【臨床工学技士養成校入学から卒業編】臨床工学技士が語る!私が臨床工学技士を目指した理由

私は、臨床工学技士としての17年間勤務していますが、臨床工学技士を目指したきっかけについて前回の続きをお話しさせていただきます。今回は、臨床工学技士養成校に入学してから卒業までの過程についてです。まず、養成校での生活についてですが、私は寮に入っていました。そこでは、臨床工学技士意外にも、理学療法士や救命救急士など、他職種の養成校の先輩や友達ができ、臨床工学技士になる前に医療人としての心構えや、知識など色々と教えてもらうことができました。養成校では臨床工学技士として必要な知識や経験、財産など、たくさんの大事なものを得ることができましたが、その中でも一番大切なものはというと、それは共に頑張ってきた仲間と出会えたことだと思います。

臨床工学技士養成校では、病院実習や国家試験に向けての勉強など本当に大変でしたが、その大変な道のりを共に乗り越えた、たくさんの仲間に出会いました。このたくさんの仲間は臨床工学技士になって17年経った今でも、仕事の話や相談をする仲になっています。新型コロナウイルス感染拡大で会えない中、オンライン飲み会を開催したりして、仕事についての相談や悩みをみんなで共有し、今でも仕事の役に立つアドバイスをもらって助けられることがたくさんあります。人は悩んでいるとき、ひとりで考えがちになり思考が偏ってしまいますが、このように悩みを相談できる仲間がいることで客観的に物事を見ることができるため、悩みに対して適切に対応ができ、とても助かっています。養成校では臨床工学技士としての知識の習得はもちろんですが、仲間という財産も養成校で得ることができたたことは、臨床工学技士として働く上でとてもよかったと感じています。

臨床工学技士養成校での勉強スタート

無事に臨床工学技士養成校に入学できましたが、一番の不安材料は勉強についていけるかということでした。臨床工学技士に、なるために必要な工学などの理系科目が苦手だったからですが、養成校に入学して少し経ってから、あることに気づきました。それは、一緒に入学した生徒全員、医療の知識はなくスタートラインはみんな一緒だということです。そして、みんな同じスタートラインに立っていると思うと気が楽になり、必死に頑張ってダメならしょうがないと思えるようになりました。1年目は基礎的な分野の授業が多く物理や数学、工学などで大変苦労しましたが、心理学や看護学では患者さんの精神的な部分を知ることができ、とても面白かったです。苦手だった理系科目は、周りの仲間が勉強を教えてくれたりとサポーしてくれて、なんとか単位をとることができ、無事2年に進級することができました。

2年生からは、ようやく臨床工学技士になるための専門的な授業が始まります。ここからは、今までの経験など関係なく、生徒全員が初めての分野になるため、ここでもみんなで助け合いながら勉強に励みました。養成校に入学して、初めてME機器についての授業を受けたときは「自分は臨床工学技士になるための道を歩んでいるのだな」と改めて実感したことを今でも思い出します。麻酔器、呼吸器、人工心肺に透析装置とさまざまな医療機器に関する授業が始まり、こんなにたくさんの医療機器を自分は扱えるんだろうかと不安になっていましたが、そんなときは養成校の先輩のアドバイスを受けながら、不安を解消していました。例えば、「麻酔器は呼吸器に気化器がついていると考ればいいよ」とか「プライミングの基本は空気の入口と水の出口を考えればいいよ」など的確なアドバイスを養成校の先輩からもらって参考にしていました。周りのサポートを受けながら2年生を終え、集大成の3年生となり、病院実習と国家試験が待ち受けています。病院実習ではとても緊張していたことを覚えています。

不安と失敗で緊張の毎日!臨床工学技士の実習

臨床工学技士の実習期間は1ヶ月と短いですが、その短い期間に「ME機器」、「透析」、「人工心肺」も3つの分野の実習を行わなければなりません。ME機器の実習では毎朝、麻酔器の点検を行うことを任され(もちろん実習先の臨床工学技士にチェックしてもらいますが)点検でミスがあり、OP中に何かあったらどうしようと毎日緊張の日々でした。それほど、臨床工学技士の仕事は責任が重いですが、その反面とてもやりがいがある仕事だなと感じました。実習中は緊張と疲労で昼食がなかなか食べれなくなっていたことが、今となっては懐かしい思い出です。透析実習では患者さんとのコミュニケーションの取り方に苦戦したり、透析個人器の準備を失敗し落ち込んだり、人工心肺の実習では、初めて心臓の手術を間近で見学して感動したりと、本当に色々な体験ができ充実した1ヶ月でした。大変な実習ではありましたが、励みになることもありました。

透析実習での出来事で、患者さんから「ありがとう」と感謝の言葉を頂いたときは本当に嬉しく、励みになりました。早く臨床工学技士になって技術という形で患者さんに恩返しがしたいなと思っていましたが、それが今では毎日のように患者さんに技術を提供できるようになっていると思うと、とても感慨深いです。実習を終え、いよいよ国家試験を迎えました。国家試験の朝、先生から生徒全員にみんなで撮影した集合写真を渡されました。試験の前に写真を見ていると今まで、ここまで頑張ってきた仲間が周りにいることを思い出し、緊張が溶けてとても気が楽になったことを今でも思い出します。写真の力もあってか無事国家試験に合格することができ、ようやく臨床工学技士としての第一歩を踏み出すことができました。