臨床工学Q&A教室[回答]2023年12月分 

Q1.AAPLへの穿刺について

[質問者]牧羊犬さん(臨床工学技士)

質問者質問者

透析治療にて動脈表在化の一種であるAAPL(腋窩動脈に人工血管入口、出口をループ常に吻合。穿刺部位は前胸部)への穿刺は告示研修を修了したMEでも行ってもいいのでしょうか?

特殊なバスキュラーアクセスのため医師の穿刺が妥当なのでしょうか?

A1.高倉室長(亀田総合病院)の回答

高倉室長(亀田総合病院)高倉室長(亀田総合病院)

告示研修目標:⑤適切に感染管理及び医療安全対策を行い、動脈表在化への血液浄化装置の穿刺針の接続・抜去ができる。

重症心疾患を有し,動脈表在化や長期留置用カテーテルの使用が困難な症例において選択肢の一つとし AAPLがあり、穿刺するのは医師が許可すれば穿刺可能と思われます。ただし、医師指示で臨床工学技士が合法的に穿刺したにも関わらず患者に被害が出た時には直接穿刺した技士に損害賠償責任が問われる事になります。

現時点ではAAPLの穿刺事故の判例がないので穿刺可能とも不可能とも断言はできませんがかなり特殊な穿刺技術となります。

よってAAPLは稀な症例であって告示研修終了したからといってすぐに技士が穿刺するにはリスクが高く穿刺は勧めません。貴院で専門教育を受け技能習得してからがよいでしょう。告示研修では慣例的に行われている上腕動脈の表在化に対しての穿刺を想定しての講習と思われます。

 

A1.北本室長(聖隷浜松病院)の回答

北本室長(聖隷浜松病院)北本室長(聖隷浜松病院)

言葉の定義的には人工血管による動脈の表在化であれば、今回の告示研修で穿刺が可能であると解釈ができると考えます。

ただ、わたくしの情報不足もあり、臨床工学技士が実際に穿刺をしているケースをあまり聞いたことがありません。慎重に対応する必要があると考えます。

 

Q2.目標について

[質問者]ななしさん(臨床工学技士)

質問者質問者

北本先生も、高倉先生も、登り詰めた感があるかと思いますが、引退するまでに成し遂げたい目標はありますか?

ライフワークとしていることはありますか?

今年一年、どんな目標を掲げていますか?

A2.高倉室長(亀田総合病院)の回答

高倉室長(亀田総合病院)高倉室長(亀田総合病院)

〇成し遂げたかった夢は「医療機器の保守点検」を臨床工学技士の業務独占にすることです。
次世代にその夢を受け継いでもらいです。

〇広い視野で病院を捉えられるCEになって医療経営に参画してもらいたい。

〇本邦の臨床工学技士は欧米と全く違う業務内容ですが、後発である日本式MEをアジア諸国に広めていきたいです。