臨床工学技士と臨床検査技師の違いとは?現役臨床工学技士が共通点や相違点、将来性を徹底解説!

まず、臨床工学技士(clinical engineer:CE)と臨床検査技師(Medical Technologist:MT)は名前が似ていることやともに病院で勤務しているという点からもお互いの認識が曖昧となっています。しかし、それぞれ働き方や業務内容などが異なっており、互いに別の役割としてチーム医療に必要な存在となっています。この2つの職種には違いもありますが共通している部分もあります。ここからは共通点と相違点について説明していきます。

臨床工学技士と臨床検査技師の共通点と相違点とは?

共通点

臨床工学技士と臨床検査技師の資格の取り方はほぼ同じです。それぞれ取りたい資格のある養成校に入学した後は、教育カリキュラムをこなし、国家試験の受験資格を得ることができます。どちらも国家試験を合格し、国家資格を取得して初めて職業につけるという点においては同じです。また、両職種ともに立場や役割は異なるものの、チーム医療の一員としてはどちらも重要で、必要不可欠な存在であるという点においては同じです。そのため、どちらも他職種と円滑に関わるためにある程度のコミュニケーション能力が必要となります。その他細かな点で見ると、教育を受けるうえで必要な教育費などの平均金額はほぼ同じで、入学の難易度も平均的にはほぼ同じです。そのほか、国家試験の合格率など学習面においては共通しているといえるでしょう。また、給与面や残業、夜勤の頻度などの働き方についても就職先によって異なる場合はありますが、平均的にみるとあまり差はないです。しかし、緊急手術が行われた際には臨床工学技士の方が緊急の呼び出しの頻度が多い場合があります。また、病院によって臨床工学技士は常駐する必要がないが、臨床検査技師は常にいる必要がある場合もあります。これらの違いを考慮しても働き方には差は生じないと感じます。以上が臨床工学技士と臨床検査技師の共通点です。

相違点

臨床工学技士と臨床検査技師の最大の違いは、働き方や業務内容です。臨床工学技士は、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストとして活動する存在です。そのため、医療機器の操作や保守点検といった、実際に患者様に使用される医療機器を扱う仕事がメインとなっています。一方、臨床検査技師は患者様から採取した血液や尿などの検体や、心電図や脳波など、患者様の身体の検査を行うスペシャリストとして活動する存在です。そのため、患者様の検査が業務のメインとなっています。また、活躍の場も異なっており、臨床検査技師は検査を行うための検査室に滞在していることが一般的ですが、臨床工学技士は手術室や透析室、カテーテル室など医療機器のある場所に滞在しているため、病院内で見かける頻度は臨床工学技士の方が高い場合があります。

つぎに、歴史が異なっており、2022年現在で、臨床検査技師は67年目であるのに対し臨床工学技士は35年目となっています。2つの職業間には約2倍程度の差があり、職場などの環境次第で、臨床検査技師は知っているけれども臨床工学技士は知らないといった認知度にも差が生じています。しかし、就職においては臨床工学技士の認知度が低く、数が少ないという状況にもかかわらず、チーム医療に必要不可欠な存在であるという点から、臨床工学技士の方が就職はしやすいです。また、臨床検査技師は数が多いという点があるほか、現在メインで行っている検査が機器によって行われる状況が増えつつあり、人間が行うよりも機器が行う方が正確であるという流れから、機器がメインで検査を行うようになれば、臨床検査技師の需要も低くなり、就職は難しくなります。以上が臨床工学技士と臨床検査技師の相違点です。

まとめ

ここまで臨床工学技士と臨床検査技師の違いについて説明してきました。これらを踏まえたうえで臨床工学技士と臨床検査技師はどちらも医療現場に必要な存在であるということは言うまでもありません。しかし、その職業性の違いから、向き不向きは存在します。例えば臨床工学技士は、医療機器をメインで扱うこととなるため、この先さらに進歩していく医療機器に対応していけるように日々最新の情報を取り入れ続ける必要や、医療機器のトラブルには必ず対応しなければいけないため、積極的に情報収取ができる人や医療機器の操作が患者様の命に直結してくるため、どんな場面でも常に冷静に対応できる能力がある人が向いている職業です。

また、臨床検査技師は、検査がメインとなるため、採取された検体の検査など、細かい作業が多いため、手先が器用な方や、検査結果によって患者様の診断や治療方針に影響がでてくるため、正確な作業を行える人が向いている職業です。これらのように向き不向きはありますが、向いていないからこの職業になれないということではなく、向いていなくても興味を持った職業が最も適していると感じます。また、中には臨床工学技士と臨床検査技師のダブルライセンスを持っている方もいますが、そのライセンスを生かせる場面はあまりなく、基本的にはどちらか一方の職業をメインで活動する場合がほとんどです。