コロナウイルスの大流行により臨床工学技士も需要も増え、臨床工学技士を知らない方に対してどのようなお仕事か?また、血液浄化業務の1日流れについて説明していきたいと思います。
臨床工学技士ってなに?
臨床工学技士とは薬剤師や放射線技師・臨床検査技師などと同じコメディカルスタッフです。別名ME・CEとも呼ばれ、患者さんの命に関わる医療機器を扱う専門職です。就職先は病院やクリニックが主で他には医療機器メーカーに就職する人もいます。
臨床工学技士ってどんなお仕事?臨床工学技士が携わる業務とは
人工心肺業務
心臓の手術をする際に心臓を停止させなければなりません。その時に心臓の代わりをするのが人工心肺です。臨床工学技士はその人工心肺の準備・操作を行います。その他人工心肺の周りには複数のモニターや医療機器があり、その操作も行い医師や看護師など医療スタッフと共に心臓手術業務を行なっていきます。
呼吸器業務
使用前の呼吸器の動作チェックや返却後の清掃・返却後の点検を行います。病棟で使用中の呼吸器に異常が無いか等の確認を行ったりもします。
血液浄化業務
腎臓の機能が低下している患者さんは、尿の生成がされず毒素や水分が排出できなくなり体内に溜まってしまいます。患者さんの体内に溜まったものを除去・除水する人工透析や膠原病の原因物質を除去し、その分新鮮な血漿を入れる血漿交換療法、体外に出した血液を吸着器を通しその後患者さんに戻す血漿吸着療法などそれらの準備・医師の指示のもと治療を行っていきます。
医療機器管理業務
病院内に存在する医療機器を日々安全に使用することが出来るように使用前後の点検やメンテナンスを行なっていきます。
心血管カテーテル業務
心臓梗塞などの治療を行う心血管カテーテル業務、その時に使用する医療機器の点検や操作を行います。他にもペースメーカー業務・集中治療室業務・内視鏡業務・院内安全管理等の業務もあります。
血液浄化業務の1日の流れ
(7:00〜) 業務前点検
出勤後行うのが透析業務で使用する透析液の浸透圧の確認です。透析では濃度差を利用して体に溜まった毒素を除去する為、浸透圧を毎朝確認していきます。その他にも消毒で使用する薬剤の残留が無いかの確認や水漏れがないか等の複数項目の確認をしていきます。
(7:30〜) プライミング
透析液が正常値であることの確認後、実際に透析で使用する機材の準備をしていきます。透析で使用される機材の一つにダイアライザーという物品があります。ダイアライザーとは体外に出した血液をダイアライザーに通すことで体に溜まった毒素や水分の除去を行う事が可能になります。そのダイアライザーと体外に出し入れするための回路を透析液で満たしていくことをプライミングと言います。数としては患者さんの人数分プライミングします。
(8:00頃)患者さんの入室
入室のサポートを行います。この時間は患者さんの体調を聞いたり体温・体重を測ったりしていきます。
(8:30〜) 申し送り
来院する患者さんの指示や情報を共有する為に行います。
(9:00〜) 穿刺
患者さんが透析を行う為にシャントと呼ばれる血管に針を刺していきます。
(10:00〜13:00) プライミング・シャント管理・監視・休憩
この時間は患者さんの透析が始まりから終わりまで安全に行えるように一時間毎に血圧や脈のチェックを行い、適宜対応していきます。血管エコーを行うことも臨床工学技士の業務になります。患者さんが透析中に血管の状態をエコーを使用し細い所が無いかやシャントに流れる血流量を測定したりしています。異常がある場合は早急に医師に報告していきます。他にも午後来院する患者さんがいる場合はその分のプライミングを同時進行で行ったり、透析液作成に使用される粉の補充をしたりします。この時間にスタッフが交代で休憩に入ります
(13:00〜)透析終了
患者さんが透析を終える為、透析回路から血液を患者さんに返す、返血作業を行なっていき針の抜去する抜針を行います。
※午後の患者さんがいる場合
(13:00〜13:30) 患者さんの入れ替え
午前中の患者さんが終了し針の抜去を行い、午後の患者さんの穿刺を行なっていきます。
(13:30〜21:00) 監視・穿刺・返血・抜針
午後の患者さんの透析中の監視を行ったり、仕事終わりに来院する患者さんの穿刺・監視・返血・抜針を行います。
(21:00〜) 終了業務
翌日の回路の準備や機械室の点検・記録の確認を行なっていきます。
終了後、退勤となります。
※午後患者さんがいない場合
終了業務を行なっていき、透析液の水質検査や透析装置(コンソール)のメンテナンスや点検を行なったりします。
まとめ
臨床工学技士とは、病院内の医療機器をより安全に使用することが出来るようにメンテナンスや点検をしたり、患者さんの命に関わる機器を扱う医療機器のスペシャリストです。