【臨床工学技士インタビュー】民間救急ヘリを導入して、離島からも幅広い症例を受入れる「命と人生に向き合う、専門病院」米盛病院で、命を救う臨床工学技士に聞いてみた

米盛病院について

米盛病院は、1969年に「米盛整形外科医院」として鹿児島市に開院して以来、整形外科の専門医療機関として地域に根ざした医療に努めてきた。
2014年の新病院移転を機に救急医療にも注力し、救急科、脳神経外科、循環器内科、血管外科、心臓血管外科など、診療科を拡充するとともに、医療技術・サービスの質を高めている。
ドクターカーや民間救急ヘリ※「Red Wing」を導入し、病院で患者さまを待つだけではなく、現場へ出かけていく医療にも注力している。
手術件数は4,800件、救急搬送受入は4,500件(2021年度実績)を超える。24時間365日、離島を含む県内全域から多様な症例を受け入れ、救命からリハビリまで担う、命と人生に向き合う専門病院である。
日々研鑽に励んでいる米盛病院のCE課中原三佐誉(なかはら・みさよ)副主任と、中渡瀬大智 (なかわたせ・だいち) 技士にお話を伺った。

※民間救急ヘリ:全国で2機のみ(2022年時点)

中渡瀬 技士(左)・中原 副主任(右)

臨床工学技士になったきっかけを教えてください

中原 副主任中原 副主任

父が診療放射線技師、母が保健師、兄弟も医療従事者です。家族が医療従事者だったこともあり、医療の世界は、特別な職業、特別な場という認識はありませんでした。

高校卒業後、将来の進路が決まらず、看護師や理学療法士などで迷っていました。そんな時にたまたま見た就職雑誌で臨床工学技士を知りました。高校の時に音楽をやっており配線なども得意だったので、臨床工学技士は機械を扱う仕事ということもあって興味を持ちました。しかし、当時は両親も臨床工学技士の仕事を知らなかったので、市民公開講座を両親と見に行きました。

確か、臨床工学技士会の当時の会長さんが市民向けに透析のお話をされていて、自分の仕事について語る姿に感銘を受けました。患者様の治療にあたる仕事といえば、医師や看護師をイメージしていたのですが、臨床工学技士は臨床にも関われる仕事ということで、ピンときて、進路を決定しました。

 

中渡瀬 技士中渡瀬 技士

母が病院で事務職員をやっているのですが、専門学校のCMを見て、オープンキャンパスやっていることを教えてくれました。実際に見学に行き、人工心肺や透析器など色々な機械があり、面白いなと思いました。

「自分で動かしてみたい!仕組みを知りたい!」と思って進路を決定しました。仕組みや機械に興味があり、今使っているPCも自分で作りました。

 

大変だったことや現場に出てギャップに思ったことはありますか?

中原 副主任中原 副主任

成長のためには、知識と技術の両輪を回す必要があること、社会人としてのふるまい、医療人としての考え方など、学生から医療の現場に出た当初は大変でした。ただ機械を扱うのではなく臨床がメインなんだなと改めて思いました。一人でオンコールに対応し始めたばかりのころは、患者様の急変で泣きそうになりながら対応していたときもありました。

 

中渡瀬 技士中渡瀬 技士

業務が新しくなったり、業務が増えたりすると、新しく知識を入れなければならず、業務のフローもありますので、覚えることややることがいっぱいです。学びは学校で終わりではなく、学び続ける必要があると感じました。

 

ご担当のお仕事・1日の流れを教えてください (中原副主任)

中原 副主任

臨床工学技士になって14年ですが、前職では入職から2年目まで透析、M E機器、高気圧を担当し、3年目から心カテ(心臓カテーテル)、5年目からは心臓外科の立上げメンバーとして人工心肺業務をするようになりました。当院には4年前に入職し、ICU・ERを中心に、人工心肺・心カテ・不整脈・内視鏡などをやっています。

中原副主任の1日の流れ

7:30 勤務開始、朝礼、心カテ患者の院内ラウンド、カテ室準備
8:30 ブリーフィング(医師、看護師、臨床工学技士)
9:00 症例開始
月水金:心カテ、脳アンギオ
水:デバイス外来(ペースメーカーのチェックなど)
木:人工心肺症例定例曜日

16:15 終礼
16:30 終業
残業は通常月間10~20時間程度

ご担当のお仕事・1日の流れを教えてください (中渡瀬技士)

中渡瀬 技士

入職2年目で、1年目に医療機器管理(保守・点検・管理)と、透析業務を担当。2年目の現在は夜勤業務研修や内視鏡を担当しています。

中渡瀬技士の1日の流れ

7:30 朝礼、院内ラウンド
8:00 透析のヘルプ
8:30 内視鏡準備
9:00 内視鏡業務(1日3~4件)
11:00 お昼30分休憩(2回に分けて取得)
11:30 業務継続
13:00 医療機器保守業務、透析ヘルプ
16:15 終礼
16:30 終業
残業は通常月間10~20時間程度

Q.どんな時にやりがいを感じますか?

分からない事ばかりですが、少しずつ覚えていくと必ず出来るようになります。CHDFのプライミングなど一通りのCHDF業務が自分一人で出来るようになった時は、やりがいを感じました。また、自身が対応した患者様に院内でお会いした際にお声がけいただけると、距離が縮まったようで嬉しくなります。

Q.今後どういう臨床工学技士を目指しますか?

まずは、一通りの業務を覚えていく段階だと思っています。呼吸と内視鏡の認定資格を取りたいと思っています。

CE課の業務について教えてください

CE課には17名の臨床工学技士が所属しており、11名が男性、6名が女性。課長1名、主任3名、副主任3名です。平均年齢は33歳と、比較的若い組織です。①手術室・不整脈・高圧酸素業務、②医療機器管理・呼吸器・ICU業務、③血液浄化・血管治療と、大きく3つの部門で構成されます。
新人教育について、中渡瀬技士は医療機器管理から担当していますが、血液浄化やアンギオから始めるスタッフもいます。専門性の高い領域は専任を作っていますが、管理者はジェネラリストとして業務を行なっています。
新人研修は、まずは当直に入ることを目標とし、1〜2年程度で、血液浄化、内視鏡、ICU・ERの業務を出来るように教育します。緊急の手術やアンギオはオンコール担当がいますので、オンコール担当が到着するまでの初動が出来るようになるのが目標です。当直は週1回、オンコールは週2回くらいの割合です。
当院の教育はバディー制度を導入しています。上級者の臨床工学技士と新人臨床工学技士のチームで動きます。ベテランの臨床工学技士であっても、全ての業務を網羅している訳ではありませんので、バディー制はベテランにとっても勉強にもなります。
救急がメインの病院であり、症例も多いので、臨床を極めたいという臨床工学技士の方におすすめの出来る就職先です。

中原副主任の院外活動

日々の臨床だけではなく、「臨床工学技士100人カイギ」や「鹿児島県臨床工学技士会」の理事などを兼任して「臨床と工学を融合し、今後のA I時代でも更なる仕事の幅が広がる臨床工学技士の仕事の認知度上げたい!」と、奮闘中!!

「CE人生真っ只中!」中原 三佐誉 先生 臨床工学技士 100人カイギ Vol.7 フルムービー
https://www.youtube.com/watch?v=T_GzFVDyB6A

 

取材協力

社会医療法人 緑泉会 米盛病院
〒890-0062 鹿児島県鹿児島市与次郎1丁目7-1 Tel.099-230-0100
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