【臨床工学技士インタビュー】人は宝。認定士、専門技士、修士・博士などの形に残る人財育成に注力した教育を推奨、支援。臨床工学技士が行える全ての業務に関われる国際医療福祉大学成田病院臨床工学室

国際医療福祉大学成田病院

母体は、約32,000人の卒業生を医療福祉の現場に輩出している国際医療福祉大学。2020年創立25年目の節目に、国際医療福祉大学成田病院を開院。

SCOPE(Simulation Center for Outstanding Professional Education)では実践に近い体験型のプログラムを導入

当院で働く循環器領域のスペシャリスト三橋直人(みはし・なおと)技士と、1年目の横塚聖奈(よこづか・せな)技士に聞いてみた。

職歴12年目三橋直人 技士、入職1年目横塚聖奈 技士

臨床工学技士をどのように知り、また興味を持ちましたか?

三橋技士

母が医療系の仕事をしており、自分も同じように医療の仕事に携わりたいと思い臨床工学科のある大学へ進学しました。臨床工学技士を選んだのは、子供の頃から機械いじりが好きだったのと、人工心肺に興味があったからです。

横塚技士

医療系の大学に進みたいと思っていたのですが、検査で患者さんの病気などを見つけたいと思い、国際医療福祉大学の成田キャンパスに臨床検査技師の資格を取得しようと入学しました。その後、臨床工学技士にも興味が沸き、キャンパス内に臨床工学特別専攻科が開設したので臨床工学技士の資格も取得しました。患者さんにかかわる時間が多いので、やりがいを感じて臨床工学技士として就職しようと思いました。

見学と就職活動はどうされていましたか?

三橋技士三橋技士

一番初めは、体外循環業務に携わりたかったため、実習でお世話になった体外循環を学ぶことができる病院に就職しました。その後、転職したのですが、一緒に働いていた心臓外科の医師がこの病院に異動され、新しくオープンした病院でやりがいがありそうだと思い、国際医療福祉大学成田病院に入職しました。

 

横塚技士横塚技士

実習先が国際医療福祉大学成田病院でした。就職の際に一番に考えたのは、1つの分野に特化するのではなく、色々な業務に関わりたいということです。大学の附属病院としていろいろな方が集まっており、刺激があると感じてこの病院に就職を決めました。

 

現在の業務と1日の仕事の流れを教えてください

三橋技士(第一業務:人工心肺業務、第二業務:心臓カテーテル室業務)

心臓外科手術(人工心肺業務)の場合
08:00 臨床工学室全体ミーティング
08:10 心臓外科手術の準備(人工心肺回路のプライミング等)
09:00 患者入室
10:00 人工心肺開始
13:00 人工心肺終了
14:00 患者退室し、ICUへ帰室
お昼休憩
15:00 心臓カテーテル室、ME機器管理、ICUのサポートなど
17:00 終業
・オンコール当番 1か月に10~15回(心臓カテーテル・人工心肺)
・残業 月間20時間前後

横塚技士(透析室業務)

8:00 臨床工学室全体ミーティング
8:15 透析室ミーティング(医師や看護師と患者さんの情報共有など)
8:45 患者入室(外来11床、入院6床)
9:00 1クール目(3時間、4時間透析混在)穿刺開始
11:00~13:00 交替でお昼休憩(1時間)
13:00 返血開始
14:00 2クール目(3時間透析、月・水・金)
17:30 返血開始
18:00 終業
月水金は2クール、火木土は1クール、2クール無い日は翌日準備など。
7:30出勤者は、プライミング・回路チェック・水質チェックなどの準備
残業 月間10~20時間

将来の目標設定について

三橋技士三橋技士

現在行っている業務に関わる認定は取得したので、今後は日本臨床工学技士会の専門認定士取得や主となる業務以外の認定士の取得を目指していこうと思います。まだ、国際医療福祉大学成田病院は開院から3年目のため臨床業務が中心となっていますが、人員が増え、業務が安定してきたら、教育・研究など大学病院の臨床工学技士としての強みを活かしていきたいと思います。

 

横塚技士横塚技士

1年目なので先ずは、いま行っている透析分野の透析技術認定士を取得したいです。今後、心臓カテーテル業務など色々な業務に携わっていくため、まずは、幅広く臨床工学技士の仕事を覚えていきたいです。

 

どんな方に進路として勧めたいですか?

三橋技士三橋技士

医療機器は日々進化していて、我々、臨床工学技士は幅広い分野の様々な医療機器を扱っています。医療機器に興味があり、患者さんにより良い医療を提供したいと言う気持ちのある方には臨床工学技士を目指してもらいたいです。

 

横塚技士横塚技士

専攻科は、医療や工学を学んだ人で機械に興味がある人は進んで欲しいです。機械を通して患者を診る仕事ですので、臨床工学技士ならではの魅力を感じられると思います。

 

国際医療福祉大学成田病院 医療機器安全管理責任者 稲垣喜三 教授

入職者研修について

横塚技士は、本学医学検査学科を卒業し臨床検査技師の資格を取得しています。昨年臨床工学特別専攻科で学ばれて臨床工学技士の資格も取得され、2022年度から臨床工学技士として当院で働き始めました。はじめての新卒者の受け入れでしたので、研修プログラムが十分に整っていた訳ではありません。来年度の新人からは他施設の研修プログラムを参考にさせて頂き、以下のようなプログラムを検討しています。

入職すると、①医療機器管理室、集中治療室、②手術室、③心臓カテーテル検査室、④透析室を、約1か月間(おおよそ1週間ずつ)、当院臨床工学技士の業務全体を通して見てもらいます。その後、3か月ずつ各部署にて1年で知識の確認をしてもらいながら基本業務をマスターしてもらいます。臨床工学技士は病院全体、そして多くの部署にまたがって業務を展開していますので、1つの業務しかできないと言う訳にはいきません。それぞれに到達目標を設定して、ローテーションで業務にあたってもらいます。

横塚技士には、社会人として医療人としての勉強してもらう。業務としては、ローテーションに従いまず透析業務を覚えてもらっています。回路を組んだり、プライミングをしたり、透析の開始・回収業務を行っています。

透析の次には、PCIや心臓カテーテル室で、血管の解剖や心臓の解剖・生理を理解して、より高度な業務(例えば、ナビゲーション、アブレーション、人工心肺など)につながっていきますので、ステップを踏んで業務を覚えて行ってもらいたいと思っています。つまり2年目には、人工心肺のセカンド業務に入ってもらうという感じです。各業務に到達目標を設けて、この期間にここまでは出来るようになろうといった目標を設定しようと思っています。

5年ですべての業務をマスターできるように、各業務のラダーを作成していきたいですね。難易度の高い業務(イメージですが)に人工心肺業務がありますが、2年目にはサブをマスターして、3~5年ではメイン操作ができるようになっていくイメージです。ローテーションが一通り終わると臨床工学技士が実施できるすべての業務が出来るようになることを目標としています。特に、すべての生命維持管理装置の操作・管理が行われている集中治療室・救急部では、医療機器管理はもちろんのこと、臨床技術提供業務として人工呼吸器、急性血液浄化、ECMOなど臨床工学技士の全ての知識と技術が活用できる場だと思います。全ての臨床工学技士が集中治療室業務までカバー出来るようにすることを目指しています。その先にそれぞれが求める専門性を高めてもらえればと思っております。

教育、支援環境について

当院はまだ4年目の病院です。今後はキャリアデザイン研修も取り入れていこうと思っています。各々が希望する方向性を見出してくれれば良いと思います。その一つに認定資格の取得を目標とするものがあっても良いでしょう。臨床業務をやって行くうちに学びたいものが出てきて、そして専門性を高めてスペシャリストを目指して行く、そこに認定士などがあると思います。こちらで何の認定士を取りなさいと言うことはありません。個人の希望を最優先に考えてあげたいですね。

病院として、認定士資格の取得者には職能給として還元する制度があります。一定の条件はありますが、交通費、宿泊費、受講料などを病院が支出してくれる場合があります。その他、さらに高みを目指して大学院に進学して研究をされる方も応援したいと思います。国際医療福祉大学には大学院修士課程・博士課程もあり、研究・専門性を追求しキャリアアップを目指される方にはとても良い環境にあると思います。
臨床工学技士に関連深い「医療機器イノベーション分野」という大学院修士課程があります。臨床の中で経験したことから「機器のここを改良したい」「もっと良い医療機器を作りたい」などの課題が見えてきたりします。テーマを決めて研究をして頂くのも良いかと思います。

臨床経験を積まれ、大学院で研究をされてきた方々には、病院で臨床業務に就きながら学生に指導するという臨床教員という道もあります。病院とキャンパスの連携が大切と思っており、病院で働く臨床工学技士、キャンパスの教員ならびに学生にとって充実した学びの環境を提供していますし、キャリアアップできる環境も整っていると思います。

見学者、入職希望者へ

今までは経験者採用を中心に行っていましたが、2022年度から新卒採用を始めており、今後も継続的に経験者ならびに新卒採用を進めていきたいと思っています。

組織はみんなで作り上げていくものですので、意欲のある人、チームで良質な医療を提供したいという志がある方にはぜひ来て頂きたいと思っています。

チーム医療ではコミュニケーションが大切とよく言われますが、コミュニケーション(意思の疎通)はなかなか難しいスキルだと思います。まずカンバセーション(会話)から始めて、いろいろな部署の方と話をする、交流を持つことが大切だと思います。互いを知り、理解する、そして尊重し敬意を表すことです。そこに良いチームが生れるものと思っています。

入職された際には、国際医療福祉大学成田病院の臨床工学技士として「品格」を大切にしてもらいたいと思っています。服装、挨拶などコモンセンスはとても大切です。まずは挨拶からです。私は病院ですれ違う方に「おはようございます」「こんにちは」「お疲れ様です」などなど挨拶をするのですが、部員からは「知り合いですか?」とよく聞かれます。「同じ職場の職員に挨拶するのは変?」って。私は相手が挨拶をしてくれなくても、先に挨拶した時点で勝ちだと思っています(笑) 挨拶されて気を悪くする人はいませんからね。勇気を出して自ら一歩前へ歩みを進めてもらいたいと思います。

人は宝です。人財育成は知識や技術を身に付けてもらうことも大切です。そしてそれを形(認定士や学位として)に残すことが重要だと考えています。新人だけではなく、経験者の方も分け隔てなく、キャリアアップをしてもらえる環境、人財育成に注力しています。

 

取材協力

国際医療福祉大学成田病院
〒286-8520 千葉県成田市畑ケ田852 Tel.0476-35-5600(代)
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