【臨床工学技士インタビュー】複数業務も修得できる環境があり、大学病院だからこそ先を行く高度医療に携わり、学べる関西医科大学附属病院

関西医科大学附属病院

当院は、医療圏内唯一の特定機能病院、総合周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院、大阪府アレルギー疾患医療拠点病院、大阪府難病診療連携拠点病院であり、地域の医療のかなめとして、47の高度に専門化された診療科と、ハートセンターや脳卒中センターなど異なる専門家が協力して集学的治療・診断にあたる7つのセンターを持ち、最先端かつ個々の患者さんに最適の診療を提供しています。また高度救命救急センターを擁し三次救急医療体制を敷くとともに、地域災害拠点病院でもあり、救急および災害医療にも万全の体制を整えています。

当院の目標は、関西医科大学の建学の精神である「慈仁心鏡」すなわち慈しみ・めぐみ・愛を全職員が心の規範とし、安全であたたかい、患者さんに寄り添った最善の医療の提供です。心身の不調に苦しむ患者さんの要望に応えるために、「ことわらない病院」をモットーに掲げるとともに、診療においては医療倫理に基づいて患者さんの尊厳と自由意志を尊重します。

当院は大学病院、特定機能病院として、新しい治療法や最新の医療機器を導入し、最先端の医療を提供するとともに、よりよい新規医療の開発を行っています。手術部には手術支援ロボットやハイブリッド手術室を設置し、より正確で精密な各種手術を実施するほか、第5のがん治療として注目されている光免疫医療についてもセンターを設置し開発を推進しています。

今回は、大学病院ならではの高度な医療を行う医用工学部の山口睦人(やまぐち・むつひと)副技師長、7年目の西翔太郎(にし・しょうたろう)技士、1年目の山田優香(やまだ・ゆうか)技士にお話を伺いました。

西技士(左)・山口副技師長(中)・山田技士(右)

臨床工学技士を知った経緯は何でしたか?

西技士西技士

医療分野で進学したいと思っていました。理系の科目は得意で、工学的な動力や原理に興味がありました。医療と工学の合わさった新しい学問で、臨床工学技士に興味を持ち進学しました。

 

山田技士山田技士

小学校と中学生の頃は、体が弱くて病院通いをしていました。その時は医師と看護師しか知らなかったのですが、結果を患者に伝えるのは医師だけど、「心電図やMRIなど医師をお手伝いしてくれる人がいるんだよ」ということを聞きました。

進学にあたって臨床検査技師と臨床工学技士に興味を持ち、どちらになりたいか決め切れなかったので、臨床検査技師を4年で修得して、専科に進学して1年で臨床工学技士、両方の資格を取りました。循環器分野に興味を持ち、臨床工学技士で就活しました。

 

関西医科大学附属病院を志望した理由

西技士西技士

学生時代に循環器分野に興味がありました。循環器の症例に多く携われるとなると必然的に大きな総合病院になってきます。そのため、関西医科大学附属病院を志望しました。

面接では心カテ分野に興味があり、今後さらなる発展が見込まれるカテーテル分野を最先端な技術を用いる大学病院で体得、勉強していきたいとアピールしました。あとは大学病院の中で募集が早かったこともあり受験しました。

 

山田技士山田技士

臨床工学技士に対して「どう思う?」と意見を求める一言がチーム医療を体現していると感じていました。その分、臨床的な知識が必要になりますが自己研鑽への原動力となってくれると思い志望しました。

 

今はどのような業務に就いていますか?

西技士西技士

循環器全般です。循環器内科分野の心臓カテーテル、心臓血管外科分野の人工心肺、手術室業務がメイン業務になります。

透析、人工呼吸器というような基礎領域は全職員対応できますので、私も稀に従事します。

 

山田技士山田技士

人工呼吸器(病棟ラウンド)、透析と手術室業務の外回り業務です。点検や準備、トラブル対応をしています。外来透析はないのですが、大学病院に入院して透析される方なので、容態の変わりやすい患者さんが多いです。

 

一日の流れについて教えてください。

定時 8:30~16:40
透析部門 8:00~16:10
宿直 16:40~8:30(院内待機でPHSに連絡が来たら対応、ICU業務をある程度出来るレベルになったら宿直担当)
オンコール 2名(緊急カテ、人工心肺など)

【西技士の一日】(カテ業務)

8:30 朝礼、申し送り
8:45 カテ室で多職種カンファレンス(症例の情報共有)
9:15 心臓カテーテル検査・治療
11:00(~13:00) お昼休憩1時間(2~4名で従事、交代で休憩)
5件~8件(+緊急カテ)
16:40 終業

月間残業10~15時間

【山田技士の一日】(透析業務)

8:00 水質検査、プライミング
8:30 朝礼(従事する2~3人のうち1人が参加)、申し送り
9:00 入室、穿刺開始、出張透析(CCU、GICU、救急ICU)、アフェレシス準備
11:00(~13:00) お昼休憩1時間(配置されている2~3名で交代で休憩)
12:00 巡視、回収準備
13:00 返血開始、翌日準備
15:00 ICU業務(機器メンテ、CARTなど他の血液浄化業務)
16:10 終業

残業0時間(1年目なので残業があった場合先輩技士が残業対応)

臨床工学技士業務のやりがいについて

西技士西技士

人工心肺、人工呼吸器、補助循環などの操作は、ボタン一つで患者さんの命に関わる非常に重要な操作になります。

透析であっても患者さんの体内から血液を引っ張ってくるので、リスクや怖さを分かった上で、日々知識や技術を勉強して生命維持管理装置を扱えていることにやりがいを感じます。

 

山田技士山田技士

臨床検査技師と臨床工学技士の大きな違いは、検体の数値を見て判断するのではなく、患者さんを目の前にして、どういう状態であるかを理解するということだと感じています。

患者さんに穿刺する機会が増えてからは成功と失敗の経験は実際に穿刺しないと積めないと感じるようになりました。失敗時に次の成功に向けた工夫をすることや、先輩、患者さんに見守ってもらいながらスキルアップし、それを技術として返していくことがやりがいに繋がると思っています。

 

山口副技師長に聞いてみた

新卒が4月1日に入職してきたら

法人での2日間の合同オリエンテーションでは、入職式や病院長・理事長の講話により、病院のビジョンや社会人・医療人としての意識や患者への考え方について学びます。

3日目には関西医科大学附属病院への配属があり、医療安全や感染対策、医療機器など、医療従事者に必要な基本的な知識を学びます。
4日目にはプリセプターと共に医用工学部全体の業務を見学し、5日目からは担当部署での業務が始まります。

血液浄化業務および呼吸器業務については、当直にも必要な業務となりますので、1年半〜2年かけて覚えていくことになります。血液浄化業務では、穿刺が患者さんにとって最も侵襲が大きいため、業務担当者と連携しながら穿刺を始める時期を決め、一連の業務を学んでいきます。現在、山田技士は透析業務を中心に週に1〜2日、呼吸器業務も担当しています。

この現場では、多職種が働いているため、多職種連携やコミュニケーションも重要視されています。もしも独力で業務ができなくても、良好なコミュニケーション能力があれば周囲の人々がサポートしてくれます。つまり、ノンテクニカルスキルの習得も重要です。上手にそうした会話ができることは非常に重要だと考えています。

また宿直についても3年目を目途に実施します。宿直担当の主任が当直に必要な技術チェックリストを作成しています。例えば、CHDFやECMO回路のプライミング、人工心肺のガス測定、心臓血管外科手術の準備など、オーダーに応えることが求められます。

これらが実施できるようになった上で、3年目からのキャリアプランとしては、山田技士は循環器業務に就きたいという希望があります。ただし、同じ年代のキャリアプランが競合する場合は、修正しながらキャリアプランを作成していきます。

大学病院で働くスタッフは全業務を担当することは難しいことだと考えますが、私(山口副技師長)は心カテと内視鏡の業務立ち上げを当院で担当し、幸運なことに全ての業務に関わることができました。その経験を生かし、現在は医療機器安全管理業務に従事しています。
呼吸集中治療、手術室(人工心肺)、血液浄化、心カテ、内視鏡、医療機器安全管理業務(山口副技師長専任)のうち、多くのスタッフがおよそ3部署の業務習得をしています。

医用工学部の教育体制について

医用工学部の臨床工学技士は、全体で21名おり、そのうち女性は4名です。
年齢別では、20代が5名、30代が12名、40代が3名、50代が1名です。

院内では、私(山口副技師長)が医療安全管理部を兼務しているため、医療安全に関わる講習会を開催しています。また部内のスタッフミーティングでは、必要に応じて各業務担当者による勉強会が行われています。さらに各部門でも定期的にチームミーティングを実施し、議事録を全スタッフで共有しています。

教育の一環として、症例検討会も行われており、特にECMOの事例では、医師や看護師を含む多職種の循環器チームがカンファレンスを行い、医用工学部に情報を共有しています。

部門ごとの業務が忙しく、集まって勉強する機会が限られているため、Teamsを活用しながら実施しています。
資格や学会に関しては、医用工学部の部局費という予算があり、研修や学会への参加に利用できます。スタッフからの希望に応じて、必要な研修や学会の参加を承認し、業務としてサポートしています。近年ではオンデマンドでの参加も増えています。

採用について

関西医科大学附属病院への採用には一般、専門試験、小論文、面接があります。面接には技師長が参加し、最終的に法人が採用した職員を配属します。

現場では、自己主張やコミュニケーション能力が重視されています。また大学病院では知識も求められるため、学力も一定程度必要と考えています。 山田技士は、臨床検査技師国家資格を取得しており、臨床工学技士国家試験への不安はありませんでした。また、コミュニケーション能力についても高い評価を受けています。実際に私(山口副技師長)自身も彼女のプリセプターを務めており、非常に優れた技士だと感じています。

関西医科大学附属医療機関の業務異動はほとんどないため、面接時にはどの病院でどのような業務を担当したいかをアピールすることが重要です。当院では業務の多様化が進んでおり、適応力のある人材が求められています。そのためには、コミュニケーションスキルが重要視されていると考えています。

学生の皆さんには、ぜひ見学に来ていただきたいです。実際に現場を目で見て、たくさんの質問をしてください。そうすることで、関西医科大学附属病院で働きたいというモチベーションが高まり、自身がどのような業務を担当できるかを感じていただけると思います。

先輩技士からのメッセージ

西技士西技士

MICSなども大学病院ではオーソドックスになっていますので、他の民間病院がやっていないような最先端の医療技術を修得できると思います。

当院の募集時期は、毎年早い時期に行われますので「当たって砕けろ」で受けてくる方も多いので、毎回倍率が高いですが、面接頑張ってください。

 

取材協力

関西医科大学附属病院 医用工学部
〒573-1191 大阪府枚方市新町2丁目3−1 Tel.072-804-0101
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