【臨床工学技士インタビュー】県内でも稀な透析しながらリハビリができる療養病棟、多職種・患者さんと仲良く日勤帯就業の岩切病院に見学に来ませんか?

岩切病院

岩切病院は、平成元年4月1日、岩切(仙台市)に内科・小児科・循環器科・理学診療科を標榜する病院として開院。

【基本理念】
・医療と福祉の総合的なサービスの提供を行うことにより、地域医療に貢献いたします。
・医療と福祉を融合することにより、地域の皆様の信頼を得、安心を提供していける地域に密着した病院運営を行います。
リハビリテーション科を中心とした医療を提供して、在宅の難しい透析患者様の紹介入院が増え、現在では51台の透析機器を有するまでに設備を拡張し、約130名の患者様が透析治療を受けている。

医療と福祉の総合的なサービスの提供を行うことにより、地域医療に貢献していく岩切病院の血液浄化技術部兼診療推進部部長で、宮城県臨床工学技士会理事の尾形佳昭(おがた・よしあき)にお話を伺った。

臨床工学技士を知った経緯

尾形部長

当時、市内の330床のオープン型の中核病院の副院長から出身校の理事長を通じて「主に医療機器業者が行っていたME機器の保守を、病院の機器を専属で扱う人材がこれからは必要である。その病院の医療機器を担当する仕事があるので、面接してみないか」という話がきました。それをきっかけに、医療機器をメンテナンスするME技士として入職しました。当時、臨床工学士は法律上定められていなかったため、臨床工学室などもなく医局付け、当初開設した救命救急センター所属でした。

私の時代は、先に述べた通り国家資格が定められていなかったのですが、病院から「ME2種を取得して欲しい」という希望があり取得しました。その後、臨床工学技士と言う国家資格が出来ることになりました。当時の私では、受験資格にあった[実務経験5年]には、3年足りませんでした。この3年間をどのように過ごすか迷いました。東京にできた日本初の臨床工学技士の専門学校に通うことも考えましたが、在職していた病院関連の仙台医師会の看護学校に働きながら通って2年間で准看護師を取得して、1年病院で勤務して実務経験5年になり、厚生労働省の臨床工学技士実務者のための講習会等を受け、第4回に臨床工学技士の資格を取得しました。

入職した当時は、千葉の救命センターに行って、ME技士とは何なのかとか、ICU業務や高圧酸素などを勉強しました。立会い規制の施行が開始される前ですが、人工心肺業務などは、地元の施設を巡り、その後東大病院、慈恵医大、日本医大などを業者さんと一緒にまわり体外循環などを勉強しました。人工心肺のポンプを最初にまわしたのは、東大病院で心房中隔欠損症(ASD)の無血体外循環の操作を経験させていただいた時でしたが、血液が人工肺に流れる光景は今でも鮮やかに目に浮かびます。

その後、数年臨床経験をしていたのですが、透析膜などを正確に理解したくなり、生体材料工学を学ぶことのできる大学に進学しました。大学で学びつつ、正看護師も取得しました。色々な病院で勤務しましたが、「地元に帰って働きたい」と思いが出てきたため、岩切病院に入職しました。23年前のことです。

現在は、医療機器安全管理室の医療機器責任者、院内全般の医療の質・安全管理部門の医療安全管理者(ゼネラルマネジャー)も兼務しています。

また、東北大学の大学院医学系研究科で医科学の修士を取得しました。現在は、医工連携講座(尿毒素物質の研究※)の医学履修課程で医学博士を取得予定です。
※簡単にいうと悪い物質が出にくくする研究です。

岩切病院の1日の流れ

勤務体系は、6:30~15:00(早出)、8:30~17:00(定時)、9:00~17:30(遅出)

6:30 1クール目のプライミング開始
7:00~ 外来患者さんの穿刺開始
8:00~ 入院患者さん穿刺開始
11:00 返血開始
お昼は交替で1時間
12:00~13:00 2クール目穿刺開始
17:00 返血
17:30 終業

他の病院・クリニックみたいに、待合室で待ってもらって9時に入室というのではなく、来た順に穿刺していきますので、穿刺もパラパラ、返血もパラパラなので、時間通りに終わります。月間の残業時間は10時間程度です。

オンコールは、血液浄化技術部として看護課長と私で対応、主に心不全による透析(HD)対応しています。

診療推進部では、血液浄化以外の業務を管理していて、人工呼吸器業務、医療機器管理業務(特殊として院内の放射線関連機器・臨床検査関連機器等の医療機器安全責任者として)、内視鏡補助(主に準備、整備)、ペースメーカー補助、シャントエコーを行なっています。

当院の腎代替療法は、血液透析法(HD)血液透析濾過法(HDF)間歇補充型血液透析濾過法(I-HDF)さらに腹膜灌流法(PD)などです。全国でも稀な電解質(水素)透析も行っています。一方、透析患者さんの合併症予防や治療として看護師ともに、フットケアに力を入れて血流測定、足の血行を良くする積層型ダイアライザー、LDLアフェレーシス、光線療法など取り入れています。昔は、それらを組み合わせたトリプル療法を考案したこともあり、壊死した足を完治した経験もあります。全てにおいて探究することが大切です。

新人研修

人材教育プログラムはありますが、看護師と一緒に患者さんのバイタルを測り、措置をどうするかなど、現場で多職種とコミュニケーションを図ります。

プライミング、返血、止血などを学び1年間はコミュニケーションを取りながら、業務を覚えて行きます。

1年くらいたつと、患者さんから「そろそろ、穿刺しなくていいのか?」と声を掛けていただけますので、穿刺をするようになります。最初は多少下手で、痛いかも知れませんが、患者さんが育ててくれるような環境が整っています。
1年目の医療機器管理業務は、病棟ラウンド等も行います。腹膜灌流の薬剤の準備なども行います。

2年目くらいから先輩と一緒に人工呼吸器の点検ラウンド業務をします。3年くらいで内視鏡業務を行います。

第2透析室は病棟内にある3床の透析業務を行い、透析時の変動する呼吸や血圧などの、バイタル管理を1人で観察する業務があるのですが、第2透析室を安心して任せられるようになったら一人前です。

当院は、臨床工学技士が12名(男性8名、女性4名)で、一般病床42床と療養病棟業務58床など、リハビリとタイアップした透析患者の回復期、長期療養半々くらいの患者さんを担当しています。

認定士等フォローアップ

最近の業務拡大に伴う告示研修費用は、学会加入している前提で全額補助をしています。

学会認定に関する資格は、透析技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士、認定血液浄化関連臨床工学技士、血液浄化関連専門臨床工学技士の取得者が在籍しています。

認定士の更新条件を満たすように、学会出席、学会発表はしてもらうようにしています。強制はしていませんが、自己研鑽のためにも学会発表は推奨しています。

●透析技術認定士更新条件(5年で50点以上)
・学会出席 10点

学会機関誌への論文発表
・筆頭発表 30点(但し透析技術に関連する内容であること)
・共同発表 5点( 同上 )

●3学会合同呼吸療法認定士更新条件(5年で50点以上)
I.講習会への出席、講演 【委員会が認める他の学会、団体などの主催する講習会】
《取得点数》
a.期間が半日の場合 12.5点
b.期間が1日の場合 25点
c.講師として講義した場合 30点

II.委員会が認める学会(総会または地方会)への出席、発表、講演
a.出席 20点
b.呼吸療法に直接関連した演題の座長 20点
c.呼吸療法に直接関連した演題の第1演者 20点
d.呼吸療法に直接関連した演題の共同演者 10点
e.講師として講義・講演した場合 30点

III.学術論文 呼吸療法関連の学術論文を学会誌あるいはそれに準ずる医学雑誌に発表した場合
a.第一著者 50点
b.共同著者 15点

Ⅳ.委員会が主催する更新のための講習会(補足3 受講対象は現在認定士有資格者のみ)
a.1日 30点(ただし講習期間は2日間であり、30点×2日=60点となる。1日だけの受講では点数は取得出来ない)
b.講師として講義した場合 50点

●認定・専門臨床工学技士更新条件(5年ごと)
I. 更新年度まで5年連続して日本臨床工学会正会員であり、会費を完納している
II.認定期間中「日本臨床工学会」又は「地域臨床工学会」へ1回以上参加している
Ⅲ.要件を満たす単位を取得している
※専門臨床工学技士・・・50単位
※認定臨床工学技士・・・20単位
その他

採用したい人材

透析しながら、リハビリをして、長期入院して回復させるといった病院業務になりますので、どういった業務なのかを見学や実習に来てもらえればと思います。

当院は、臨床工学技士を目指す大学生さんの血液浄化実習を担当させていただいています。
その時にも話題にするのは「(患者さんと)コミュニケーションが取れるということは、(回復期ということもあり)重要である」ということです。患者さんとは毎週、月水金、火木土と同じ人と会ってお話しますからね。

また医師、看護師、助手や事務員とチーム医療を行っていますので、チーム内でのコミュニケーションも重要です。

見学時に採用したいと思う人は決めています。ちゃんと挨拶ができると言うのは基本で、明るくて、向上心がある方がいいですね。付和雷同とは違いますので、自分の意見は意見として発言できることも必要です。

 

取材協力

岩切病院 透析センター
〒983-0821 仙台市宮城野区岩切字稲荷21 Tel.022-255-5555(代)
採用情報