【臨床工学技士インタビュー】准教授が現場の技士長のMEセンター、大学院進学のフォロー体制も整う川崎医科大学附属病院

川崎医科大学附属病院

1970年に戦後初めて私立医科大学として設置が認可された川崎医科大学の附属病院として、1973年12月に開設、診療を開始した。1,182床を有し、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた『特定機能病院』(1994年4月承認)として、医療の発展と患者サービスに努めている。
川崎学園創設者であり、初代病院長を務めた川﨑 祐宣先生の「24時間いつでも診療を行う」の標榜と、「医療は患者のためにある」の信条が基本理念となっている。全職員はこの方針を貫くべく一丸となって努力しており、その時点で最善の医療を提供できるように、現代医療における最新の検査及び医療機器を設備し、これらを駆使して的確な診断と治療を行っている。
岡山県で最初に開設された高度救命救急センターは、地域医療の中核として小児科も含めた初期救急、二次救急医療はもとより、近隣県を含めた広域の三次救急医療をカバーしており、365日24時間休むことなく患者の受け入れを行っている。
川崎医科大学附属病院のMEセンターの高山 綾(たかやま・あや)技士長と佐々木 慎理(ささき・しんり)主任にお話をお伺いした。

佐々木主任に聞いてみた

佐々木主任・川崎医療福祉大学 講師

Q.臨床工学技士の出会い

高校は野球推薦で工業高校に行って甲子園に出ることだけを考えて3年の夏の大会まで野球をやっていました。同級生にはノンプロに進んだ同級生もいましたが、上には上がいるので野球では食べてはいけないと思い、将来の進路を考えるようになりました。今から、普通科の高校生相手にセンター試験を受けても勝てないと思っていたところ、職業校に対する推薦枠があるということを高校3年の夏に知りました。その時のパンフレットを見て、初めて臨床工学技士という資格・職業があることを知りました。人を助けられる仕事という医療従事者への憧れと、他の医療職種を比較して見た時に、高校3年間の工業の学びを生かして、医療に関われるということが興味を持った第一歩です。大学の推薦がもらえたので、臨床工学科のある広島国際大学へ行きました。
広島国際大学の臨床工学科は、当時4年制大学で西日本初の学科で、その点にも興味が湧きました。

Q.川崎医科大学附属病院への入職理由

私は大学こそ広島へ行きましたが、岡山出身で長男だというのもあり、地元で就職をしたいと思っていました。
一番は、大学病院というのが格好いいと思ったのが入口です。病院見学は改修工事中で見られませんでしたが、パネルで色々な仕事をしている紹介を見て、透析だけでなく色々な業務に携われる総合病院に勤めたいと思うようになりました。
他の病院での心臓手術に臨床工学技士が立ち会うのは見てきましたが、川崎医科大学附属病院は、当時から手術室やICUに臨床工学技士が常駐していて、最前線で臨床業務ができており、魅力を感じました。

Q.入職後のギャップ

人工呼吸器は、学校では数字を羅列して覚えるとか、波形を書かせたり、モードや動作の確認などの面白みのない勉強をするのですが、実際に臨床の現場に入ってみると患者さんが咳き込んだりするので、症状と数値がそれほどリンクしておらず、患者さんを見ることが重要だと気づかされました。特に人工呼吸器は、患者さんを楽にしてあげたいという一心で、すぐに興味を持って取り組むことができました。

Q.佐々木主任の職務と一日の流れを教えてください

主に、心臓血管外科の人工心肺装置、ICUの人工呼吸器を担当しており、その他の業務全般にも携わっています。

6:00 起床、犬の散歩
7:00 朝ごはん、子どもを起こす
7:30 子どもの登校の見送り
7:40 車で通勤
8:00 病院到着
8:20 朝礼(手術室、ICUの部署で朝礼)
8:30 MEセンター朝礼(技士長と主任4名と当直)
8:40 手術着に着替え、準備(プライミング、回路準備)
8:45 患者さん入室
9:30 手術開始(人工呼吸器操作、モニタ設定、人工心肺装置等)
14:00 お昼休憩(1時間)
15:00 患者さんをICUへ移動(医療機器の使用前・始動点検)、他の手術の進捗管理(就労管理)
16:30 MEセンター終礼(技士長と主任4名と当直)
16:45 各部で終礼
17:00 終業

残業 月間10時間程度

Q.佐々木主任にとって臨床工学技士とは?

臨床工学技士は発展途上の仕事だと思っています。
5年後、10年後には、全く違う領域が増えるような職業だと思います。
やりがいのある仕事という意味で宝の眠っている仕事だと思います。

高山技士長に聞いてみた

高山技士長・川崎医療福祉大学 准教授

Q.入職後の新人教育について教えてください

入職後1週間は、病院のオリエンテーションを行います。医療人としての心構えや、MEセンターの一員としての基礎知識などを学びます。MEセンターの27名の技士が全員で分担して対応します。
更にその後の1か月は先輩スタッフとの顔合わせ目的で各部署に配置され、オリエンテーションの一環として交流を深めます。
オリエンテーション後は、附属病院及び川崎医科大学総合医療センターの両病院をローテーションして業務習得を目指します。例えば、1年間は附属病院で約3ヶ月ごとに業務を覚える目的で、各部署(ER、手術室・ICU、腎センター、MEセンター機器管理など)を回ります。次の1年は総合医療センターで同様に約3か月ごとに配置換えをしながら、同様に各部署業務習得を目指します。3年目からは日当直業務に入ることを目標としており、そのための2年間の研修になります。3年目には配置部署が決まるため、面談の上、本人の希望や適正も加味しながら、それぞれの専門性を高める為の配置を考慮します。

キャリア面談を年2回実施しています。当院ではプリセプター制度に似ている体制をとっており、メンター(「相談者」「助言者」)を新人ごとに立ててサポートしながら、本人の希望するキャリアに沿ったフォローができるような教育体制を作っています。
日当直業務習得のため、到達目標を定めたチェックリストを作成し、2年間のローテーション期間に活用しています。
日当直開始までに、緊急時の一次対応ができるようになってもらい、できないことはきちんと報連相(報告・連絡・相談)し、オンコール者に正しい依頼ができるようになってもらいます。

Q.附属病院と総合医療センターの兼務になるのでしょうか?

附属病院も総合医療センターも同じMEセンターの仲間という認識です。当院には27名の臨床工学技士がいますが、3名は総合医療センターと兼務になっており、総合医療センターにも当院兼務者が3名います。総合医療センターで修得しにくい業務を当院で学んでもらうこともあります。また当院から総合医療センターへヘルプを出すような形での人事交流もあります。年単位、月単位での異動もありますし、症例によって、午後は総合医療センターで業務をしてもらうようなこともあります。
附属病院と総合医療センターでは、情報共有が活発に行われていますので、機械の不具合情報などリアルタイムで共有を行っています。

Q.認定士・資格、教育

資格取得の強制はしていませんが、積極的に自己研鑽で取得を目指す職員は多くいます。施設基準などに関わる認定士の資格などは、費用について更新も含め病院からの補助が出ます。取得に費用の出ない資格もありますが、資格取得に対しては人事評価の上では加味をしています。教育の分野でいうと併設する川崎医療福祉大学で、私は准教授、佐々木は講師という立場で教壇に立たせていだたいており、大学講義や臨床研修なども担当してます。当院では働きながら大学院に通うこともできるフォロー体制もあります。また、入職3年目以降は、大学病院の臨床工学技士として、学会発表なども積極的に参加してもらっています。臨床工学技士個々のそれぞれのキャリアプランを優先しますので、資格を取りなさいとか、学会発表しなさいという強制はありませんが、大学病院なので、入職時には臨床業務だけでなく、養成校(川崎医療福祉大学)後輩の教育にも関わる業務があるということを理解してもらいます。

Q.告示研修とタスク・シフト/シェア

厚生労働大臣指定の告示研修は、全職員受講予定としており、受講に係る費用も病院の補助をもらいながら、昨年から順に受講しているところです。法律が改正されて、清潔領域業務に入って欲しい、麻酔の補助をして欲しいなど多くの要望があります。現状の人数ではすぐに要望を受け入れられる体制ではないので、人を増やしながら、先生方の補助に当たれるようなスペシャリストを育成する期間として、現在は中期的な人材育成に力を入れています。

内視鏡センター、心臓カテーテル検査・不整脈関連などでの業務拡大や、特に手術室では新しい医療機器が増え、臨床工学技士が関わらざるを得ない業務が増えていますので、臨床工学技士の質も数も高めていくことが必要であると思っています。

Q.医療機器の中央管理業務について

中央管理の医療機器は約3,300台で、年間約15,000台の貸出返却があります。当院においては使用後問題なく迅速に返却してもらっているので、医療機器が行方不明となることはほとんどありません。人工呼吸器などは、装着立ち合い・始動点検等の保守管理全般まで全てを臨床工学技士の仕事としております。
医療機器の購入に際しては、医師や事務職員のみで購入するのではなく、必ず、MEセンターにも相談してもらう体制になっており、どちらの方がどう良いというような意見を求められます。そのため、現在導入していない新しい医療機器の知識なども常時必要になってきます。

Q.福利厚生について

男性2名、女性1名が育休を取得して欠員しています。男性は1年間取得したスタッフはいませんが、月単位で取得しています。時短勤務をしている女性技士もいます。
配偶者出産特別休暇で出産にも立ち会えますし、子の1歳誕生日休暇、小学校に上がるまでの時短就業、院内に保育園もあります。川崎学園では、医療技術職の養成コースだけでなく、保育士養成コースもありますので、他施設で聞かれるような保育士が居いなくて保育園利用者の就業支援ができなくなるようなことは無いです。

Q.川崎医科大学附属病院の臨床工学技士になる最大メリット

多くの診療科がある病院です。これから増えていく業務がたくさんありますし、臨床工学技士を頼ってくれている部分も多くありますし、我々としてありがたいことと思っています。川崎学園として、附属病院として、臨床、教育、研究という3分野で活躍できる場所があります。当院は臨床工学技士の可能性を最大限に生かせる場として、色々な選択肢を持って、色々なキャリアを形成できる可能性のある環境であるといえます。

Q.求人・採用について

個人的には元気で明るい人が良いです。仕事上では、臨床工学技士の前に医療人として思いやりのある人、優しい人が良いです。医療機器の対応の前に、患者さんへの対応を行う場面も多いので。
コミュニケーション能力はあるほうがもちろん良いですね。患者さんとの接遇だけではなく、医師・看護師等に機器の使い方などを教えるときや、医療チームとしてディスカッションする上でなど、会話や報連相(報告・連絡・相談)ができないと、大きな事故にもつながりかねないので、それがきちんとできる人が良いと思います。
また、縁の下の力持ち的な部分もあることを理解してもらいたいと思います。臨床現場最前線だけの業務ではありませんので、元気で明るい人が良いとは言いましたが、臨床工学技士の仕事は多種多様にありますので、物静かでマイペースな方にも合う業務もありますので、幅広い人たちにおいて仕事を担ってもらえると思います。

 

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