臨床工学技士が管理する医療機器の中で、別途資格が必要なものはあるの?その資格と医療機器は?

臨床工学技士として働くためには、当然国家資格が必要となります。資格があれば、臨床工学技士としての業務を、すべてこなすことができます。また、医療機器を操作する資格は、臨床工学技士以外にも存在しており、医師や看護師でも操作できます。そのため、臨床工学技士が管理する医療機器で別に資格が必要なものはありません。しかし、国家資格取得程度の知識ではすべての医療機器を網羅することは不可能です。医師や看護師よりも医療機器の知識があるはずの臨床工学技士に知識がないとなると、医療現場での存在価値がなくなってしまいます。そのため、医療機器に対する専門的な知識を取得している証明が必要となります。そこで、今回は臨床工学技士が医療機器を管理する上であるといい資格について説明していきます。

認定臨床工学技士とは?

まず、医療機器を管理する上で重要となってくるのは、その機器に対する専門的な知識があるのかという点です。それを証明するために、臨床工学技士には、認定制度というものがあります。これは日本臨床工学技士会が認定している制度であるため、病院の内外を問わず、この医療機器について専門的な知識を持っているということが証明できます。

また、臨床工学技士が管理する医療機器に対する認定臨床工学技士がいれば管理する上では非常に頼りになります。ではこの認定臨床工学技士の資格はどのようなものがあるのでしょうか。

不整脈治療専門臨床工学技士

一つ目は、不整脈治療専門臨床工学技士です。これは、不整脈の治療の際に活躍が期待される臨床工学技士の認定制度です。医療機器としてはペースメーカですが、近年、臨床工学技士も必要不可欠となっているカテーテルアブレーション治療などの、カテーテル領域も網羅している臨床工学技士となります。カテーテルを用いた分野は低侵襲で患者さんの負担も少ないことから需要も多く、今後さらに医療業界で有用となる分野の一つです。

血液浄化専門臨床工学技士

二つ目は、血液浄化専門臨床工学技士です。これは血液浄化に関する治療の際に活躍が期待される、臨床工学技士の認定制度です。医療機器としては透析監視装置やRO装置、透析液供給装置などの血液浄化に関連するすべての医療機器が対象となります。血液浄化の分野は臨床工学技士の活躍の場としては最も多く、臨床工学技士としても医療機器管理業務と並ぶ重要な業務です。そのため、臨床工学技士として院内に一人は必要となる認定資格です。

呼吸治療専門臨床工学技士

三つ目は、呼吸治療専門臨床工学技士です。これは、呼吸治療に関する治療の際に活躍が期待される臨床工学技士の認定制度です。医療機器としては、人工呼吸器が主に対象となります。人工呼吸器は緊急で必要となる場面も多く、急性期病院では呼吸器の専門的な知識を持つ臨床工学技士が在中しておくことが重要となります。そのため、呼吸器の専門的な知識を持つ臨床工学技士は院内でも最低1人は必要となります。急性期のほかにも回復期の場合でも急変する可能性はあるため、知識は身に着けておく必要があります。

高気圧酸素治療専門臨床工学技士

四つ目は、高気圧酸素治療専門臨床工学技士です。これは、高気圧酸素治療に関する治療の際に活躍が期待される臨床工学技士の認定制度です。医療機器としては高気圧酸素治療装置が対象となります。この医療機器を扱っている病院はあまりありませんが、この機器を保有している病院では最低1人は専門的な知識を持った臨床工学技士が必要となります。

手術関連専門臨床工学技士

五つ目は、手術関連専門臨床工学技士です。これは、手術治療の際に活躍が期待される臨床工学技士の認定制度です。医療機器としては手術に使用される医療機器全般を対象としており、数多くあるため手術室には臨床工学技士が在中している場合もあります。手術は緊急、急変が予想される現場でもあるため、このような専門的な知識を持つ臨床工学技士が必要となります。

まとめ

ここまで、臨床工学技士が医療機器を管理する上で、あるといい資格について説明してきました。医療機器を操作するために、別途必要な資格などはありませんが、無知な状態で医療機器を操作するよりは、知識を持って操作しているという証明にもなるため、医療機器を扱う上で資格を取得しておくことは重要です。しかし、どの資格も合格率の低いものばかりで、取得は非常に困難です。最も大事なのは、医療機器を扱うために資格を受験するほど知識を深めたという過程が大事なので、認定資格が取れなくても知識をつけていくことが大事です。また、ここまで様々な医療機器を専門的に扱うことのできる資格について説明してきましたが、これらは一部でしかありません。このほかにも人工心肺装置や内視鏡などにも認定資格があります。さらに、これからますます発展が見込まれる医療機器に新たな機器が誕生し、治療で多く使われるようになってくると、また新たな専門臨床工学技士としての認定資格が出てくる可能性があります。そのため、最も大事なのは臨床工学技士の国家資格を取得したから終わりではなく、さらに知識を深めていけるように日々自己研鑽していきましょう。