岡崎市民病院・臨床工学室
岡崎市民病院
岡崎市民病院は、1878年(明治11年) 5月12日に、愛知県公立病院(現名古屋大学医学部附属病院)岡崎支病院として開院しました。三河初の病院として歩みだし、令和5年に創立145周年を迎えます。約1世紀半にわたり、地域の皆様とともに歩んできました。愛知県がんセンター愛知病院の経営移管により「あらゆる領域、あらゆるステージのがん診療」を行い、地域医療に貢献する高度急性期医療を提供しています。
当院は、果たすべき使命及び存在意義(Purpose)と、これを実現するためにめざすべき姿(Vision)、そしてそのために求められる組織及び個人の価値観(Values)を定めています。
臨床工学室
当室のPurposeは、下記の通り定めています。
・臨床工学技士のプライドを持ち、チーム医療の一員としての自覚を持って業務にあたる。
・エキスパート・ジェネラリストとして患者さんのために最高の技術を提供する。
・アサーティブコミュニケーションにより、生きがいを持って働ける活気ある職場作りに努める。
先進的な医療機器と医療技術を取り揃えた高度急性期医療、第三次救急医療施設、がん診療連携拠点病院、各領域のチーム医療・センター機能を備える岡崎市民病院の中で、オールラウンドに業務にあたる臨床工学室の木下昌樹(きのした・まさき)室長と今村慎一(いまむら・しんいち)技士にお話を伺った。
今村技士に聞いてみた
今村技士
今村技士が臨床工学技士になるきっかけ
高校生の時に、顎を骨折して入院したことがありました。その際、口腔外科医と歯科技工士という職業を知り、医療は面白い職業だと思っていました。医学や薬学に興味があったのですが、父が車関係の仕事で工業系にも興味がありました。進学する上で色々調べていると、医用工学という医療と工学の中間のような学問があって、北里大学に入学しました。
今村技士の就職活動
1つ目の病院は、都下にある二次救急の病院に勤めました。
関東の大学病院の募集を待っている間に、愛知の病院は軒並み採用試験が終わっていて、就職を機に愛知へ帰る選択肢が無くなりました。結局大学病院とは縁がなく、給与面等福利厚生がよかった、そちらの病院に行きました。
私は一人っ子で、親からは「自分のやりたい事をやればいい」と言ってもらっているのですが、職業柄、人を看取ることが多いので、将来の事を考えると、岡崎とまではいかなくても、もう少し実家(愛知県)に近い勤め先がいいかなと思っていたところに、母から岡崎市民病院で募集があると知らされて、こちらでお世話になることになりました。
業務範囲は以前の病院より拡大していています。現在は血液浄化、人工心肺、不整脈検査・治療(CEIDs、アブレーション)を担当しています。血液浄化センターでは、部署責任者の補佐業務を行っています。
今村技士の一日の流れ
定時 8:30~17:00
8:25 臨床工学室カンファレンス(宿直者からの申送りなど)
8:35 血液浄化センターカンファレンス
8:45~10:30 患者さん入室、穿刺・透析開始
11:00 交代でお昼休憩45分
13:00~15:00 返血・止血・透析終了
15:00 振り返りカンファレンス
15:00 次の日の回路、透析液補充等翌日準備
16:45 血液浄化センター閉室(早く終わる日は別業務を手伝う)
17:00 終業
現在の目標は、アブレーションの業務取得です。
残業は月間10~20時間、夜勤なし、日宿直・宅直対応。
今村技士のやりがい
救急搬送がありますので、患者さんの命を助けることにやりがいを感じます。
アブレーションで不整脈を切ったり、大動脈解離の緊急手術で人工心肺を回している時や、夜中の搬送でECMOを回して朝方まで付き添って良くなってくれたり、業務が終わると体力的に厳しくてどっと疲れますけど、患者さんの為になれてよかったとやりがいを感じます。
先輩技士今村技士から学生さんへ
様々な業務があり、それぞれの医療チームで遂行するのでいろいろな職種のスタッフと一緒に働くことができます。
毎日新しい症例、患者さんが搬送されてきます。
治療方法、医療機器もどんどん進化していくので常に新鮮ですが、臨機応変さと新しい知識を吸収し続ける貪欲さが必要になります。
木下室長に聞いてみた
木下室長
入職後研修
1週間目は、病院研修・医療職研修を行います。病院全体研修と、医療技術局の研修があります。
2週間目以降は、土曜日・祝日勤務に入るために血液浄化センター固定で業務を覚えます。土曜日・祝日の1名の人員として働けるように業務習得をするのが、最初の目標になります。
当院血液浄化センターは、看護師は1、2名のみで臨床工学技士が中心となっています。業務ができるだけではなく、医師、看護師と連携して血液浄化センターをリーダーとして回せるようになったら独り立ちです。独り立ちに1年ほどかかる人が多いですが、血液浄化センターの業務を覚えたら、他部門・業務のローテーションが始まります。
業務体制
血液浄化センター、循環器センター(内科系)、循環器センター(外科系)、集中治療センター、手術室、CEセンター、周産期センター、移植関連業務、SAS(CPAP)業務、在宅業務の各部門に管理責任者を置いています。
休日夜間体制は、日・宿直と宅直を、人工心肺を回す人とセカンドに入る人のセットになります。基本的に日・宿直者1名で担当し、人工心肺など必要用時に宅直と2名対応となります。このため、日直・宿直を担う職員は、各業務習得する必要がありますので担当するまでに約5年要します。
資格取得支援
体外循環技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士は取得、更新にかかる費用の全額補助。透析技術認定士など他認定資格は1回目の受験にかかる費用が全額補助されます。
当室の技士は、自己啓発に励み多くの資格を取得しています。
タスク・シフト/シェア
手術室など病院機能向上のための議論が始まっています。手術件数増加に対して手術室の常駐化を目指します。まずは眼科の清潔業務に参画しました。現在、手術室内の医療機器・備品の更新計画、材料管理など業務範囲を広げています。
他団体の仕事
各関連職能団体、学術団体の役員を務めています。(以下、木下室長の役割一例)
・日本臨床工学技士会 代議員、心・血管カテーテル関連検定小委員会 委員
・愛知県臨床工学技士会 理事
・日本心血管インターベンション治療学会 メディカルスタッフ役員
・日本心血管インターベンション治療学会東海北陸支部 メディカルスタッフ役員会長
・日本体外循環技術医学会東海地方会 監事
・総務省東海総合通信局 東海地域の医療機関における電波利用連絡推進協議会委員
・NHA ME・透析関連分野委員
各分野の発展のため活動しています。
採用・求人に関して
何で臨床工学技士になったのか。患者さんの命を助ける、患者さんの為に働きたいという思いのある人かどうか。プライドを持って働くことができるか。コミュニケーションが良好にとれるか、そういったところをみています。
当院では、男性も育休を取得した職員もいますので、家庭との両立という点でも、働きやすい病院だと思います。厚生休暇(夏休み)、有給休暇、特別休暇などの取得も、原則許可制ではなく申請制としています。
我々の日々の関わりにより、患者さんを元気にすることができるやりがいのある職場です。