臨床工学技士がメンテナンスする病院内に数多くある医療機器とは?臨床工学技士の専門性と臨床工学技士の仕事内容をご紹介!

臨床工学技士とは病院内にある数多くの医療機器を専門的に扱う医療職で、それぞれの医療機器に対して専門の業務が存在します。

人工透析装置

人工透析装置は糖尿病などの腎機能を低下させる病気が原因で慢性腎不全となった患者様に使用する装置です。この装置を用いた治療を血液透析療法と呼び、この治療に臨床工学技士が関わっています。具体的には開始時の穿刺や終了時の止血、および透析装置の操作があります。この業務は臨床工学技士だけでなく看護師さんも行う施設があります。臨床工学技士としてはこの他にも治療中のトラブル発生時やシングルニードル(1本の針で透析を行う方法)使用時特殊な設定を行う必要がある場合の透析装置の操作や、人工透析で使用する透析液を作製するために使用される透析液供給装置やRO装置の管理など、様々な業務があります。この人工透析装置を用いた業務は現場で働く多くの臨床工学技士が経験したことのある業務であると思います。また、医療機器と携わることの多い臨床工学技士にとって直接患者様に対応を行う場面も多い点はこの業務の魅力の1つであると考えます。

人工呼吸器

人工呼吸器は、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸機能を低下させる病気により、呼吸が十分にできなくなってしまった患者様に使用する装置です。この装置を使用する際には臨床工学技士が関わっています。具体的には、人工呼吸器がいつでも安全に使用できるように、始業前点検や定期点検、使用中に設定どおりの呼吸管理が、できていることや設定値と誤差がないことを確認する使用中点検を行います。この他にも、呼吸回路の人工鼻の交換や、呼吸器を使用している患者様の移動の際の呼吸器の操作や、移動なども行っています。この人工呼吸器を用いた業務は、命にかかわることも多くあるため、常に安全かつ、適切に装置を扱えていることを確認していくことが重要です。また、人工呼吸器の詳しい知識を持っている医療従事者は少なく、医師や看護師から質問や意見を求められることも多くあります。そのため、医療機器のスペシャリストとして、その時々に対応できる知識やスキルも必要となります。

人工心肺装置

人工心肺装置は、心臓手術の際に患者様の心臓と肺の機能を代行する装置です。この装置を使用する手術の際は、臨床工学技士が関わっています。具体的には事前の人工心肺装置の点検や回路の準備、手術中の操作などです。この他にも、心停止させるための心筋保護液の操作、術中の血液データなどの記録などもあります。この装置を用いて行う手術の際は患者様の命に直結してくるため、装置を扱う知識のほかにも装置を扱う手技も必要となってくる業務です。このように装置の手技も必要不可欠となってくる人工心肺装置を扱うこの業務は臨床工学技士の花形ともいわれています。

手術室

手術室では、主に麻酔器や電気メス、自己血回収装置などといった様々の医療機器を扱っており、これらの医療機器の保守点検や操作には、臨床工学技士が関わっています。これらの装置の操作に異常が見つかると手術中の進行の妨げとなることもあるため、常日頃から安全に使用できることを確認する必要があります。また、基本的にこれらの装置は保守点検がメインとなりますが、トラブルが起きた際の原因を判断できるように医療機器の操作方法も知っておくことが重要です。

心血管カテーテル治療

心血管カテーテル治療では、心臓の血管の検査や閉塞部位の治療を行うもので、治療に使用するカテーテルや体外式ペースメーカ、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的心肺補助法)といった補助循環装置を扱っており、これらの医療機器の保守点検や操作には臨床工学技士が関わっています。具体的には、検査に必要な物品の準備や血管内の超音波画像を見るためのIVUS(血管内超音波装置)の操作を行います。この他にも、急変した場合の緊急時に対応できるように体外式ペースメーカや補助循環装置の点検も行っています。この治療や検査は患者様の負担が少ない方法で行うことができるというメリットがあるため、今後さらに業務規模が拡大していく業務の1つといえるでしょう。そのため、臨床工学技士の中でも人気の高い業務の1つとなっています。

集中治療室(ICU)

ICUでは、主に人工呼吸器や持続的血液浄化装置などの生命維持管理装置も含めた医療機器を扱っており、これらの、医療機器の保守点検や操作には臨床工学技士が関わっています。ICUの患者様は重症の場合や急変する可能性が極めて高いため、日々点検や管理を行う必要があります。例えば、持続的血液浄化装置を用いた治療を行う際は回路の交換を頻回に行う場合があり、閉塞している場合は即座に交換する必要があるため、素早く準備を行う必要があります。このようにICUでは素早く適切に業務を行う必要があるため、冷静かつ迅速に対応できる臨床工学技士がここでは求められています。

医療機器管理

病院内で使用されている医療機器は主に臨床工学技士が関わっています。これまで説明してきた装置や輸液ポンプや送信機など病棟で使用する医療機器や酸素や吸引といったガス設備の点検も行っています。院内でこれらの機器や適切にガス配管を接続できているかの点検を行うことや修理依頼を受けることもあります。基本的に医療機器の修理は臨床工学技士が対応しており、必要に応じて物品の購入や業者への修理依頼を行います。この業務も現場で働く多くの臨床工学技士が経験したことのある業務であり、まさに臨床工学技士にふさわしい仕事内容であると思います。

その他

これまで説明してきた専門の業務のほかにも高気圧酸素治療装置を扱うことや、内視鏡を扱うほか、物品の滅菌業務、麻酔器の操作など臨床工学技士には多く業務があり、今後も医療技術が発達し続けるにあたり、数多くの医療機器が今後も増え続けていくとともに臨床工学技士の専門分野も増えてくると考えます。