臨床工学技士が教える!私が臨床工学技士を目指した理由とは?臨床工学技士を目指したきっかけと養成校(大学)学校生活編②

前回は養成校に入学するまでについて紹介しました。今回は、実際に入学してからの生活や臨床工学技士についての考え方の変化など、実体験についてご紹介します。

とにかく男性が多くて混乱した入学式と初登校

共学の高校出身だった私には、男性が多いクラスに慣れるまで時間がかかりました。クラスの定員が40名のうち、女性は約4分の1。性別で区別してはいけないとわかっていたけれど、まるで高校の理系クラスのようで、教室の圧迫感や男性独特の空気感に慣れるのに時間がかかりました。女性は人数が少なめで、すぐに皆と打ち解けることができました。

通学と日常生活

通学や時間割に関しては高校生の頃とほぼ変わりありません。9時頃に1限目の授業があり、16時頃に1日が終わり、帰宅するといった生活を送っていました。大学のように空き時間もほとんどないため、ほぼ1日中校内で過ごします。生活リズムは比較的早い段階で整ったと思います。養成校が街中にあったため、授業後は友人と買い物に行ったりご飯を食べに行ったりしたのも良い思い出です。私の通っていた養成校では他の医療系の学科もあり、女性の多い学科の人からは臨床工学技士の男性はモテると言われてました。実際にモテる人が多かった気がします。うらやましいかぎりです。

授業内容についていくのがやっと。専門用語に慣れない日々

高校と違い、専門的な授業にとまどう日々でした。特に1年生の解剖生理学は、私も含め多くの人がつまずいていました。医療従事者であれば基本の学問で、就職後も必須の知識ですが、教科書は分厚く、覚えなければならないことが多く、とても苦労しました。できれば、入学前に、簡単な参考書を一冊買って、予習としてイメージを掴んでおくことをお勧めします。工学系の授業も高校生でほとんど学んでこなかったため、大変でした。実際に電気回路を作成したり、計算問題を解いたりすることに、苦労しました。これから臨床工学技士を目指す方は、クラスに工業高校出身のクラスメイトがきっといると思うので、工学を教えてもらうのがおすすめです。座学授業では、専門用語を理解するのにイメージがわかないことも多々ありますが、学内実習や病院見学、臨床実習などで実際に目で見ることによって用語とイメージが繋がることもあります。わからないと思っていても、いずれどこかで理解できる日が来ると思い、座学で習ったことはしっかり覚えるように意識することが大切です。

初めて袖を通した白衣、医療従事者になる自覚の芽生え

医療従事者を目指すなら白衣やスクラブへの憧れを誰しも持っていると思います。私もそうでした。学内実習で使用する白衣の採寸で初めて白衣を着たときに、ときめいたのを覚えています。それと、なんだかかっこよく着こなせなくて、しっくりこないことも。この時にやっと、卒業したら病院で働くんだという自覚が芽生え、気持ちが引き締まりました。3年生になると臨床実習があります。看護師などと違い、臨床工学技士の実習は6週間程しかありません。この期間で、いかにたくさんの学びを得るかが重要になります。基本的に実習先はランダムで教師が決めます。病院は指導内容に沿って学生を受け入れますが、人によって指導方法が違うため得られることも少し変わってきます。私は、学生指導に力を入れている病院、3か所に実習へ行けることになったため、大変充実した日々を送ることができました。初めて入る手術室への緊張感、実際に働いている臨床工学技士の姿、患者から聞く話。なにもかも初めてで、いままで学んだことが繋がっていく実感がありました。私が学生の頃は、カテーテル治療、ペースメーカー業務などの授業がほとんどなかったため、そういったことを学ぶことも新鮮でした。現在は授業のカリキュラムも改定されていて、学内で学ぶ機会も増えたそうです。一番実習で得たものといえば、目標にしたいと思える臨床工学技士の先輩を見つけられたことです。この出会いが、その後の私にとって大きな財産となりました。実習中は、レポートに追われ睡眠時間もしっかり取れず辛かったですが、それ以上にたくさんのことを学べた喜びが勝っていました。

実習での経験は就職活動にも影響する

実習前には、就職するなら透析クリニックかな、と特に明確な目標もなく考えていた私ですが、実習で考えが大きく変わりました。
せっかくたくさんのことを学んできたのだから、総合病院で様々な業務に携わりたいと思うようになりました。結果2か所目に受けた病院に就職が決まりました。就職先も決まり、いよいよ国家試験へ向けての勉強も本格的に始めました。過去問題は10年分を先輩からもらい、何度も解きました。基本的なことですが、国家試験の勉強のコツは、答えをそのまま覚えるのではなく、なぜその答えになるかの道筋を説明できるようにすることだと思います。毎日何時間勉強しても、足りない気がして毎日そわそわしていました。何度も勉強を放棄したいと思ったことか。でも終われば解放される、やっと目指してきた臨床工学技士になれる、と毎日自分に対して言い続けました。友人と勉強し、わからないことは教え合って毎日過ごしていました。この時一緒に頑張っていた友人とはいまでも仲良しです。苦労を共にした仲間は一生ものの宝物とは本当のようです。

まとめ

今回は入学してから国家試験までの私の体験談を紹介しました。もう10年近く前の話なので、今と変わっていることも多いと思います。
臨床工学技士に限らず、学校に通ってなにか学ぶということは、辛い思いもたくさんすると思いますが、その先には得られることがきっとあるはずです。私は、楽しいことや嬉しいことがありました。次回は国家試験から就職してからのこと、今後についてお話します。