【臨床工学技士インタビュー】地元いわきが好きだから、三次救急のいわき市医療センターでいわきの人を助けたい!!

いわき市医療センター

昭和25年に旧平市並びに石城郡下29町村の組合立病院として開設以来70年以上にわたる歴史と、市内最大の病床数を有する公立病院で、福島県浜通り地区で唯一の救命救急センターを持つ。いわき市内はもとより、隣接する相双地区や北茨城市にお住いの方々の生命を守る「最後の砦」として、高度急性期医療を提供するとともに、地域がん診療連携拠点病院や地域周産期母子医療センターなど、様々な役割を担う地域の中核病院として、安全で質の高い医療の提供に取り組んでいる。

高度先進医療の導入にも力を入れており、より専門的な医療を提供するため、複数の診療分野でセンター化を進めており、循環器分野では、東北地方でいち早くTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)を平成26年に導入し、これまでに200症例を超える治療実績を有している。血管内治療に関しては、心血管カテーテル治療センターを立ち上げ、PCI(経皮的冠動脈形成術)やPPI(経皮的末梢血管形成術)に積極的に取り組み、東北地方でトップクラスの症例数を誇る。

住み慣れた地域で必要な医療提供を受けられる、いわゆる「地域完結型医療」の実現に向け、地域の医療機関の方々と連携を図りながら、医療の質向上にも取り組んでいる。

基本理念である「慈心妙手(じしんみょうしゅ)※」のもと、常に患者さんの視点に立った高度先端医療提供をする臨床工学室根本寿明(ねもと・としあき)技士と林慈子(はやし・よしこ)室長にお話をお伺いした。

※「慈心」(じしん:相手を慈しみ思いやる気持ち)で患者さんに接し、 「妙手」(みょうしゅ:優れた医療技術)で診察、治療を行うことです。

根本技士(左)・林室長(右)

根本技士に聞いてみた

根本技士

根本少年と臨床工学技士

小学生のころに、祖父が透析をしていました。また伯父も臨床工学技士をしていたため、臨床工学技士という職業の存在を知っていました。

おじいちゃんっ子だったので、「僕に何かできることある?」と常に付き添っていて、人工透析ってなに?誰が何をするの?という疑問があり、ずっと興味がありました。

母は看護師として働いており、人命を救える仕事にも興味がありました。父は趣味で車のメンテを自分で出来るような人で、私自身も機械に触れるのが好きで、バイクや自動車、電化製品がどうして動くのか、仕組みを知るのが好きでした。医療の母と工学の父がまざって、丁度真ん中の仕事だと、ピンときた感じです。

いわき市医療センターに就職したきっかけ

実習は相模原協同病院に、見学はいわき市医療センターに行きました。相模原協同病院は、自分にとって初めての経験ができた魅力的な病院でしたが、生活の基盤・拠点を地元にしたいと思い、いわき市で就職しようと決めました。

地元であるいわき市で働くことで、地元に恩返しをしたい気持ちもありました。浜通りで唯一の救命救急センターを持ち、高度先進医療の導入にも力を入れている病院であること、また福利厚生が充実していると考え、いわき市医療センターに決めました。

どのような業務を担当されていますか?

心臓血管外科では、心筋保護装置の操作(セカンド)、人工心肺操作の記録、ステントグラフト治療ではデバイス補助、外回り。整形では、オーアームのナビゲーションシステムの操作。消化器外科では、超音波吸引手術装置の準備・操作。その他、手術室ではシリンジポンプ、輸液ポンプ、麻酔器の保守点検業務。内視鏡業務は、硬性軟性ともに保守点検業務にあたります。

定時は8:30~17:15(早番は7:00~15:45麻酔器の準備など)

7:00 麻酔器始業点検(早番業務)
8:20 朝礼
8:30 人工心肺業務
8:45 患者さん入室
12:00 交代で休憩1時間(記録とセカンドは休憩まわす。メインは手術終了後に休憩)
13:00 人工心肺業務
15:00 ICUへ患者移動
17:15 終業

やりがいとモチベーション維持

心筋保護装置(心停止中の心筋を保護する業務)を操作しており、直接命に係わる仕事なので、責任感と緊張感を持ちながら業務をしています。術野の医師とコミュニケーションをとりながら、業務をして、人工心肺を終わらせて、ICUに送り届けた時に、「やりきった!」というやりがいを感じます。

医師や看護師から機器トラブルの対応を依頼されますが、問題なく解決し、感謝の言葉をいただいた時など、役に立てて良かったと思えるのもやりがいになりますね。

完全にオフの日には、趣味のやりたい事をやって、メリハリをつけています。

休みの日の趣味

ツーリング(車・バイク)が趣味で、友達や家族を誘って、地元のおいしい食べ物を食べに行っています。

いわき市医療センターのPR

三次救急を担う総合病院なので、いわき市だけではなく、相双地区や北茨城市なども医療圏に入ります。地方の病院ではありますが、臨床工学技士の仕事が充実していて、専門性が高いのでやりがいがあります。

人工心肺は100件前後の症例があります。3人1チームでこなしていて、現在はセカンド業務ですが、将来的には、メインを任せてもらえるようになりたいです。また体外循環技術認定士の資格を取得したいと思っています。

手術室部門、血管造影室部門、透析室部門、集中治療室部門それぞれに専門性が求められますが、上司、先輩方は優しく丁寧に指導してくださるので、知識と技術の向上が図られ、更にそれらを活かし、地域医療に貢献できる良い環境がいわき市医療センターには整っていると思います。

林室長に聞いてみた

 

林室長

入職後研修

1日目 午前は入庁式で公務員研修、午後は院内案内(新人の各部署紹介)
2日目 午前は院内オリエンテーション、午後は本庁で研修
3日目 医療職研修(医療安全、ハラスメント等の社会人研修)
4日目 配属(電子カルテのID、PW配布、実践)

2023年度は3名採用で、集中治療室業務兼血管造影室業務に1名、手術室業務に1名、透析室業務に1名配置しました。だいたい1年で、各業務を覚えてもらいます。昔は縦割りにしていましたが、同じ業務から複数退職者が出てしまうと、隣のチームが助けられないということで、ジェネラリストとして複数業務が出来るように体制を変更中です。チェックリストを作っているので、プリセプター制度で教育して、業務を理解させていきます。

臨床工学技士は22名(うち女性5名)で、女性は多くないのですが、女性5名中3名が育休取得済みで復職しています。病児保育も完備していて、ママさんも働きやすい環境です。一部の男性スタッフも育休を1~2か月程度取得しています。

現在、夜間休日はオンコール体制のみで対応しています。オンコールを持っているのが17名で、日々5~6名がオンコールを持っています。チーム間で対応日数にばらつきはありますが、オンコールの負担を少なくして、働きやすい環境を第一優先に改革しています。集中治療室業務兼血管造影室業務担当スタッフは呼ばれる確率が高く、日によっては、2~3往復オンコール呼び出しがあることもあるので、まず一部でもオンコールの負担を減らせるよう、夜勤体制の導入を目指しています。

認定士・学会の補助

認定士の取得に関しては、出張申請は必要になりますが、出張旅費、受講費等は病院で負担していただいています。学会参加に関しても同様です。告示研修費用は事務局とかけあって負担していただけることになりました。

進学に関しては、将来的に、教育に携わりたいというスタッフもいます。必要な人数を揃えて、技術面、教育面ともに厚みのある組織にしていきたいです。

採用について

心身ともに丈夫な人で、おもりやりがあって、前向きで、協調性のある人がいいです。

 

forista.biz編集部forista.biz編集部

それはどのように見極めるのでしょうか?

 

口調や雰囲気、実直な人なのかな?というのは履歴書をみてお話してみたり、仕草、佇まいなどで、チェックしています。

どうしても選べない場合は、同席いただく百戦錬磨の院長などのご意見をいただいたりします。

「どういう人が欲しい」というところはブレないように面接しています。命に係わる仕事なので、叱られたり注意されたりしたときに、どう感じるか?どう理解するか?は重要です。「ダメだ~」ではなく、「どうして怒られて、何を改善すればいいのか?」と前向きに考えてくれないと、厳しいかもしれないですね。

総合病院なので、一通りの業務はあります。三次救急をやっている病院ですので、急性期に興味がある方は、やりがいもあると思います。

 

取材協力

いわき市医療センター
〒973-8555 福島県いわき市内郷御厩町久世原16 Tel.0246-26-3151
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