臨床工学技士が教える!私が臨床工学技士を目指した理由とは?国家試験と現在に至るまで編③

前回までは国家試験の勉強までについての実体験についてでした。今回は試験から就職、現在の私や今後について紹介します。

国家試験当日、体調不良に襲われる

国家試験当日までは勉強漬けの毎日でした。臨床工学技士の国家試験は3月上旬です。試験日が近づくにつれ不安になりました。そんな中迎えた当日、私は朝から体調不良になってしまいました。あんなに頑張って勉強したのに、今日に限ってなんで?と絶望感であふれていたことを覚えています。今回は女性技士が語る!という題材なので女性にとっては大切なことなので隠さずに書きますが、原因は生理と被ってしまったからです。もし、毎月辛い思いをしている方は早めに婦人科に行くことをおすすめします。勉強も大事ですが、試験当日に体調不良になっては本来の力が発揮できません。対策できることは早めに解決することが大切です。国家試験当日はそんな感じでほとんど記憶がありません。試験が終わった後は問題を持ち寄って答え合わせをした後、クラスでは打ち上げを予定してましたが、私は参加できず悲しい思いをしました。

国家試験後、卒業から合格発表まで

ある程度、点数を予想できますが、合格発表までは、落ち着かない毎日を過ごしていました。中には国家試験後すぐに、就職活動をするクラスメイトもいました。就職後は友人ともなかなか会えなくなるので、時間がたくさんあるこの期間に旅行や遊んで息抜きすることがおすすめです。4月からの新生活は慣れるまで大変な毎日が待っています。合格発表当日は、そわそわしていましたが、合格と知り、ほっとしました。いままで頑張ってきたことの成果が認められた、そしてここから臨床工学技士としてのスタートだと実感が湧きました。クラスメイトの内何名かは残念ながら不合格の子もいました。臨床工学技士の国家試験は他の医療職種と比べ、簡単と言われているので、落ち着いて試験に取り組めば、基本的に合格できる試験だと感じています。

初めてだらけの日々

4月は、初めての一人暮らしと就職、二つの初めてが重なってとても辛かったです。心の支えとなったのは、同期が2人いたことでした。
就職先では女性臨床工学技士を採用したのが初めてで、上司や先輩もどう対応すればよいのかを、模索していたように見えました。業務内容としては、維持透析療法や急性血液透析療法業務、機器管理業務、カテーテル検査や治療の補助業務、ペースメーカー業務、高気圧酸素療法業務、癌温熱療法業務、内視鏡業務、手術室業務…と幅広くおこなっていたので、4か月ペースで、ローテーションしながら様々な業務について学びました。毎日覚えることがたくさんあり、先輩についていくのがやっとで、頭がパンクしそうになっていました。どうして臨床工学技士を選んだのだろう、辛くて辞めたいと思う日も、たくさんありました。最初の1年目は、そんなことを思う日も多かったように思いますが、2年目からはやっと慣れてきて周りを見ながら動けるようになってきました。診療報酬改定によって、集中治療室で常時臨床工学技士が勤務していることと明記されたことにより、当直が始まったことに関しては、最後まで慣れることができませんでした。これは、医療業界あるあるですが、私の当直の日には何故か毎回なにかしら起こるのです。きっとどこの病院でもそういう人が1人や2人はいるはずです。不思議なことのひとつです。急に呼び出しが来るのが怖くて、当直前は毎回お腹を下していたのは今となっては思い出になっています。臨床工学技士になって一番辛かったのは、たくさん顔を合わせていた透析の患者が亡くなったときです。働くまでは、死というものは遠い存在でしたが、病院で働くということは死が身近になることなんだと実感しました。

透析室の看護師に言われて考えが変わった出来事

透析室で勤務している時に看護師長に言われて、いまでも心に残っている言葉があります。「透析は患者にとって生きるために必要な治療とはいえ、身体に針を刺す(穿刺)という行為は相手の身体を傷つけるということ。傷が付くことって痛いし嫌なことだよね。その意識を忘れずに患者と向き合って欲しい。」というような内容でした。私はその言葉を聞いてからはできるだけ素早く、でも丁寧に処置をおこなうように心がけています。臨床工学技士と聞いたら、どちらかといえば機器と向かい合っている時間が長いんでしょと働く前は想像していましたが、実際は患者と向き合う時間のほうが圧倒的に多くを占めます。人と人の関わりだからこそ、相手のことを考えてその人にあった、医療を提供できる臨床工学技士でありたいと思っています。

現在と今後

私は結婚などの個人的な事情があり、1年ほど前から臨床工学技士の仕事から離れています。最近では臨床工学技士の業務範囲が追加され、ますます臨床工学技士が活躍できる場が増えています。それに乗り遅れないように、働いていない間も、知識を得るために勉強をしていこうと思っています。性別関係なく人によるかと思いますが、透析患者には女性臨床工学技士は、よく周りをみて変化に気が付いてくれるし、仕事の仕方が丁寧だねと言われていました。それを強みにして私は臨床工学技士としてまた復帰し働きたいです。これから女性臨床工学技士がさらに増えることを願っています。