済生会福岡総合病院
大正8年の開設以来、福岡県の医療の中核として地域に密着した医療活動・福祉活動を推進してきた。「地域社会の皆様や先生方に信頼され、真の満足をしていただける病院作り」を目指して日々励んでいる。3次救急医療機関でもある済生会福岡総合病院は、380床の病床数のうち50床を救命救急センターが占めている。そのほか福岡県災害拠点病院として、医師、看護師、メディカルスタッフ、などから編成されるDMAT※(災害派遣医療チーム)も組織化しており、国や自治体との合同訓練を積んで有事に備えている。熊本地震の際は、県を超えての医療活動も行った実績がある。済生会福岡総合病院は、福岡県のみならず九州全体の医療にも貢献している。
※Disaster Medical Assistance Teamの頭文字をとってディーマットと呼ばれている。
今回は、臨床工学部の福澄洋一(ふくずみ・よういち)室長(左)と近本莉央(ちかもと・りお)技士(右)に話を聞いた。
ママになっても希望の部署で
現在、済生会福岡総合病院の臨床工学技士は、16人(女性4人)。3チームに分かれて業務を行っている。福澄室長、近本技士は、心臓外科手術・医療機器管理のチームに所属している。
臨床工学技士を目指したきっかけは?
小さいころから機械を触るのが好きでした。家の冷蔵庫や DVDなど電化製品が新しくなるたびに古い機械を分解していました。いま思うとネジが好きだったのかもしれません。あとは、取扱説明書が好きでよく読んでいました。本当は高校も工業高校に進みたかったくらい機械が好きでした。
臨床工学技士になっていかがですか?
入職した当初は、透析・救命センターの仕事がしたいなと思っていました。スペシャリストというよりもジェネラリストになりたいという思いがありました。
実際、透析・救命センターでの業務は、ECMOや人工呼吸器、透析も病棟で経験できるので魅力を感じていたのですが、徐々に体外循環の方に魅力を感じるようになりました。そこで業務に余裕あるときはオペ室へ行って福澄室長に『人工心肺いいですね〜』とアピールしていました(笑)。年に2回面談があるので、そのときにチーム編成の希望を何度か伝えて入れてもらった感じですね。
アピールが上手でしたか?
そうですね。はい。ずっと人工心肺業務がしたいと聞いておりました。
タイミングよく枠が出来て、業務に就いてもらえました。
念願の業務はいかがですか?
心臓を止めて行う手術も多いので、ひとつひとつの操作に責任が伴います。大変なこともありますが、直接命に関わっている点にすごくやりがいを感じています。
妊娠・出産後も同じ業務を続けていらっしゃるということですね?
復職するときに、心臓外科は難しいかなと思って戻ってきました。臨床工学部内でも透析の方が勤務時間を読めるので良いのではないかという声がありました。せっかく心臓外科を勉強したので『心臓外科に戻りたいです。』というのを福澄室長に話して戻してもらいました。
正直、出産後に済生会福岡総合病院へ戻ること自体も結構難しいかなと思っていました。当直もできないし残業もあまりできなくなるので。ただ、福澄室長だけでなく一緒に働いているメンバーは男性が多いのですが、しっかり理解してくださっていて、『遅くまで仕事をできないのは当たり前だし代われるところは代わるからいいよ。』と言ってもらえるので甘えています。
子育て中のママ技士は近本さんだけですか?
今年の9月から育休に入った男性の技士もおります。半年間の育休を経て来年3月の復職を予定しています。今後も希望があれば応えたいと考えております。
1日のスケジュール
近本技士のある日のスケジュール(オペのある日)
定時8:30~17:00
6:50 家を出発
7:20 子どもを保育園へ預ける
7:50 出勤
8:25 ミーティング(5分程度)→ 当直者からの申し送りの引き継ぎ
8:30 業務開始
入室
人工心肺をはじめとする機器の準備など
10:00~ 交代で30分休憩をとる
11:00 人工心肺を回しはじめる(早ければ3時間程度で手術は終了)、交代で残りの30分休憩をとる
16:00 手術終了→ポンプがきれるのを待って片付けへ
17:00 終業
17時に手術が終わると、18時くらいにICUに戻る患者さんに臨床工学技士も付き添います。私の場合、子どもを保育園へお迎えに行かなくてはいけないので、福澄室長や他のスタッフが『もうあがっていいよ。』と声をかけてくれるので遅くとも18時には終業しています。大変ありがたいです。
入職後
入職後どのように新人教育をしていきますか?
心臓外科と保守は外して、透析領域と心臓カテーテル領域を2~3カ月ごとにローテーションしてもらいます。1年弱で当直業務に入れるよう教育していきます。その後、本人と面接をしてどのチームに入りたいかをヒアリングします。どのチームに入っても何年かすると別のチームにローテーションするということも時々あります。
時々あるということは、専門性を突き詰めてスペシャリストを目指していくことになりますか?
そうですね。だいたい当院ではスペシャリストを目指していきますね。
ただ若いうちは色々な経験を積んでもらうという意味もあり、透析からカテーテルへなどのチーム替えもあります。
天神の一等地
九州、福岡の中心地である天神に病院がありますが、街中だからこそ気をつけている点はありますか?
普段は特に気をつけていることはないのですが、クリスマスや年末年始の時期は街自体が混みます。家から病院まで通常30分ほどで着くのですが、そういった時期は倍の1時間くらいかかることがありますので、急な呼び出しにすぐに対応できるよう気をつけてはいます。
普段、車か電車で通勤しているのですが、特に車の場合ですと雨の日や月曜日に渋滞することがあるので少し早めに家を出るように気をつけています。
やりがいは?
患者さんがやはり元気になるとやっていてよかったなと思いますね。はじめは透析の部署だったので、患者さんから『ありがとう』や『あなたに会いにきているよ』と言ってもらえると嬉しく感じました。いまは、人工心肺のチームに入っているので患者さんの意識が戻ってから話す機会はあまりないのですが、オペが終わったあと、ご家族が見えられて『がんばったね』と患者さんに声をかけている様子を見ると心が温かくなります。
これから
体外循環技術認定士の資格を取得したいと思っています。育児をしながら、病院にも貢献していきたいです。
一番は、働きやすい環境を作っていくことですね。そこに、やる気がある人、コミュニケーションがしっかりとれる人が入職してきてくれればみんなが働きやすい環境になっていくと思います。また済生会福岡総合病院は、福岡・糸島二次医療圏を守る病院として、高度専門医療の提供に注力していますので、さまざまな症例や業務がたくさんあります。そういったことを広く発信していけたら良いなと考えております。
福岡県済生会福岡総合病院 臨床工学部
〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1-3-46 Tel.092-771-8151(代)
職員の募集はこちら