医学と歯学の融合、相乗効果でより高いレベルの医療を提供。臨床工学技士の業務がどんどん拡大していくなか1人2部門制をとることで、もしもに備えている。人数も多いからこそ風通しの良い職場環境をつくるために下からの意見も吸い上げられるシステムを採用。生まれ変わって1年となる東京医科歯科大学病院の臨床工学技士に話を聞いた!

東京医科歯科大学病院

2021年10月1日、東京医科歯科大学医学部附属病院と東京医科歯科大学歯学部附属病院が一体化。医学と私学の融合、相乗効果でより高いレベルの医療の提供をしている。

また、今年4月に東京医科歯科大学が指定国立大学となり、医療業界へのますますの貢献が期待される。
病床数は、753床。5,000台以上の機器を中央管理している。東京医科歯科大学病院のMEセンターは、臨床工学技士41人(女性16人)が所属し8部門に分かれて業務を行なっている。

倉島直樹(くらしま・なおき)技師長に話しを聞いた。

※日本の大学における教育研究水準の著しい向上とイノベーションの創出を図るため、文部科学大臣が世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人を指定するもの

10年ぶりの上京

倉島 技師長

長野県出身の倉島技師長は、東京の専門学校で学んだあと地元長野県内の2つの総合病院で10年以上にわたり臨床工学技士として経験を積んだ。その後、東京医科歯科大学医学部附属病院へ入職するため再び上京した。

Q.長野の病院ではどのような業務をしていたのですか?

病院実習のときに、心臓手術における人工心肺業務に非常に興味を持ちましたので、就職の際は人工心肺業務ができる病院を探しました。長野の施設なので、心臓手術の症例数がそこまで多くないのでそのほかのときは透析業務をしていました。

Q.長い間、長野でお勤めだったのに上京するとなったきっかけは何だったのですか?

最初に働いていた病院が、東京医科歯科大学医学部附属病院の関連病院でした。地方の病院は、医師も臨床工学技士も人数が少ないのでチームで日々業務に励んでいました。そのとき手術を一緒にしていた当時部長だった医師が教授選に出るので力をかしてほしいと声をかけてもらいこちらにきました。

新人育成

新卒で入職すると1ヵ月ごとに各部門をローテーションします。年明けには夜勤業務に入れるようにするという目的がありますので、夜勤業務がある4部門を重点的にまわります。指導方法としては基本的には、OJT※ です。1人に対して1指導者がついてしっかり指導していくということと、指導者が休みなどでいなくてもどれだけ達成したかがわかるようにチェックリストを設けています。指導に関しても1年生にアンケート調査を実施しています。上から一方的だと下の意見が反映されないことが多いので必ずどちらからもフィードバックできるような体制をとっています。

※「On the Job Training」の略称で、先輩社員が後輩に対し、業務に必要な知識やスキルを実践しながら伝承する教育手法

1人2部門制

うちは、1人2部門制で1人必ず2部署の業務ができるようにしています。以前は全ての業務をローテーションしていましたが、人数が増えてくると専門性もどんどん高くなっていくので同じ部署で2人休んでしまうと業務がまわらないということが発生する場合も想定されます。1人2部門担当していると誰かが欠けてしまってもほかの部署から応援にいける体制づくりをしています。

Q.1日のスケジュールはどのようになっていますか?

定時8:00~16:45 (倉島技師長のある日のスケジュール)

7:30 出勤、ICUの重症患者のチェック
8:00  カンファレンス(15分程度)
8:20  オペ室へ、人工心肺業務、途中1時間の休憩を交代でとる
15:00   ICUの重症患者のチェック
16:00     デスクワーク(データまとめなど)
17:00   終業

残業時間は、平均20時間程度。季節や月の業務量にもより多少上下する。夜間は、夜勤2人体制+当直者1人の体制をとっている。

新しい領域

2年前に内視鏡室の業務が増えました。内視鏡室にはME機器がたくさんあります。治療をするときに電気メスを使うのですが、トラブル防止のため臨床工学技士を毎日1~2人派遣しています。

Q.もともとは、医科と歯科の病院それぞれに臨床工学技士がいたのですか?

いえ、医科の方にしか臨床工学技士はいませんでした。一緒になってから私たちが歯科の機器管理をしています。

Q.では、一緒になって業務が拡大したということですか?

そうですね。歯科では口腔外科の大きい手術がたくさんありますので麻酔器の管理。入院となると医科と使用している機器はそんなに変わらないのでME機器と言われている輸液ポンプ、シリンジポンプや人工呼吸器もあるのでそういったものの管理をしています。建物は2階で繋がっているのですが、歯科の建物の方にもMEセンターの分室を新たにつくってもらいました。朝の手術がはじまる前に歯科の手術室に入って麻酔器をはじめとする医療機器の点検など、1日に何回か臨床工学技士を派遣するようにしています。

めざすは日本一

Q.大学病院ということですが、学会発表も頻繁にされますか?

そうですね。MEセンター全体で1年間に50演題は発表しています。大学の附属病院ということもあり、学会発表の回数、日本一をめざしてやっています。ローテーション中は厳しいですが、早い子だと1年目の終わりには学会発表を行います。もちろんアドバイスはしますが、自分でテーマ決めをします。経験を積んでもらうことが大事なのでやりたいという子は積極的に発表してもらいます。

求める人材

積極性があるということが大事で、我々の業務は経験しないと成長しない分野です。積極的に『やります』と手を挙げてくれる子でないと、失敗という経験も積めませんので。もちろんこちらもカバーしますので失敗を恐れずどんどん自分を出してやってくれる子が非常に採用しやすいですね。

取材協力

国立大学法人東京医科歯科大学病院 MEセンター
〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 Tel.03-3813-6111(代)
採用情報はこちら