中国労災病院
1955年(昭和30年)に、呉市が中心となった病院誘致運動により、(旧)労働省の病院として、3診療科(内科、外科、整形外科)50床で開院
令和4(2022)年1月から、病院運営において新たな方針を提示
【病院理念】
働く人と地域の人のために患者中心の良質な医療を提供します
【基本方針】
1 個人の尊厳と権利を尊重し、高度で安全な医療を推進します。
2 地域の医療機関と連携し、救急・急性期から慢性期までの一貫した医療を実践します。
3 最新の医学に基づいた専門的な医療を実践します。
4 働く人の健康を守り、治療と仕事の両立を支援します。
5 周産期医療を充実させ、未来を担う子供たちを支援します。
6 優れた人材を育て、働きがいのある職場づくりを推進します。
中国労災病院専属臨床工学技士第1号で、中央臨床工学部技士長である羽原詠治(はばら・えいじ)技士と、主任の關洸太朗(せき・こうたろう)技士にお話を伺った。
關 技士(左)・羽原 技士長(右)
主任の關洸太朗 技士に聞いてみた
關 技士
臨床工学技士を知ったきっかけ
高校は理系で、もともと病院で働くことに興味を持っていました。病院で働く職種というと、当時の自分は医師か看護師くらいだと思っていたのですが、高校に大学から届いたパンフレットをみて、臨床工学技士という職種があることを知りました。臨床工学技士は出来たばかりの資格で歴史が浅く、これから発展しそうな未知の職種で面白そうに感じて進学を決めました。
病院で働いてみて
中国労災病院は3病院目です。就活する上では、何となく透析のクリニックではなく病院で働いてみたいと考えていました。1病院目は、病床数が100床程で臨床工学技士が自分で2人目の病院でした。人数が少ない分自分でやれる業務も多く、やりがいもありましたが、年数を重ねていくうちにやるからにはもっと色んな業務をしたい、もっと大きな規模の臨床が出来る病院で働きたいという思いもあり、2病院目は大学病院で働きました。業務には満足していましたが、雇用形態が非常勤でしたので、将来が不安になり転職活動を始めた時に、現在の中国労災病院で正規職員の募集があったので、入職しました。流石に大学病院ほど規模は大きくありませんが、幅広く色々な業務をやらせてもらえる環境の病院でやりがいがあります。
關主任の1日の流れ
呼吸治療業務、人工心肺業務、血液浄化業務、手術室業務、集中治療業務、心血管カテーテル業務、ペースメーカ/ICD業務、ラジオ波治療業務、医療機器管理業務をローテーションしています。
定時8:15~17:00(45分休憩)、夜勤16:00~翌9:00(2時間休憩)
8:15 朝礼
8:20 ICUカンファレンス、呼吸器ラウンド、機器管理など
業務が症例の有無に左右されるので、時間が余れば機器管理
お昼 45分休憩
午後 心臓カテーテル検査、治療など
時間が余れば、看護師への教育資料や書類の作成など雑務
17:00 終業
・定期研修 血液浄化、ECMO、人工呼吸器
・個別研修 病棟によっては経腸栄養ポンプを使ったことがない方がいる。看護師の要望で機器の使い方について説明会を行うこともある
關主任の今の目標は何ですか?
色々業務をさせていただいたおかげで個人的に目標にしていた心・血管カテーテル関連専門臨床工学技士、集中治療専門臨床工学技士を取得することが出来ました。今後は学んだことを臨床の現場に還元していけるようにしていきたいと思います。当院は若い技士が多いので、教育することにも力を入れていきたいです。
臨床工学技士の面白さ
医療に携わりたいという人は一定数いると思うのですが、患者さんのために表立って何かする人と言われてまず思いつくのは、医師や看護師になるかもしれません。
臨床工学技士は医師や看護師とはまた違う目線に立って患者さんの命を救う手助けをすることが出来るやりがいのある業種です。医療機器もどんどん進化してきており、臨床工学技士の需要は今後も増えていくことになると思いますので、良い就職先だと思います。
私が臨床工学技士の資格を取って、臨床工学技士になったときより、業務の領域が広がっています。ほかのコメディカルの部門では、臨床工学技士ほど業務領域が広がる業種はないかと思います。
学生さんで新しいことをやりたいとか、医療機器を扱いながらチーム医療に貢献したいと言う方がいれば、是非目指して欲しい資格です。
当院も2007年に私1人だったのが、今は10倍の10人いますし、ほかの施設でも臨床工学技士の定員、需要がどんどん増えています。
また当院ではhinotori™というロボット手術を2022年に導入したのですが、『臨床工学技士も保守やトラブル対応を行っていただくようチームに入って欲しい』という要望を受けたことでhinotori™プロジェクトにも参加しています。今後、医療機器の進歩とともに、臨床工学技士の需要はよりいっそう増すかと思います。
入職後研修について
羽原技士長
入職して数日は病院の研修を行います。労災病院のことや、医療人としてというような導入研修です。入職者が決まったら、教育担当の先輩を1名決めておき、当面の目標としては夜勤に入れるように二人三脚でフォローします。またV-A ECMO導入等の業務は2人必要となりますので、オンコールにも入ってもらいます。早い人で半年、遅い人でも1年超で夜勤に入ります。夜勤に向けて症例に左右される部分があるので、チェックシートを使ってまんべんなく業務を覚えてもらいます(人工呼吸器業務、血液浄化業務、手術室業務、集中治療業務、心血管カテーテル業務、ペースメーカ/ICD業務、医療機器管理業務)。
透析外来がないので穿刺業務はないですが、CHDF等の急性血液浄化のプライミング(準備)は1か月程度で覚えていただきます。当院は自主性を重んじるため、分からない場合は、教育担当の先輩もしくは自分で手の空いた先輩を捕まえて、出来るようになるまで聞いたり実技を見てもらったりしています。また当院ではV-A ECMO導入のシミュレーションを循環器内科医・救急医・看護師と合同で行っています。合同で行うことによって、臨場感と緊張感が増し、新人教育という観点からも一役を担っています。
教育に関して
特に学会発表や、認定士をとれというようなことを私は言っていません。定期的な個人面談で、個々どういうキャリア設計をするかというのを決めていますので、学会発表したいといえばフォローしますし、取得したい認定士があれば応援もします。当院は410床に対して、臨床工学技士が10名いますが、同じような規模でも臨床工学技士が非常に少ない労災病院もありますので、労災病院機構全体の臨床工学技士を増やしていきたいという目標もあります。そのため、全国労災病院臨床工学技士会の活動に関する積極的な参加をさせていただいています。
採用に関して
私が1番目の専属の臨床工学技士で採用されて17年目となります。スタッフは20代前半から30代半ばと比較的若い職場で、コミュニケーションもとりやすいと思います。
当院の採用条件としては「在籍するスタッフと気が合いそうか」「他職種と連携が取れそうか」「自分で考える力がありそうか」といった点をみて採用をしています。
また私は、臨床工学技士に限らず社会人としての必須スキルは、コミュニケーション能力だと思っています。学生さんのうちにやっておいて欲しいことは、学校の先生でもアルバイト先でもいいので、色々な世代の人と話す経験をしてください。その経験が採用試験の面接で活きてきますし、先輩やドクターに物怖じせず、自分の考えを伝える事が出来るようになる第一歩かと思います。
就活生の見学はいつでも受け付けておりますが、当院ではVRツアーのコンテンツを作っています。スマホでも見ることができますので、是非ご覧ください。
労災病院院内見学ツアー(CE管理室)
独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院 中央臨床工学部
〒737-0134 広島県呉市広多賀谷1丁目5-1 Tel.0823-72-7171
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