現役臨床工学技士が教える!医療機器メーカーとのやり取りで困ったこと、不安になること

今回は、医療機器メーカーとのやり取りで、困ったことについてお話します。病院と、医療機器メーカーとの関係は、切っても切れません。病院が存在し続ける限り、医療機器メーカーとの関係は続きます。臨床工学技士が病院の窓口となり、メーカーの営業やシステム担当とのやりとりを行う場合が多いです。救急病院で7年以上働いている私が、医療機器メーカーとのやりとりで困ったことを4つ紹介します。

困ったこと4選

医療機器メーカーとのやりとりで困ったことは次の4つです。納期不明、知識量の差で話が通じない、担当がいつの間にか変わっていた、どこに連絡すればいいのかわからない。臨床工学技士として仕事をする上で、複数の医療機器メーカーと関わってきますが、大規模展開しているメーカーほど雑な仕事をします。

納期不明

医療機器メーカーに依頼する仕事は多く、一例を挙げると以下となります。見積書、デモ機依頼、修理対応、消耗品発注。依頼した物の納品日について一切連絡がないと、こちらは納品後の予定を組めません。明確な日にちを教えてくれるメーカーもいますが、全く連絡がなく依頼したのを忘れたころに納品するメーカーもいます。臨床工学技士は医療機器の修理対応が多く、スタッフはいつ修理が終わるのか気にします。なぜなら、大まかな日にちを伝えられれば修理期間の具体的な対応を考えられるからです。修理期間や依頼したデモ機の納期をメーカーが伝えてこないと現場は非常に困ります。

知識量の差で話が通じない

医療機器メーカーは、基本的に臨床工学技士よりも機器に関しての知識が豊富です。しかし、医療機器メーカーが臨床工学技士よりも知識に劣るタイミングがあります。それは3~6月の人事異動の時期です。自分のエリアの担当が新人に変わると臨床工学技士よりも、知識に乏しいため、連絡をしても話が通じない現象が起きてしまいます。急な対応を要する局面でのやりとりでは折り返しを待っている時間はありません。救急病院では、担当が新人に変わるのは、避けてほしいのが本音です。メーカー側も病院の規模によって、担当する人間を振り分けているでしょうから、忙しい救急病院に未経験の新人を割り振ることは基本的にありません。それでも明らかにレベルが低すぎる担当が付いたと感じたら、事務所に連絡をして担当を変えてもらいましょう。仕事の流れが早い病院に対して対応が遅い担当だと自分の仕事が進まず、自分の首を絞めることになります。担当の変更が出来ない場合は、業務を依頼するメーカーを変更するかどうかも検討していきましょう。

担当がいつの間にか変わっていた

先に説明した通り、3~6月の間は人事異動の時期です。普通は担当が変わる場合あいさつに来ますが、大きいメーカーほどあいさつに来ないため、連絡をすると担当が変わっていたなんてことがあります。取引先が多いメーカーは、人事異動の告知から異動の日までに全ての取引先にあいさつできず、後から知るパターンが多いのです。窓口となる私からすると、いつの間にか担当が変わっていたメーカーに対する心証は悪く、何かあったとしても別メーカーに依頼しようか悩みます。あいさつに来ないのは、大事な顧客と思われていないと考えられ、担当が変わる際にきちんとあいさつに来るメーカーを優遇したくなります。メーカーと病院とのやり取りは人が行うため、そんな心情になってしまうのは当然です。人は気持ちで動くため、たかだか、あいさつと軽視するメーカー担当は最悪取引を中止される可能性もあるのです。

どこに連絡すればいいのかわからない

医療機器の様々なジャンルに展開しているメーカーは問い合わせ先が細分化されています。例えば、テルモの機器に関する問い合わせ先は以下となっています。輸液・シリンジポンプ、血糖測定器、心カテ物品、人工心肺、透析。臨床工学技士が関わる分野だけでもテルモ1社の中に連絡窓口が複数わかれており、どれを誰に連絡したらいいのかわからなくなることがあります。特に新人は病院とメーカーのやり取りが理解できていないので大変です。さらに、担当がいつの間にか変わっていたりすると最悪です。新人に対しては一度に複数教えるのではなく分野を限定して教えてあげると理解しやすいでしょう。

まとめ

今回は医療機器メーカーとのやり取りで困ったことを4つピックアップしてお話してきました。中でも一番困ることは納期が不明な場合です。状況が目まぐるしく変わる病院では物の納期がわからないと自分の仕事が進まないからです。看護師や医師は物がいつ届くのか知りたがるので、納期について明確に返事をしてくれるメーカーが、私にとっては、貴重な存在となります。メーカーが、不誠実な対応を取れば病院側としても、義理を尽くす必要はありませんし、真摯な対応をしてくれれば、相応の対価を提供できます。一方が我慢し続けるような関係ではなく、良好な関係を築けるようお互いに努力することが大事です。