【臨床工学技士インタビュー】2025年1月に新病院オープンの大阪警察病院で、カテ室、夜勤、タスクシフトと業務と人員拡大を続ける臨床工学科

大阪警察病院

2025年1月、社会医療法人警和会は、三次救急の受け入れなどを行う高度急性期病院である大阪警察病院と、難治性の内科系疾患に強みを持つ第二大阪警察病院を統合し、両院の強みを併せ持つ新病院を建設します。

新病院では集中治療室が28床となり、年間の救急車の受入れ件数が1万件となるよう、救急医療体制の拡充を目指しています。

大阪警察病院に22名、第二大阪警察病院に5名の臨床工学技士を束ねる臨床工学科の加藤大三(かとう・だいぞう)課長にお話を伺いました。

臨床工学技士をしったきっかけ

加藤課長

理系の高校の出身で、医療機器の修理・メンテナンスに興味があり2年制の医療機器コースの試験を受けたのですが、受験後に3年制の臨床工学技士のコースがあることを知りました。

臨床工学技士コースだと人工透析や人工心肺、心臓手術の医療業務に携われるということで、ずっと機械を触っているよりも患者さんを治せる仕事につける、医療に携わることが出来るということで、臨床工学技士コースに入ることにしました。

大阪警察病院に入職

出身地の福岡には、興味のあった人工心肺が出来る病院の募集が出ていませんでした。兄弟が大阪にいたので、関西圏の病院に絞って就活をしました。その中で、人工心肺業務の出来る病院が大阪警察病院だったので、入職させて頂いたという経緯です。

一日の仕事の流れ

定時 8:30~17:30 オペの日(早出 7:30始業)

7:30~8:30 人工心肺の準備
8:30 朝礼(カテ業務はカテ室で多職種朝礼)、清掃
9:00 手術室業務
14:30 ICUへ移動後、1時間お昼休憩
15:30 機器管理・集中治療室業務(カテ室以外の業務を支援)
16:30 終業カンファ、夜勤への業務の引継ぎ
17:30 終業

土日祝は当直+オンコール体制、平日夜間は夜勤+オンコール体制をとっています。
月間残業時間は20~30時間程度で年々減少傾向となっています。

業務は、人工心肺業務、血液浄化業務、医療機器管理業務、手術室機器管理業務、植込み型補助人工心臓業務、TAVI・マイトラクリップ、心臓カテーテル室業務、ダヴィンチ業務、術中脳神経モニタリング業務と多岐にわたり、心臓カテーテル室業務とそれ以外の業務に分かれています。心臓カテーテル室業務だけ他の業務を行わない単独業務になっています。

手術室とICUには係長を配置しており、手術室の係長は脳神経モニタリングや人工心肺、ICUの係長は人工呼吸器や補助循環が得意です。

最近は、心カテ業務が人気で特にアブレーションをしたいと言う学生の方が多いです。当院は心カテや人工心肺の件数が多いので、循環器・心外をやりたいという学生が多く受験します。

4月1日に入職したら

最初の2日間は、多職種合同で集合研修としてのオリエンテーションを受けます。その後は、臨床工学科にて研修を行います。初月は本院(特に人工心肺、CHDF)、近隣にある第二大阪警察病院(透析、EVAR/TEVAR)、心カテ室の3か所を研修でみてもらって、どこに配属を希望するか要望を聞きます。また、現場のスタッフにも適正を見てもらい配属先を決めます。

2か月目以降は、
・心カテ室は、不整脈、デバイス、治療を一通り習得して、3分野の1つのスペシャリストになります。
・第二は、朝の透析準備(組み立て・プライミング)、穿刺を習得します。
・本院は、ME機器管理、人工心肺の準備や記録等セカンド業務、CHDFなどを習得します。

2年目でオンコールが持てるように、1年目は各業務の業務習得をします。

3年目からは、補助循環の準備・導入、人工心肺の準備が出来る等、オンコールが到着するまでにやって欲しい業務を覚えてもらい夜勤(本院)に入ります。心臓外科手術のみ、オンコール者が対応します。

現在、時間外対応は、本院・第二大阪警察病院・カテ室で独立して管理しています。第二病院でも心カテを始める予定ですので、どちらの配属でも循環器業務に携わることができます。

人員について

2022年度7名、2023年度7名増員し、2024年度も数名増員を計画しています。

4年前はスタッフ数が10名程で、なかなか人員を増やせずにいましたが、カテ室業務(臨床検査技師から臨床工学技士でやることになった)や、夜勤体制の導入などで人員を増やしてきました。

次はタスク・シフトや新病院開院による業務拡大も考え、きちんと業務が回せる人員を確保していく予定です。

最初の数年は、色々な業務を経験してもらってジェネラリストとなりながら、専門とする分野を決めてもらえればと思います。

教育補助について

認定士等の資格は、初回のみ受験費を含めて旅費・宿泊費は出張扱いとして、全額負担します。

2回目の受験は自己負担になります。当然、更新時も出張扱いになりますので旅費・宿泊費等の職員による負担はありません。告知研修も、職員の負担がないように工夫しています。

技士会(大阪府臨床工学技士会と日本臨床工学技士会)は、年会費や保険は科としての予算で負担して全職員加入しており、やる気のある勉強熱心なスタッフには、極力自己負担がないように応援できる環境作りをしています。大学院に進学する方もいますので、そういう方には、ちゃんと卒業できるように勤務調整も行っています。

入職者に求める人物像

明るく、優しく、協調性のある人。患者さんや多職種と連携しますので、コミュニケーションが出来る思いやりのある人がいいです。面接では見分けにくいですが、科の為、みんなの為に頑張ってくれる方だと尚いいです。

話すしぐさをみたり、趣味を聞いたり、どういうCEを目指しているか、好奇心が高いか、フットワークが軽い(はい!とすぐ動ける人)かどうかなどの質問で、人柄や協調性等チェックしています。

2024年度入職の方は、入職後すぐに新病院への移転などあり大変ですが、最先端の集中治療を新しい病院で最新の医療機器を使用して行うことができます。

また私が本院では最年長で現在41歳になります。その他スタッフも平均年齢が20代後半と若いスタッフが多いため、とても明るく風通しの良い職場となっています。

オンコール者の通勤時間の制限を設けていませんので、通える範囲の方であることが望ましいです。

今後は夜勤や当直者を増やして、オンコール者の数を減らせるようにしたいと思っています。

まずは見学にお越しください。見学募集は、私までご連絡ください。

 

取材協力

大阪警察病院 臨床工学科
〒543-0035 大阪府大阪市天王寺区北山町10-31 Tel.06-6771-6051