治診療所として開設。平成14年には長期入院をせざるをえない患者様の回復病院として済生会今治第二病院を開設、病院だけでなく、在宅介護センターなども運営している。
最先端医療と名医が集まる病院で、消化器系の胃がん、大腸がん、肝がんと乳がんに加え、現在死亡数が一番高い肺がんを含めた五大がんの診療をがんセンター同等の高いレベルで提供。
191床に17名の臨床工学技士を配置して、高い医療技術を提供する田邊芳郎(たなべ・よしろう)技士長、氏家昌樹(うじけ・まさき)副技士長に聞いてみた。

氏家 副技士長(左)・田邊 技士長(右)

臨床工学との出会い

氏家 副技士長

高校卒業後浪人中に進路指導の先生が、心配して就職斡旋の連絡をくれたのですが、上に進むならこういう進路もあると、臨床工学技士という資格を勧められ、初めて知りました。
工業高校に通っていましたので、工業系には興味がありますし、親戚にも診療放射線技師・看護師など医療系の仕事をしている人もおりますので、医療には少なからず関心はありました。臨床工学技士がマイナーな時代でしたので、臨床工学技士の学校HPを見て、よくこんな学校見つけてきたなと学校の先生に感心しました。
小さいころから、父のラジオを分解して直せたら、次は部品ベースで分解するなど、機械いじりの素質はあったのかも知れません。

私は工業高校で理系だったですけど、私の行っていた専門学校は、1から教えてくれていましたので、文系の方も臨床工学技士を目指される方もいました。同じように学んで、同じように資格を取っていきますので、理系、文系問わず、修得できるのかなと思います。ですので、本人のやりたいこととマッチしているかだけだと思います。

帰省、転職

広島で就職していたのですが、12年前に地元の今治に戻ってきました。30代前半では戻ってこようとは決めていました。
広島の病院では人工心肺業務も行っていたので、心臓血管外科のある病院に転職希望をしておりました。ちょうど、済生会今治病院で求人があり、選んで頂けたので、良いタイミングで戻って来れました。

氏家副技士長(手術室業務担当)の一日

定時 8:30~17:00

8:30 手術室カンファレンス、始業前点検
9:00 患者様入室(心臓外科手術、スコープオペレーター等)
13:00 片付け
14:00 お昼
15:00 翌日準備、看護師さんとのタスク・シェア/シフト※
※看護師さんの仕事を出来るだけ臨床工学技士で巻き取って、看護師さんには看護にあたる時間に充ててもらうようにして臨床工学技士の仕事を増やしています。
手術室担当は全員、透析室の仕事はできるので、たまに透析室のヘルプに入ることも。
17:00 終業

3人で月間30時間程度、1人10時間程度の残業。

氏家副技士長の将来像

透析部門で透析しかできない人もいるので、今後、透析患者が減ってきた場合に備えて、その人をどう活用するかを考えないといけません。当院の場合は、スペシャリストを作るよりは、ジェネラリストを作るべきなのかなと考えています。
若い方の職を失わせないように、幅広く業務を覚えさせたい。透析と内視鏡室、透析と機器室と2つを兼任できるようになってきたので、次は、3つ兼任できるようにしていきたいなと思っています。
私も若者と言うよりは、次世代の病院を作っていく側の人間になりますので、自分が自分がと言うのはなくて、各分野で他院に見劣りしないだけの業務レベルをあげていくのが、私の代のすべきことなのかなと思っています。

個人的には、鋼製小物にしても、医療機器にしても、滅菌しないと使えないものが多々あるんですけど、滅菌の分野を極めたい。そちらの方でデータをとって発表が出来ればなと言うのを今のところ考えています。
第2種滅菌技士は修得していますし、中央材料室で必要となるような公的資格は、徐々に取っていますので、そのとった資格をどう生かして構築していくかに悩んでいるところです。

我々の世代が開拓する清潔・滅菌などの分野を、次の臨床工学技士に引き継いで仕事を作っていければ良いなと思っています。
臨床工学技士の仕事を増やさないと、臨床工学技士の数も増えません。看護師さんの代わりに清潔介助で器械だしするとか、麻酔の補助など仕事を増やしていければ、業務もスタッフも増える。看護師さんや、ドクターの業務をタスクシフトすることにより、こちらの業務を増やすことが出来る。
また、全国済生会臨床工学技士会で、他の病院でどのような業務をやっているかなどお話を聞く機会が出来ましたので、今は、参加しても聞く側ですが、情報にアクセス出来る環境を作って頂けたのは非常にありがたいことです。

入職後の配置

田邊 技士長

主要業務は透析業務になりますので、入職したら、透析室勤務になります。3年間で完全に1人で透析室業務を覚えてからオンコールを持たせます。
現在、部門は、①透析業務、②手術室業務、③内視鏡業務、④機器管理業務(循環器・ペースメーカー)で、4つに分かれています。
臨床工学技士は17名いますが、透析業務に専任7名兼任4名、手術室業務は専任のみ3名、内視鏡業務に専任1名、兼任2名、機器管理業務は専任2名、兼任2名になります。
オンコールは、透析と循環器だけになります。夜間麻酔科医がいないので、オンコールがありません。

やりがいについて

患者様が目に見えて良くなる業務はやりがいにつながります。ギランバレー症候群と言う、免疫システムが自己の末梢神経を攻撃する病気なのですが、今は飲み薬で良いものが出ているようでこの頃の症例としては少ないのですが、血液浄化をすることで、すこぶる体調が良くなって帰られたりして、患者様の治療が出来て良かったと思うことがやりがいになります。

認定士など修得環境について

認定士の取得や更新に対して費用は出してくれます。
学会も演題発表をしなくても、年1回の出席費用は出してくれます。
資格にしても学会にしても、東京で行われることが多いので、助かっています。

志望と採用ポイント

 

氏家 副技士長氏家 副技士長

科のPRとしては、臨床に関して言うと、大学病院でも県立病院でも引けの取らないスタッフが揃っています。人工心肺、血液浄化、内視鏡、それなりの症例件数があります。この人数で症例件数をまわしていますので、短期間で研鑽が出来る環境です。ドクターの集客努力もありますので、名医も増えてきていますし、患者様の要望に応えるだけの環境は出来てきています。色々な仕事を覚えてもらえる、やりがいのある環境だと思います。

 

田邊 技士長田邊 技士長

著名なCEの方の受け売りですが、まじめで、謙虚さがあって、健康であれば良いです。やる気があれば良いと言うところでは、まじめさが重要です。まずは見学に来てください。

 

 

取材協力

社会福祉法人 恩賜財団 済生会今治病院 透析センター
〒799-1502 愛媛県今治市喜田村7丁目1-6 Tel.0898-47-2500
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