【臨床工学技士インタビュー】好きな業務に配置すると吸収が早い!当直は人工心肺のセカンド業務まで。全員ローテーションで一通り業務を経験、習得できる高知赤十字病院

高知赤十字病院

昭和3年8月日本赤十字社高知支部療院として開設、令和元年5月に新病院に移転しました。新病院は免震構造とし、自家発電、給水設備などの非常用設備を強化することで災害対応力を増強しています。また、屋上ヘリポートを整備し、救急医療の充実を図っています。

入院病棟は、疾患別のフロア構成とし、各診療科の連携がとられています。県内初の女性専用病棟を設置し、女性が安心して療養できる環境作りを行なっています。

当院は、急性期病院であり、治療後に退院、転院される患者さんの療養の場を確保するため、患者支援センターを設置し、地域医療機関との連携を進めています。

私たちは、地域の皆様に愛され、親しまれ、信頼される高知赤十字病院であるよう全力を尽くして参ります。

今回は、臨床工学技術課の明坂慎史(あけさか・しんじ)課長と5年目の井上翠(いのうえ・みどり)技士にお話を伺いました。

井上技士に聞いてみた

井上技士

臨床工学技士を知ったきっかけ

母も両方の祖母も医療関係者だったので、医療職に就きたいと思っていました。

学校に広島国際大学が学校紹介で来てくれて、その際に、臨床工学技士を知りました。

曽祖母が透析をしていたのですが、誰がどのように透析を行うのか興味がありました。臨床工学技士が業務を行っているということを知り、臨床工学技士になると決意しました。

臨床検査技師と臨床工学技士のお話を聞き、進路を少し迷いました。
ですが、医療の現場で働いている母からも臨床工学技士の話は聞いていました。
医療機器も発展し、業務も拡大していくので、臨床工学技士の方が良いと思いました。

オープンキャンパスに行き、透析装置と人工心肺装置を実際に触り、役割を知り、私も治療に貢献したいと思い臨床工学技士になりたいと思いました。

高知赤十字病院を選んだ経緯

透析クリニックに勤めてしまうと透析一業務だけになってしまう気がしていました。私は急性期にも慢性期にも興味があり、人工心肺にも興味がありましたし、色々な業務をやっている総合病院に興味がありました。

高知に戻りたくて、総合病院を探している時に、高知赤十字病院で求人が出たので受けました。高知赤十字病院に受からなかったら県外に出ないと総合病院の募集がなかったので、受かってよかったです。

ジェネラリスト業務を希望していたので、心カテ業務、手術室業務、ICU業務などを1年目から経験させてもらって、今も急性期業務にあたらせていただいています。

現在の業務

手術室業務(準備業務、神経モニタリング、自己血回収装置、整形・脳外ナビゲーションなど整形の立会いが多め)、人工心肺のセカンド業務とメインの見習い中、心カテ、アブレーション、機器管理などをしています。業務は一通り経験していて、人工心肺含めレベルアップをしている状況です。

手術室業務の一日の流れ

定時 8:00~16:35(休憩50分 )
当直 8:30~翌8:30(一直二勤務:日勤8:30~17:05、準夜17:05~25:40、管理当直25:40~8:30)
残業 5~15時間(緊急カテ、人工心肺担当は残業が多め)
オンコール 人工心肺、心カテ担当者

7:55 朝礼(当直からの申し送り)
8:00 麻酔器等の手術室医療機器始業点検
9:00 手術開始
11:00 お昼休憩(交替で50分休憩)
手術が空くときは、手術室の機械点検
人工心肺業務はお昼休憩の交替をしますが、心カテ業務は先生の助手をしているので症例が終わるまで休憩が取れません
16:00 片付け
16:35 終業

長引く立会い症例がある場合は、残業が平均的になるように、課内で残り番を決めて業務過多にならないように調整

井上技士の目標

人工心肺のセカンドに入っていて、メインの練習中なので、メインで回せるようになりたいです。

資格取得や院内勉強会を通して、他職種から信頼される臨床工学技士になりたいです。

臨床工学技術課のPR

若手が3人いますが、症例がそんなに多くない中でも、カテでも心肺でも症例に入らせていただいています。
一通りの臨床に携われてますので、とても勉強になっています。

明坂課長に聞いてみた

新卒が4月に入職してきたら

初日はオリエンテーションで、院長 からの挨拶に始まり、臨床工学技士が立ち寄る各部署にあいさつ回りします。
初日の午後~3日目は集合研修になります。院内ルール、放射線、感染などの研修を行います。

4日目は、各部門を見学して顔見せをします。
5日目からは、①血液浄化業務、②医療機器管理業務、③心・血管カテーテル業務、④手術室業務を各3か月まわります。

透析は夜間はやっていませんので、必ずしも当直が目標ではないので、1年間適性を見ます。(慢性期業務①、急性期業務②③④)

夜間に受入のある業務に就く場合は、2年目に、1年間かけて当直に入れる業務習得をします。ECMOのプライミング(ドクターとのディスカッションが出来るように必要な知識を修得する)、CHDF、緊急カテ対応、人工心肺のセカンド業務が出来るようになってもらいます。

現在、当直者が10名いますので、10名は人工心肺のセカンドが出来ます。成長度合いは症例数によりますが、シミュレーションを使い、座学などでフォローもしていますが、実際の緊張感の中で、独り立ちと言うともう少し時間がかかることもあります。

手術室、心カテ、医療機器管理それぞれにリーダーがいて、業務は日替わりローテーションになっています。各業務をローテーションして業務習得しながら、得手不得手が出てくると思いますので、得意な所を伸ばして、各部門の責任者になってもらえると良いですね。

総勢15名で男性10名、女性5名で、50代は0名、40代は5名、30代は7名、20代は3名になっています。
令和元年に新病院の移転に際して当直制度を導入したので、準備期間として、その3~4年前に採用を増やしたので、30代が多い布陣になっています。

教育環境

循環器内科と年間に4回くらいカニュレーションやシミュレーションなど、ドクターの研修にコラボさせていただくような研修をしています。また症例検討会も定期的に行い、課内での共有を図っています。

認定資格に関しては、体外循環認定士は施設要件になりますので、病院の全額負担となります。その他の資格に関しては、本人から申請して可決されれば、費用補助がされます。
病院への貢献度を考慮されますので、中堅スタッフであれば、かなりの確率で通るかと思います。

学会参加に関しては、聴講、発表共に、申請可決されれば、業務として参加できて、費用の負担もあります。聴講をしたことがないのに、いきなり発表と言われても難しいと思いますので、まずは聴講に行ってもらえればと思います。学会はチーム作りという観点から、チームで発表してもらえるように推進しています。

機械購入は購買委員会があって、課長が委員になっているので、動向は掴むことが出来ます。無駄な医療機器の購入の無い様に意見をさせてもらっています。

購入後の医療機器管理は、師長との取り決めで、「ストックを作らない」「使ったら返してください」というルールを作って、余剰な医療機器の購入をしない等の施策を講じています。協力的に、ちゃんと返却してくれる看護師さんも多くいますので、いい関係が築けていると思います。

業務効率改善に関しては、気付いたことを上げて来て欲しいと吸上げを行っています。課内で解決することも、他部署を巻き込んでやる事もあります。失敗することも成功することもありますが、リーダーシップをもって取り組む経験が重要だと思っていますので、業務改善というか業務改革みたいなことは個々やっています。

福利厚生に関して

井上技士井上技士

イオンの映画館のチケットが半額で買えます!

 

若い職員には、イオンの映画チケット半額が一番喜ばれているみたいです。

高知赤十字病院独自の福利厚生もありますが、日本赤十字社でのスケールメリットを生かした福利厚生もありますし、慶弔・団体保険・妊娠中・出産・育児など全社的な福利厚生があります。

採用に関して

専門試験、一般教養、小論文、面接(院長、副院長、事務部長)で行います。

臨床工学技術課としては、どのような人材が欲しいかという選定基準をオーダーとしてあげています。
・新卒は、元気な人はたいていコミュニケーションがとれる人なので「元気な人」
・中途は、スキル面での採用を希望するので、資格を持っているのか?持っていない場合、カテ業務は何処まで出来るのか?など。

 

forista.biz編集部forista.biz編集部

要望に外れたような採用はありましたか?

 

多くの人を見てるだけあって院長の選定眼はいいので、20代の3名は新人採用なのですが、みんな良い人です。

高知県にはいわゆる総合病院と言われる病院が4つしかありませんので、地元の人が多いです。

私は、好きなやりたい業務が出来る環境を作っています。
やらされる業務より、好きな業務をやってもらって、皆で教えて行きますので、みんな吸収が早いです。

異動はありませんが、例えば結婚して、他県の日赤で働きたいなどの要望があった場合、受入先と条件が合えば、高知赤十字病院とその他県赤十字病院で”割愛(かつあい)”といった形で、異動扱いにすることもあります。

私自身は直接的に採用の合否に関わっていませんので、見学がプラス要素にはなりませんが、働く場所を見たいと思いますので、見学は受け入れしています。

 

取材協力

日本赤十字社 高知赤十字病院 臨床工学技術課
〒780-0026 高知県高知市秦南町1丁目4−63−11 Tel.088-822-1201
採用情報