海南病院
海南病院は、昭和13年8月24日に病床数20床の病院として開院して以来、平成25年に「救命救急センター」の指定とともに、「地域中核災害拠点病院」の指定を受け、平成29年には「地域医療支援病院」の指定を受けました。
現在、病床数540床の高度急性期医療を担う地域の基幹病院として、「質の高い安全で安心な医療提供をとおして、地域を守り、地域から信頼される病院を築く」ことを病院理念として掲げて診療を行っております。
令和4年度の救急車の受け入れ件数は9,000件を超えており、これまでで最多となりました。当院は地域住民の皆さまをはじめ、地域の行政機関の皆さまや近隣の医療機関の皆さまに支えていただいているのだということを改めて深く感じております。
今回は臨床工学室の服部篤史(はっとり・あつし)室長と4年目の田本瑛一朗(たもと・えいいちろう)技士にお話をお伺いしました。
臨床工学室 服部室長(左)・田本技士(右)
田本技士に聞いてみた
田本技士
臨床工学技士を目指したきっかけ
6歳で扁桃腺手術をしたのですが、医師も看護師も優しくて医療従事者は格好いいなと幼い頃から思っていました。
高校で進路を決める際に、担任の先生から「医療と機械が合わさった仕事で、両方のスペシャリストになれる資格があるよ」という情報を教えていただき、藤田医科大学・臨床工学科のオープンキャンパスに「臨床工学って何だろ?」と思いながら、見学に行きました。
内視鏡業務、心カテ業務、手術室業務や人工呼吸器業務など、医療の中でも色んな分野で活躍できるのが魅力的だなと思い臨床工学技士を目指すようになりました。
海南病院に入職志望した動機
私自身、生まれたのが海南病院で扁桃腺の手術を受けたのも海南病院です。実家が近く、地域の大病院で、海南病院に行けば何とかなるという信頼の厚い病院ですから、その一員になりたいと思っていました。もともと人工心肺や心臓カテーテルの業務に携わりたいと思っており、今はアブレーション業務をメインに関わっています。
学生さんは、幅広い業務を経験したいという方が多くて、多岐にわたる業務が経験できるというのが、志望動機として多いです。
一日の業務の流れ
定時 8:30~17:00(休憩50分)
8:20 臨床工学室朝礼(申し送り)
8:30 心カテ室準備(検査ではポリグラフ、造影剤、除細動器、エコー起動などの動作確認。治療ではIVUS、OCT等の準備をします)
9:00 患者さん入室(アブレーション業務、午前1件)
12:00 お昼休憩(アブレーション業務は3人1組で業務を行うため交替で休憩を回す)
13:00 午後から心カテのない場合は、MEセンターで機器管理業務や呼吸器ラウンド
17:00 終業
月間平均残業時間10時間程度(17時以降の透析業務の残り番業務月3回)
当直勤務、月3回程度
緊急カテーテル治療は、患者さんが不安定な状態で搬送されますので、IABPやECMOの準備も行います。
治療につくには補助循環の準備、操作が出来ることが要件になってくるので、予定のカテーテル治療より難易度が高くなります。
新人さんは、まずは治療の前段階のカテーテル検査から業務をはじめ、検査が不安なくできるようになったら待機的カテーテル治療、それができるようになったら、緊急カテーテル治療というステップになります。
田本技士の目標
アブレーションや不整脈の認定(不整脈治療関連専門臨床工学技士、植込み型心臓不整脈デバイス認定士)、透析技術認定士を取得したいと思います。
学生の頃から、長くやっていると慣れが生じるということを言われてきたので、機械の先には患者さんの命が繋がっていることを忘れないように、臨床にあたっていきたいと思います。
臨床工学技士のやりがい
緊急カテを例に挙げると、その場に来た患者さんに合わせた治療方法をドクターと一緒に考え意見して、即座に治療方法を決定して、スムーズに治療ができることが重要です。
退院する際に、「ありがとう」などとお声がけいただけると、「良かった…救えた!」と思いますし、やりがいを感じます。
臨床工学室 服部室長に聞いてみた
服部室長
新人が4月1日に入職したら
初日は、JA愛知厚生連全体(本部・8病院)の新入職員が全員集まり入会式が行われ、理事長挨拶を拝聴し、辞令をもらって各病院に戻ります。
2・3日目は、各配属病院にて、感染や医療安全、和親会(海南病院の親睦会)、病院長の講話や総務の事務的なことのオリエンテーションに参加します。
4日目から、まずは医療機器管理業務を始めます。4月に新人の看護師、研修医に医療機器の使い方のレクチャーをするのですが、その方たちと一緒に受講側として、海南病院にどのような医療機器があるか、どのように操作をするのかといった研修を2日ほど受講します。
5月からは、1年半~2年後に当直に入ることを目標として、心カテ業務、ICU業務、人工呼吸器業務、血液浄化業務のローテーションを行います。
内視鏡のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)業務や、da Vinci業務などは、当直業務ではありませんので、教育プログラムとしては後回しになります。専門チームは3チームに分かれており、人工心肺チーム、血液浄化チーム、アブレーションチームがあります。当直に入るまではジェネラリストとして業務を行い、当直に入れるようになると各チームに所属してスペシャリストを目指していきます。
当院の業務は大きく分けて7業務あります。全員が行う業務と、各チームが専門的に行う業務に分かれています。
【1.医療機器管理業務】全員が行う業務
・医療機器の定期点検、終業点検、不具合対応などを行う。
【2.血液浄化センター業務】血液浄化チームが担当
・プライミング、穿刺、透析機器の操作、透析液の作成、装置管理では定期的な保守・点検を実施。血漿交換、白血球除去などの各種血液浄化療法や腹水濾過濃縮再静注法、体水分量測定、シャントエコーなどを行う。
【3.集中治療センター業務】全員が行う業務
・急性期での各種血液浄化療法(HD, On-line HDF,CHDF,PE,DHP)をはじめ、PCPS(経皮的心肺補助)やIABP(大動脈内バルーンパンピング)等の操作、保守管理業務を行う。
【4.手術センター業務】人工心肺操作は人工心肺チームが担当、人工心肺以外は全員が行う業務
・人工心肺装置の操作、麻酔器・電気メスの保守管理業務。da Vinci業務やスコープオペレーターなど。
【5.心・血管カテーテル業務】アブレーションはアブレーションチームが担当、アブレーション以外は全員が行う業務
・生体情報のモニタリング、記録。IVUS(血管内超音波診断)、OCT(光干渉断層法)、FFR(冠血流予備量比)等の機器操作、保守管理業務。不整脈分野では心臓植え込みデバイスのプログラマーの操作、アブレーション治療での各種機器の操作。
【6.人工呼吸器管理業務】全員が行う業務
・呼吸器ラウンド、呼吸器導入時の立ち会い、定期点検など。
【7.内視鏡センター業務】全員が行う業務
・内視鏡センターではESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の診療支援や洗浄機、スコープ保管庫の管理など。
教育環境、教育支援
新しい医療機器を導入すれば、メーカー研修を受けますし、例えば不整脈の新しい手技が入ってくれば、その都度研修を受けて、新しい業務を行っていきます。
教育支援は、個人に紐づくもの(資格取得は交通費と公休を支給)、病院に必要なもの(メンテナンス講習会等は病院負担)で、判断されます。
学会参加は、傍聴に関しては臨床工学室予算の範囲内で予定を組みます。演題発表に関しては交通費・参加費・出張費が支給されます。
JA愛知厚生連について
頻度は多くありませんがJA愛知厚生連内での人事異動はあります。
JA愛知厚生連が管轄する病院は8病院あり、大規模病院から中規模病院までありますので、臨床工学技士が2~3名の施設もあります。
新型コロナウイルス感染拡大時には、中規模病院の技士2名が同時に欠員となり、厚生連内の大規模病院から技士を派遣し危機を乗り越えた事例がありました。
あとは、医療機器の保守点検支援で、業務出張を行う事があります。
臨床工学室の構成について
臨床工学室は16名(男性14名、女性2名)で、20代5名、30代6名、40代3名、50代1名、60代1名と、若い人が多いのですが、40代以上のスタッフは他施設やメーカーでの勤務経験があるので、色々な場面で経験してきたことを若手のスタッフに継承しています。
また若手のスタッフ中心に、海南病院臨床工学室というチャンネルを作って、職員向けの医療機器研修動画をYouTubeにアップしており看護師からの「自宅でも見たい」という要望にも応えています。
この取り組みは始めたばかりで運用方法を試行錯誤していますが、今後も引き続き行っていきたいと考えています。
職員向けの医療機器研修動画 <低圧持続吸引器> – YouTube
新人採用について
面接試験、SPI(適性検査)、専門試験(国家試験レベルの易しい問題です。小論文はありません)で行います。
当院では当直業務が多岐に渡りますので、色んな業務をやりたいという人に来て欲しいです。タスク・シフトで、当院でもスコープオペレーター、血液浄化の静脈穿刺などをやり始めていますが、臨床工学室としても業務を拡大しやすくなるよう新しい業務に前向きで、積極的に学ぶ姿勢のある人を採用したいです。
今年は5月に試験があったのですが、2名の募集枠に、8名が応募してくれました。一次試験で4名を選考して、二次試験は本部で試験を行い2名採用が出るような選考方法になります。海南病院で受験した人は、海南病院配属になります。
面接は緊張される方も、饒舌に話される方もいますが、言葉に詰まったからダメというのではなくて、頑張って話す誠実さも見ていますので、うまく話せなくても、きちんと自分の思い伝えることが重要です。
採用は、人事担当者と臨床工学室の室長と課長の3名で1次面接を行い、本部面接に委ねます。
臨床工学室【海南病院で一緒に働きませんか?】臨床工学室 – YouTube
愛知県厚生農業協同組合連合会海南病院 臨床工学室
〒498-8502 愛知県弥富市前ケ須町南本田396 Tel.0567-65-2511
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