臨床工学技士と臨床心理士との違いは?学ぶことも大きく異なる2つの専門職

臨床工学技士と臨床心理士、最初と最後が同じ言葉なので似た資格なのかな、と思うかもしれません。しかし似ているところは少なく、逆に違う点が多い資格です。間違えると自分が学びたいことではなかった、と後悔することにもなりかねません。違いをわかりやすくまとめていますので、参考にしてくださいね。

臨床工学技士と臨床心理士の資格の比較

臨床工学技士と臨床心理士の資格について比較をしました。以下、違いがわかりやすいように一覧にしています。

臨床工学技士と臨床心理士の資格の比較

資格の名称 臨床工学技士 臨床心理士
資格種別 国家資格 日本臨床心理士資格認定協会による認定資格
主な受験資格 臨床工学技士の養成校で3年以上必要な知識と技能を修得 臨床心理士養成に関する指定大学院または専門職大学院の修了
主な養成機関 大学、専門学校 指定大学院臨床心理学専攻
業務範囲 生命維持管理装置の操作、保守点検 臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助
活躍できる分野 医療、医療機器産業 教育、医療、司法、福祉、産業
履修する科目 基礎医学・医用生体工学・医用機器学等 臨床心理学(基礎・専門・実習)

このように、臨床工学技士も臨床心理士も医療で活躍する職業であることは共通しています。しかし、履修する内容および専門職として行う業務があまりにも違います。簡単に説明すると、臨床工学技士は医療におけるエンジニアであり、臨床心理士は人と関わり支援していく心を扱う専門職です。

【臨床工学技士の業務】

生命維持管理装置の操作、保守点検

【臨床心理士の業務】

臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助いずれの資格を選択するにしても、自分の興味や特性に合った方向を目指すことはとても重要です。なぜなら、養成校で学ぶ内容は専門的なため、興味のない分野を選んでしまうと挫折してしまう可能性があるからです。例えば、臨床工学技士の場合は医学と工学の2つの領域を学びますし、臨床心理士の場合は、心理学領域を深く学びます。心理学は人間の考えや行動などを科学的に解明しようとする学問のことですから、やはり学ぶ内容に違いがあります。そのため臨床工学技士を目指すならば、医学だけでなく理工学系の科目にも興味があるかを確認することは必要でしょう。そして、もし医学にも工学にも興味がある人ならば、臨床工学技士はピッタリの資格です。

臨床工学技士の医療現場での業務

臨床工学技士は、いのちのエンジニアとも呼ばれています。医療現場で活躍している業務には、次のものがあります。
・心臓手術業務
・心臓以外の手術業務
・不整脈治療業務
・集中治療室業務
・血液浄化業務
・医療機器保守管理業務
このように手術室や集中治療室で行う業務が多くあります。業務の特性上、患者さんの意識がない場面で接することが多くなってしまいます。それでは、患者さんとコミュニケーションをとることがないか、というとそうではありません。血液浄化業務の場合は、患者さんと直接コミュニケーションをとる機会が多いですし、そのスキルも大切となります。理由は、透析中の患者さんは「不安」や「抑うつ」といった状態にあることも多いからです。例えば、症状には次のようなものがあります。

【不安の症状】
緊張を感じる・機嫌が悪い・怒りっぽい・ひどくイライラして落ち着きがない・眠れない・急に身体が不快な感じになる(胃が気持ち悪くなる、めまいや動悸がする、冷や汗が出る)
【抗うつの症状】
笑うことが少なくなった・集中できない・自分を責めてしまう・気持ちが落ち込む・生きるのが面倒になるこのように透析中の患者さんというのは、ストレスを抱えていることも多く、通常より心の状態に細心の注意を払う必要があります。そのため、臨床工学技士としてコミュニケーション能力を高めたり、人間関係を構築していくことが大切なのです。しかも人工透析の患者さんは週3回程度そして長期間通われますから、良好な関係を継続するためには、心理学の知識が業務上助けになることもあるでしょう。なぜなら、患者さんと上手くコミュニケーションがとれていなかった場合、大事な変化に気づくのが遅れる危険性もでてきます。どういうことかというと、臨床工学技士は人工透析が安全に開始されているかの確認だけでなく、患者さんの状態や症状に問題がないかを会話の中で確認しているからです。つまり、臨床工学技士と患者さんとの些細な会話やコミュニケーションが、患者さんの安全に繋がっているということなんです。

臨床工学技士と臨床心理士との違いまとめ

臨床工学技士と臨床心理士とは、受験資格から業務内容まで多くの違いがありますので注意しましょう。臨床工学技士の血液浄化業務の中で、透析中の患者さんとのコミュニケーション力は安全にも関わっており、心理学の知識はその助けになります。患者さんと円滑なコミュニケーションがとれる臨床工学技士を目指してくださいね。